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2007年08月31日

奈良の死産

 平成19年8月31日朝日新聞の社説です。
 奈良の死産―救急網に穴が多すぎる
 一刻も早い手当てが必要な妊婦がいるのに、引き受けてくれる病院がなかなか見つからない。そんな悲劇がまたも繰り返された。
 奈良県の女性が深夜、やっと見つかった約40キロ先の病院に救急車で向かう途中、車内で死産したのだ。交通事故に遭う不運も重なった。結局、11の医療機関に断られ、最後に病院に着いたのは救急車が来てから約3時間後だった。
 奈良県では1年前にも、出産の途中で意識不明になった女性が、19の病院に転送を断られ、8日後に亡くなった。
      ■         ■
 なぜこんなことになったのか。奈良県は調査するというが、きちんと究明し、その教訓を今後に生かしてもらいたい。
 産科の救急患者で切迫している場合には、かかりつけの医師の診断に基づく要請で、受け入れ先を探す病院間の搬送システムがある。
 ところが、今回の女性は医師にかかっておらず、妊娠の状態もよくわからなかった。このため、駆けつけた救急隊員が限られた情報をもとに、直接受け入れ先を探さざるをえなかった。
      ■         ■
 旅先や帰省先で異変に見舞われることも少なくない。かかりつけの医師の協力を得られない場合でも、必要なら病院間の搬送システムに乗せる方法を考えておく必要がある。
 もう一つの問題は、病院内での医師と事務担当者、さらに病院と救急隊との間で意思疎通がうまくいっていないのではないか、ということだ。
 受け入れを打診された病院では、事務担当者が断ったところがある。そのなかには、医師はほかの患者の治療中だったので、「後にしてほしい」といったが、断ったつもりはなかったというケースもあった。電話を医師につないでいれば、受け入れることができたかもしれない、という病院もある。
 どのような場合ならば、救急患者を受け入れられるのか。日ごろから医師と事務担当者、救急隊の間で話し合いを重ねておかなければならない。
      ■         ■
 こうした事件が奈良で続くのは、人口当たりの産科医が少ないこともある。医師の負担は大きく、とりわけ夜間の救急態勢は手薄になりがちだ。
 しかし、東京や大阪などでも、いくつもの病院に断られたあげく、遠くまで搬送する例が珍しくない。産科医が減り、お産を扱う医療施設も減っている中で、母親と赤ちゃんの命を救える搬送システムを再構築しなければならない。
 一方で、救急医療そのものを立て直すことも考えた方がいい。お産や病気、けがを問わず、救急患者を24時間、必ずどこかの病院が引き受ける。そんな態勢を地域の医療機関と病院が連携して作り上げていきたい。
(平成19年8月31日、朝日新聞社説より引用)
      ■         ■
 朝日新聞が言うことはもっともです。産科医が少なくなっている理由、医学生が産科医になりたがらない理由をご存知ですか?
 『お父さんの仕事は当直』と子供に言われ、当直明けでも通常の業務をこなし、心身ともにクタクタになっていのが産科医です。
 こんな産科医を見ると、どんなに志(ココロザシ)が高い医学生でも産科医になりたくなくなります。
 産婦人科の先生は、9:00にはじまって17:00には帰れる(と考えられる…)、婦人科専門医や不妊治療専門医になります。美容外科に転向する先生もいます。
 高リスクで、業務上過失致死罪に問われる産科医には誰もなりません。
 医学生が産科医になりたいと思うようなシステムを作らないと日本は滅び(ホロビ)ます。

投稿者 sapporobiyou : 23:42 | コメント (1)

2007年08月30日

理事長解任?

 平成19年8月30日北海道新聞の記事です。
 理事長に退任勧告 天使病院理事7人
 「地域医療に混乱」
 妊娠後期から生後約一週間の周産期医療の拠点となっている札幌市東区の天使病院の産婦人科医全員が退職する問題で、同病院を経営する医療法人社団カレスアライアンス(室蘭、西村昭男理事長)の理事17人のうち七7人が西村理事長に「地域医療に重大な混乱を招いた」として退任を勧告していることが、29日分かった。
      ■         ■
 退任勧告は西村理事長が今年5月、天使病院を、西村氏が別に理事長を務める特定医療法人社団カレスサッポロ(札幌)に移管することを決めたことをめぐる混乱が理由。
 この決定について、同病院の産婦人科医6人全員が「移管先の経営内容が不透明で、リスクの高い周産期医療は続けられない」として、9月末までの退職をカレスアライアンスに通告した。
      ■         ■
 7人の理事は
①西村氏は利害関係の異なる二法人の理事長を兼ねているが、移管手続きについて説明が不十分
②移管が産婦人科医の退職を引き起こし、地域医療を混乱させた-などと指摘。
 理事会と社員総会の招集に必要な理事7人と社員1人の署名を提出し、理事会と臨時社員総会の開催を求めている。
      ■         ■
 カレスアライアンスの定款によると、西村氏が自ら退任しない場合、理事会に出席した理事の過半数の賛成があれば、理事長職を解任できる。西村氏は進退について「理事会で決めること」と話している。
 カレスアライアンスは西村氏が発足当初の1980年から理事長を務め、日鋼記念病院(室蘭)など道内の複数の医療機関や福祉施設を経営している。(2007年8月30日(木)北海道新聞朝刊より引用)
      ■         ■
 西村先生は8月12日の日記に書いたように、元北大第一外科助教授だった方です。
 元助教授だろうが、医療法人を開設した功労者だろうが、病院運営ができなくなると、理事長といえども辞めなさいと言われる時代です。昔は西村先生に盾突く(タテツク)など、医師の間では考えられなかったことです。
 医師というのは、自尊心が強く、扱いづらい職種の代表です。医師不足の中でも、特に産婦人科医は少ないので売り手市場です。医師同士の喧嘩がはじまると、なかなか厄介です。
 天使病院から、産婦人科の灯を消さないように、理事会で穏便にことが決まってくれることを願っています。

投稿者 sapporobiyou : 23:59 | コメント (0)

2007年08月29日

お詫び

 平成19年8月23日から相談フォーム、予約フォームを変更いたしました。日本ベリサイン株式会社(VeriSign)から認証をいただいて、https://s-bi.comではじまるURLを利用しています。
 こちらで使用したプログラムにバグがあり、相談内容が一部しか伝わりませんでした。
 メールでご相談いただいた方には、大変ご迷惑をおかけいたしました。謹んで、お詫び申し上げます。
 相談内容のところに改行を入れると、改行以降が送信されないバグです。
 申し訳ございませんが、バグが改善されるまで相談内容に改行を入れないでください。
 現在、大至急プログラムの変更をしております。もし、メールで伝わらない場合は、お手数でもお電話でご相談ください。
      ■         ■
  VeriSign Securedとは偽サイトでないことの証明です。企業(組織)の実在性の認証をVeriSignがしましたよ、という証明です。ブラウザーで見ると、右下に鍵のマークが出ます。最近は、新生銀行の偽サイトを作って、そこへ誘導して暗証番号、パスワードを盗む事件もありました。
 https://~ではじまるURLは、ベリサインのSSLサーバ証明書を使用して、個人情報を保護しています。 httpsで始まるアドレス上ではすべての情報がSSLで暗号化されてから送受信されます。
      ■         ■
 札幌美容形成外科が利用しているサーバーは、セキュリティの国際規格である「ISO/IEC 27001:2005」に対応しています。サーバーで送信・受信メールのウイルスチェックを行っています
 開院以来、メールから個人情報が漏洩(ロウエイ)することはありませんでしたし、個人情報の保護には十分に注意しています。
 カルテはSECOMの監視カメラで24時間監視し、セキュリティも万全にしています。
      ■         ■
 美容外科では泥棒にお金をとられるよりも、個人情報を盗まれる方が怖く、信用にかかわる大問題です。
 万一のために、個人情報保護保険にも加入しています。
 今回のフォーム修正も、情報保護とニセHPへ誘導を防ぐ目的で行いました。
 何回か動作確認をして、フォームを修正しましたが、こちらで入力した文字数が少なかったためにチェックができませんでした。
 ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
      ■         ■
 インターネット時代になり、医師といえどもネットに詳しくないと生きて行けません。
 私は日記を書く程度はできますが、HPやネットの詳しいことはわからないので、専門家にお願いしています。
 これからはカルテも電子カルテになり、情報はすべて電子媒体で保存されます。
 情報管理がますます重要になる時代だと痛感しています。ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。

投稿者 sapporobiyou : 22:42 | コメント (0)

2007年08月28日

非喫煙者を守る会創立30年

 昨夜(平成19年8月27日)、非喫煙者を守る会、創立30年記念祝賀会が開かれました。
 1977年6月8日創立。弁護士の黒木俊郎先生が札幌の司法記者クラブで、設立の発表をなさったのがはじまりでした。
 その記事が北海道新聞に掲載され、それを読んで、札幌医大の学生だった私が、おそるおそる黒木法律事務所へ行きました。私は当時22歳でした。
 学生にとって法律事務所の敷居は高く、どんなところかわからないので、こわごわと伺ったのを覚えています。
      ■         ■
 私が学生だった頃の、札幌医大の講堂は禁煙ではありませんでした。
 灰皿はロビーという教室横のスペースにしかありませんでしたが、タバコ好きの学生が教室の後方に灰皿を持ち込んで吸っていました。
 ジュースの空き缶やコーヒーのカップなど、何でも灰皿にして吸っていました。
 ‘大人’はタバコを吸うのが当たり前の時代でした…。
      ■         ■
 はじめて伺った黒木法律事務所は、南大通にありました。札幌医大から歩いて行きました。
 黒木先生の部屋に本がたくさんあったのを覚えています。受付には非喫煙者を守る会のカード、ステッカー、バッチなど、さまざまなGoodsがありました。
 私は早速入会し、学友や大学の教官も‘勧誘’に歩きました。
 教授室なんてところは、学生はめったに行かない場所でしたが、各科の教授室や医局に行きました。
 教授が愛煙家かどうかはわかりませんでしたので、そんなのは気にしないで行きました。
 当時の札幌医大附属病院の院長は愛煙家だったそうです。
      ■         ■
 意外とたくさんの先生が入会してくださいました。『ボクもタバコを吸わないから入りたかったんだ』と喜んで入会してくれる先生もいらっしゃいました。
 特に外国留学から帰国された先生は『アメリカではタバコを吸う医者は軽蔑されるよ』と教えてくださいました。
 私が尊敬していた、法医学の八十島信之助先生も入会してくださいました。5千円のカンパをいただいたのを、今でも覚えています。
      ■         ■
 学部2年と呼ばれる、4年生の時でした。この年には、公衆衛生学実習がありました。私たちのグループは、医師の喫煙率調査を行いました。
 グループの中には喫煙者の学生もいましたが、各医局や札幌厚生病院などにアンケートに伺った記憶があります。
 私はクラスの中で『教室でタバコを吸うのはやめよう!』と訴えていました。
 昨日の会で黒木先生が出された創立当時のスライドに、若き日の私が写っていました。会にいらしていた、北海道医師会理事の先生(元同級生)から、『本間君が写っている!』と教えていただきました。22歳の若い私を見つけて、青春時代の1コマを想い出しました。

投稿者 sapporobiyou : 20:29 | コメント (0)

2007年08月27日

フィブラストスプレー

 昨日、科研製薬㈱が発売したフィブラストスプレーを紹介しました。この薬は、従来の薬とはまったく違った作用機序でキズを治す薬です。
 ヒトも動物もケガをすると、創傷治癒というメカニズムが働き自分で自分のキズを治します。
 服が破れても、そのままにしておけば破れたところが広がるだけです。
 ヒトや動物は、皮膚が切れたり骨が折れたりしたところは、自然に治るようになっています。
      ■         ■
 従来のキズ薬は、キズが治りやすい環境を整える作用が大部分でした。軟膏を塗ると、炎症をおさえるので、痛みが和らぎます。新しくできた細胞が成長しやすいように、湿潤(シツジュン)環境を作ります。
 外科手術でキズを縫合するのも、キズとキズをくっつけてキズの血管や細胞がくっつきやすくするだけです。
 キズは自分の力で、少しずつくっついて治ります。
 キズは安静にしていた方が治りやすいので、神様は‘痛み’という信号を作って、なるべく動かさないようにさせています。痛いと動かしませんから…。
      ■         ■
 キズができると、体の中にある、マクロファージという救急車のような細胞がキズに集まってきます。
 マクロファージは、血液中にある細胞です。マクロファージがキズに到着すると、細胞増殖因子(サイボウゾウショクインシ)という消化剤のようなものをキズに放出します。
 この細胞増殖因子の代表がbFGF(ベーシック・エフジーエフ)というタンパク質です。
 細胞増殖因子をかけられたキズは、自分の力で線維芽細胞(センイガサイボウ)、血管内皮細胞(ケッカンナイヒサイボウ)、表皮細胞(ヒョウヒサイボウ)という細胞を増殖させてキズを治します。
      ■         ■
 フィブラストスプレーはバイオ技術で合成したbFGFです。これを投与すると、自分の力で出した以上の‘キズを治す力’を発揮できるのです。
 この事実をヤケド治療に応用して、日本全国のさまざまな施設から学会で報告が出ています。
 ヤケド治療では全国トップレベルの、東京女子医大形成外科のグループは、統計学的有意差をもって、フィブラストスプレーの有用性を発表していました。私が尊敬する先生たちの発表で間違いありません。
 この治療法は日本発の‘画期的な’治療法です。そのうち世界標準になると思います。
      ■         ■
 残念なことに、こんなに素晴らしい治療法なのに、科研製薬㈱も厚生労働省も、フィブラストスプレーをヤケドに使うことを認めていません。
 承認が取れるまでに、かなり時間がかかるかもしれません。
 大手新聞社は、このような新しい薬のことを報道して、早くヤケド治療に使えるよう世論を動かして欲しいものです。
 朝日新聞の記者さんに、この日記を読んで欲しいです。

投稿者 sapporobiyou : 20:31 | コメント (4)

2007年08月26日

培養皮膚の現実

 昨日、名古屋のベンチャー企業、J-TECが開発した培養皮膚の記事を紹介しました。この新聞記事を読むと、培養皮膚を使うと、どんなヤケドでも元通りキレイに治るような印象を持ちます。
 6月8日の日記にも書いてありますが、1,000万円もする培養皮膚を使っても、深いヤケドを負うと‘絶対’に元のツルツルの肌には戻れません。
      ■         ■
 子供さんがヤケドをすると、『先生、どんなにお金がかかっても、私の皮膚を採っても、とにかく痕(アト)が残らないようにキレイに治してください』と懇願されることがあります。
 親として当然の気持ちですし、私も同じ立場だったらそう言うと思います。新聞に1,000万円の培養皮膚の記事が出ると、その切抜きを持っていらっしゃる方もいると思います。
 残念なことに、こんなに医学が進歩した世の中でも、神様がお作りになった、ヒトの皮膚を人工的に作ることはできません。
 培養皮膚と言っても、現時点でできるのは、オブラートのように薄くて弱いペラペラの‘培養表皮’です。
      ■         ■
 昨日、培養皮膚のことをGoogleで検索していたら、米国のサイトを見つけました。英語で培養皮膚のことをcultured skin(カルチャード スキン)といいます。
 そこに培養表皮で治療に成功した子供さんの写真が掲載されていました。
 下の写真は本人が特定できないように、顔の部分を外したものです。
 首から胸、両腕にかけて赤くなっている部分が、培養表皮で治したと考えられる部位です。
      ■         ■
 赤くなっているのは、瘢痕(ハンコン)とか肥厚性瘢痕(ヒコウセイハンコン)と呼ばれるキズです。
 培養皮膚は、元のツルツルの肌に戻せるのではなく、グチャグチャになって、血が出て滲出液が出て、そのままだとキズからバイ菌が入って死んでしまうようなキズを、早く治すのに役立つだけです。
      ■         ■
 それでも、そのままだと死んでしまう命を助けられるのはすばらしいことです。
 救命ということだけを考えると、現在は培養皮膚よりもスキンバンクという‘亡くなった方の皮膚’の方が有用性があると思います。
 私は直接治療にタッチしていませんが、あのコンスタンチンちゃんを救ったのは、東京から空輸された、亡くなったおばあさんの皮膚だと聞いています。
 現在、旭川赤十字病院形成外科部長をしていらっしゃる阿部清秀先生と札幌医科大学形成外科の当時のスタッフが救命しました。
      ■         ■
 新聞報道は、新しいことを伝えなければなりません。
 朝日新聞のような大新聞は購読者も多く、新聞を読むと‘すごい!’と驚くこともたくさんあります。
 署名記事で、記者の熱意も伝わってきます。ただ、もう少し専門家に検証するなどして、‘現実’を伝えないと、間違ったイメージを植えつけてしまいます。
      ■         ■
 現在、子供のヤケドを治すのに、もっとも優れた薬は6月7日の日記に書いた、bFGF(ベーシック・エフジーエフ)という薬です。商品名をフィブラストスプレーと言います。
 この薬は、もともと褥瘡(ジョクソウ)という床ずれのキズを治すのに開発されました。
 バイオ技術で作られた薬です。日本の科研製薬という会社が開発しました。
 残念なことに、科研製薬も厚生労働省も、ヤケドに使うことを認めていません。‘ヤケドに使うな’と注意が書いてあります。
 ところがこの薬を使うと、いままでは絶対に痕(アト)が残っていたようなヤケドもキレイに治ります。1万円ほどの薬ですが価値があります。
 私は一日も早く子供のヤケド治療に、この薬を使えるようにして欲しいと願っています。
 新しい厚生労働大臣に、この日記を読んで欲しいです。


cultured_skin.jpg

培養皮膚で救命した子供さん

http://www.burnsurvivor.comより引用

投稿者 sapporobiyou : 16:20 | コメント (0)

2007年08月25日

培養皮膚1000万円

 平成19年8月24日(金)の朝日新聞朝刊に、培養皮膚の記事が出ていました。6月8日の熱傷学会③の日記で紹介した製品です。
 以下は朝日新聞の記事です。
      ■         ■
 「培養皮膚」の製造販売を承認
 再生医療、初の商業化
 厚生労働省の医療機器・体外診断薬部会は23日、愛知県の企業が申請していた「培養皮膚」の製造販売を承認した。
 重症やけど患者自身の組織から作った皮膚のシートで、患部に移植して治療する。病気やけがで失った体の一部を再生させる目的でヒト細胞や組織を使った製品が国内で承認されるのは初めて。再生医療が国内でも商業化の段階に入った。(岡崎明子、田村建二)
      ■         ■
 申請していたのは、ベンチャー企業「ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング」(J-TEC)。9月末にも開かれる薬事・食品衛生審議会薬事分科会を経て、正式に承認される。
 培養するのは、皮膚の一番外側の「表皮」と呼ばれる部分。損傷していない皮膚組織を1平方センチほど採取して表皮細胞を分離し、マウスの細胞を加えてウシの胎児血清で培養する。約3週間で、8×10㎝の表皮シートが十数枚できる。これを病院に出荷し、医師が患部に移植する。
      ■         ■
 重症やけど患者は、全国で年間4,000~5,000人ほど。やけどが大きい場合は自分や家族の皮膚などを移植することが多いが、自分の皮膚は足りなかったり、他人の皮膚だと拒絶反応が起きたりする問題がある。
 培養皮膚はこれらをクリアでき、3日~1週間で自分の皮膚として生着するという。J-TECは皮膚の培養のほか、出荷検査、輸送までを請け負う。販売価格は現時点で1,000万円ほどの見込みで、今後、公的医療保険適用の申請を行う。
      ■         ■
 同社は99年、名古屋大の技術協力などを得て設立。培養皮膚は02年から国内2施設で臨床試験を行い、04年10月に製造販売を承認申請していた。
 再生医療は90年代後半からベンチャー企業などが製品開発に取り組んできた。しかし、脳外科手術でヒト乾燥硬膜の移植を受けた人がクロイツフェルト・ヤコブ病に感染する被害が社会問題化したことなどから、厚生省(当時)は00年に規制を強化。審査や安全性の確認に時間がかかるようになった。培養皮膚以外では現在、2製品が臨床試験の段階まで進んでいる。(朝日新聞、2007年8月24日から引用)
      ■         ■
 培養皮膚は大学病院の形成外科で10年以上前から作られていました。日本で一番最初に培養表皮移植に成功したのが、聖マリアンナ医科大学形成外科の矢永博子先生でした。
 現在は北九州市小倉北区で医療法人風の会 矢永クリニックを開業なさっていらっしゃいます。私は矢永先生が日本で一番キレイな培養表皮を作成できる先生だと思います。
 矢永クリニックのHPには培養表皮によるニキビ痕治療が紹介されています。
      ■         ■
 矢永先生の培養表皮がおいくらか?私は存じませんが、J-TECよりかなりお安いと思います。
 今から10年くらい前に、米国のベンチャー企業が培養表皮の製造販売をしていました。日本にも宣伝に来ていました。
 当時で約100万円でしたが、保険も効かず高すぎて使えませんでした。そのベンチャー企業はその後広告も出していませんし宣伝にも来ていません。
 J-TECが開発から承認までにかかった費用を積算すると、1,000万円になるのだと思いますが、高すぎます。
 厚生労働省は、もう少し早く承認できるようにするべきです。学会で一般化してから10年以上たっています。
 体力がないベンチャー企業は倒産してしまうし、新しい企業は育ちません。

投稿者 sapporobiyou : 09:52 | コメント (0)

2007年08月24日

カゼ薬でシミを治す

 平成19年8月23日(木)の北海道新聞朝刊に、しみ改善に効能。第一三共来月発売、初の厚労省承認薬品という記事が出ていました。
 以下は北海道新聞の記事です。
      ■         ■
 第一三共ヘルスケア(東京)は22日、しみの改善につながる成分を配合した医薬品「トランシーノ」を9月4日に発売すると発表した。
 30‐40代の女性のほおなどに見られるしみの一種「肝斑」に対する効能について、日本の医薬品で初めて厚生労働省から承認を受けた。
 肝斑は女性ホルモンの乱れなどが原因と考えられおり、トランシーノは有効成分のトラネキサム酸などを配合した。錠剤になっており、一日に6錠を約2ヵ月間、服用する。
      ■         ■
 一瓶が180錠(約1ヵ月分)入りで、希望小売価格は5,880円。会見した井手口盛哉社長は「トランシーノブランドの商品追加も考えたい」と述べた。
 広告に人気ヘア・メーキャップアーティストの藤原美智子さんを起用。本年度の出荷額は30億円を目指す。
 以上が北海道新聞の記事です。8面の経済欄に載っていました。
      ■         ■
 この記事だけを読むと、‘すごい薬が出た’、‘世紀の大発見’と思われる方もいらっしゃると思います。
 経済面ですから、第一三共の株を購入したら値上がり間違いなし?と思う方もいらしたと思います。
 実は、このお薬は、ずっと昔からある薬です。厚生労働省の承認も得ています。薬価(病院で請求するお薬の価格)は250mgで一錠12円です。ジェネリック品だともっと安い製品もあります。12×180=2,160で薬価だと180錠で2,160円です。5,880-2,160=3,720円は広告宣伝費ともうけです。
      ■         ■
 この記事は、あたかも世紀の大発明のように思えますが、‘オチ’があります。
 それは、しみの一つである‘肝斑’に対して一般医薬品(薬屋さんで買える薬)として承認を得たということです。
 お薬は、効果があることがわかっていても、厚労省が‘承認’しないと宣伝できません。このお薬は‘肝斑というしみに効きます’とお墨付きを得たのというのが今回の目玉です。
 皮膚科医や美容外科医の間では、肝斑にトラネキサム酸が効くことは昔から常識でした。
      ■         ■
 トラネキサム酸はカゼでのどが痛い時に、内科や耳鼻科の先生が処方してくださいます。
 トランサミンというのが一番有名な商品名です。札幌美容形成外科にはニコルダという製品があります。
 トラネキサム酸はすべてのしみに効くのではありません。肝斑というしみにしか効きません。見分けるのは専門医でも難しい場合があります。
 ほほに左右対称に出る薄いしみが肝斑です。かぜ薬が残っていたらチェックしてください。しみが治る可能性があります。

投稿者 sapporobiyou : 21:06 | コメント (1)

2007年08月23日

治療費未収

 平成19年8月23日(木)の北海道新聞朝刊のトップ記事です。北海道内の国立病院で、治療費の未収金残高が昨年度末で9,090万円になりました。今年度末には、1億円台になる可能性が高いそうです。
 治療費の未収金は公立病院にとって頭が痛い問題です。
      ■         ■
 私が市立札幌病院や帯広厚生病院に勤務していた時代にも未収金問題がありました。
 救急車で搬送されてきた患者様を目の前にして、『保険証がないと診療できません』とか『あなたは前月分の治療費が未払いなので治療できません』とは言えません。
 医師法第19条に【医師の応召義務】 という規定があります。 『診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない』という規定です。正当な事由とは、『医師の不在または病気等により、事実上診療が不可能な場合に限られる』という旧厚生省通達があります。
      ■         ■
 急病になって病院へ救急車で搬送され一命を取り留める。美談で終わるのはマレです。
 入院→仕事ができない→収入がなくなる→生活費もなくなる→入院費も払えない。となります。
 特に、高度救命救急センターに搬送され、集中治療室に入ると、とてつもない金額になることがあります。
 どんな高級リゾートホテルよりも高くつきます。
 私が知っている範囲で、一ヵ月の医療費が1,000万円を超えた方がいらっしゃいました。自己負担分だけで300万円になります。
      ■         ■
 このような一時的な高額医療費は、委任払(イニンバライ)制度を使います。事務手続きをすると、実際に病院窓口で支払う金額は低く抑えることができます。
 加入している保険の種類が、社会保険か国民健康保険かによっても違いますが、一ヵ月に10万円以上の負担はないのが通例です。
 それにしても、仕事ができなくなって、急に10万円払えと言われても困ります。
      ■         ■
 外国人も問題になります。私が札幌医科大学でロシア人の熱傷患者様を治療した際には、治療費を確実に支払うことで北海道が受け入れを決めていました。
 市立札幌病院に勤務していた時には、ロシア人船員が小樽で中古車を購入。無免許、酒酔いで運転して自損事故を起こし、救急車で搬送された方もいらっしゃいました。
 その方は治療費を支払えなかったので、未収金になっていました。
 最終的にどうなったかはわかりませんが、未収金になった場合は、札幌市民が納めた税金が使われることになります。
      ■         ■
 北海道新聞の記事によると、厚生労働省は、治療費を支払えない人は、治療を断れるように、医師の応召義務を見直す考えもあるようです。
 美容外科には関係ありませんが、私はお金がない人でも安心して治療を受けられる制度作りが必要だと思います。
 治療費が払えない人の分は、国が一時的に立替えて医療機関に支払うようにすれば、安心して治療が受けられます。
 議員さんに払っているわけのわからない‘調査費’なんか止めて、病気で苦しんでいる人を助けるべきです。

投稿者 sapporobiyou : 23:59 | コメント (0)

2007年08月22日

自治体病院再編

 平成19年8月19日(日)の北海道新聞に北海道の自治体病院についての記事が載っていました。
 自治体病院とは市町村が経営する病院のことです。
 北海道内の94ヶ所の市町村病院と7つの道立病院を合わせた累積赤字は、2005年度で計1,800億円です。
 北海道庁を筆頭にどこの自治体も財政難のため、一般会計からの繰入金には限度があります。
      ■         ■
 公務員は倒産する心配がなく、退職金もたくさんもらえるというのは過去の話です。
 昨年は道職員の給与が10%削減されました。赤字再建団体になった夕張市では職員の待遇が悪くなり、救急隊員が辞職しているというニュースが流れています。
 退職金を払えないので、定年を延長して退職金代わりにする構想もあるようです。
 財政難の地方自治体では、病院経営ができなくなっています。
      ■         ■
 病院に入るお金は、患者様からいただく自己負担金と保険者から支払われるお金で決まります。
 このお金の額は、厚生労働省が決める、診療報酬という価格表で左右されます。この価格を毎年下げられているので、自治体病院の経営も民間病院の経営も苦しくなっています。
 同じ内容の治療をしても、病院に入る収入が毎年少なくなるのです。職員の給与は下げることはできません。
 辞める医師や看護師が増えると、残された人に負担がかかります。給料は増えないは、仕事は増えるは、では辞めたくなって当たり前です。
      ■         ■
 病院の経営が難しくなった市町村は、近隣の市町村に患者様を‘回す’ことになります。
 北海道の構想では、道内を数十の区域に分け、各区域ごとに200床以上の規模で高度な医療や手術を行う中核病院を設置。その他の病院は、初期診療を担う診療所などに役割分担するというものです。
 中核病院としては、根室管内の中標津町立病院などがあります。近隣の羅臼町立病院は累積赤字が9億円になり、診療所に格下げしました。
      ■         ■
 一見、合理的な政策に見えますが、羅臼から中標津までは約65㎞もあります。
 車を持っている若者でも、簡単に行ける距離ではありません。
 病気や体が不自由なお年寄りに、羅臼から中標津まで通いなさいというのは無理だと思います。
 医療制度は、国民が健康で文化的な生活を営む上でとても大切なものです。憲法で保障された国民の権利です。
      ■         ■
 老人が増えて医療費が増大したから、医療費を削減する。医療費を削減するには、診療報酬を下げる。
 診療報酬を下げると、病院経営は成り立たなくなり、地方の医療機関から切り捨てられる。という悪循環です。
 私は、若い先生が‘夢とロマン’を持って働けるような医療制度改革をしないと、決して医師不足も僻地医療も改善しないと思います。

投稿者 sapporobiyou : 21:04 | コメント (0)

2007年08月21日

カバーマーク

 生まれつき顔に大きなアザがある子供さんがいらっしゃいます。日本人だけではなく、西洋人にも同じようなアザができます。
 1928年にニューヨークのリディア・オリリー夫人が「カバーマーク」という化粧品を発明しました。
 日本では1960年に発売されました。大学病院の皮膚科や形成外科では、アザがある子供さんにカバーマークをお薦めしていました。
      ■         ■
 現在はグラファ ラボラトリーズ株式会社から、カバーマークオリジナルという商品名で販売されています。
 デパートで売っているカバーマーク化粧品とは別の製品です。
 カバーマークオリジナルは、練りタイプのファンデーションです。基本色12色と調整色6色があります。
 これらの色から肌色に合わせて選び、合わない時は混ぜて調整することが可能です。
      ■         ■
 もともと子供さんのアザを隠すために開発された商品です。長時間塗っていても、色が落ちないのが特徴です。
 子供さんの柔らかい肌にも優しく作られているため、アレルギーが少ないのも優れた特徴です。
 このカバーマークのもう一つの特徴は、SPFが50という値の遮光効果です。一度塗ると落ちないので、遮光効果が高く、シミを隠すのにはもってこいです。
 レーザーでシミをとっても、赤みがある間に紫外線に当てると、シミがかえって悪化します。PIHという色素沈着です。
 カバーマークを塗っていると、シミや赤みを隠せるだけではなく、紫外線を防御できますので、再発防止にもなります。
      ■         ■
 レーザーが開発される前は、顔半分が真っ黒になるアザでも治せませんでした。
 Qスイッチレーザーというレーザー機器が発明されて、アザの治療は飛躍的に進歩しました。
 レーザーで治療しても、すぐに普通の皮膚になるわけではありません。一時的に赤くヤケドをしたようになります。
 この時に役立つのがカバーマークです。
      ■         ■
 自分自身の顔に大きなアザがあったリディア・オリリー夫人が開発したカバーマークは、優れた‘医療材料’だと思います。
 私が25年以上前に、はじめて見たカバーマークのインスタラクター(マークアーチスト)の方も、ご自身の顔に大きな太田母斑という黒いアザがありました。
 カバーマークをつけていると全くわかりませんでしたが、私たちの目の前でカバーマークを落とすと、黒い大きなアザが出ました。
 それを上手にカバーマークで隠すのは手品を見ているようでした。
      ■         ■
 メディカルメイクというNPO法人もあるようです。手術やレーザー治療をしないでキズを隠すメイクもあります。
 カバーマークオリジナルは、デパートの化粧品売り場では販売されていません。
 特定の美容室で扱っていらっしゃいます。札幌美容形成外科でも一部の製品を販売しています。グラファ ラボラトリーズ株式会社のHPからも購入できます。

投稿者 sapporobiyou : 23:55 | コメント (0)

2007年08月20日

顔のニキビ

 5月28日にニキビと毛の関係を書きました。女性でも顔に毛が生えています。薄くて目立たない人から目立つ人まで個人差があります。
 難治性のニキビで悩んでいる人の中には、顔の毛が多いことが原因になっている場合があります。
 毛には皮脂腺(ヒシセン)が開口していて、ここから‘脂(アブラ)’が出て皮膚を潤し(ウルオシ)ます。
      ■         ■
 皮脂腺にはキズを治す細胞もあります。ヤケドをしても、顔は皮脂腺が多いため治りやすいという利点があります。
 思春期にはホルモンの影響で、この皮脂腺が活発に活動することがあります。
 そうすると、何回顔を洗っても顔がギトギトに脂ぎってしまいます。たまった脂にバイ菌がつくと、感染して赤く腫れてしまいます。
 赤くなったニキビの奥には、毛が潜んで(ヒソンデ)いるため、この毛の根っこをとらないと、いつまでたっても治りません。
      ■         ■
 おでこ、ほっぺ、あごなどにできて、何週間も赤みが取れない、しこりのようなニキビは、指で押しつぶしてもダメです。
 針のように先が細い手術用ピンセットで、丁寧に中の毛を取り除くと快くなります。
 レーザーを当てても、炎症の原因になっている毛の根っこは取れません。
 手術用顕微鏡で見ながらひとつひとつ退治します。中から白い膿と一緒に毛と毛の根っこが出てきます。
 そこに炎症を抑える軟膏を塗ると数日で赤みが取れてキレイに治ります。
      ■         ■
 札幌美容形成外科ではレーザーフェイシャルという治療をしています。
 脱毛用のアレキサンドライトレーザーで顔の毛を処理する治療です。最初はシミの治療目的ではじめましたが、最近はニキビに悩む方に評判です。
 難治性のニキビはレーザーフェイシャルだけでは治りませんが、レーザーフェイシャルを繰り返すことで毛が少なくなります。
 その結果、ニキビの原因となる皮脂腺の活動も減って、つるつるお肌になってきます。
      ■         ■
 フォトフェイシャルなどの光を利用した肌の治療は、アザや脱毛治療をしていて、肌がキレイになることから開発されました。
 レーザーフェイシャルをすると、‘顔そり’をしなくても済むので楽だと言われる方もいらっしゃいます。
 毛が生えてきたら、繰り返されると効果的です。
 当院と同じキャンデラ社製のGentleLASE(ジェントルレーズ)という機種を使っている医療機関でしたら、同じ治療を受けられる筈です。
      ■         ■
 まだ日差しが強いので、赤くなったニキビには紫外線を当てないでください。PIHという色素沈着になります。
 レーザーフェイシャルをした後も、おでこや上唇(ウワクチビル)は赤くなります。紫外線防御のために、札幌美容形成外科ではカバーマークⅡという製品をお薦めしてます。
 憎きニキビを退治してお肌つるつる美人になりましょう。

投稿者 sapporobiyou : 21:42 | コメント (1)

2007年08月19日

サーモンフィッシング

 北海道は秋の紅葉が終わって、雪景色の冬になるまでの期間は何もなく、観光シーズンの端境期(ハザカイキ)になります。
 11月から12月中旬までは、枯木が目について、キレイな花の咲いたお花畑も寂しくなります。
 この時期はホテルや旅館も暇になります。一年を通じて常にお客様にいらしていただければ、経営的にも安定していますが、繁忙期と閑散期の差が激しいと経営は大変です。
      ■         ■
 航空機の切符も、閑散期は安くなります。安い時期に旅行に行くのは楽ですが、枯木ばかりの北海道に来てもつまらなくて退屈します。
 私が北海学園大学ニトリ講座で石屋製菓の石水勲社長の講義をお聴きした時に、この北海道の観光端境期にサーモンフィッシングの構想があることを伺いました。
 一般的に北海道に遡上する鮭はシロザケと呼ばれるサケです。
 シロザケは遡上する際に餌を捕食しないので、しだいにやせ細ります。最後にはホッチャレと呼ばれる哀れな姿になり一生を終えます。
      ■         ■
 サケ科の魚の中には、遡上しても餌を捕食してホッチャレにならない魚種があるそうです。
 石水社長の構想では、キングサーモンの仲間を豊平川に放流して、観光端境期の10月~11月に、日本全国やアジア圏から大勢のサーモンフィッシングファンを呼ぼうというお話しでした。
 生態系に与える影響など、問題はあるのでしょうが、この景気が悪い北海道に、何か新しい観光資源を開発するのはとても有意義だと思います。
      ■         ■
 確かに賞味期限の問題では、石屋製菓に改善していただき、生産管理体制を新しくする必要があると思います。
 石水社長に対する非難ももっともだと思います。
 私は、石水社長が頑張って作られた、コンサドーレ札幌や白い恋人パークが北海道に役立った点を評価したいと思います。
 失敗は誰にでもあると思います。問題なのはその失敗からどう立ち直って、またやり直せるかです。
      ■         ■
 豊平川にたくさんの観光客がやってきて、豪快にサーモンフィッシングを楽しむのは夢がある事業だと思います。
 豊平川が無理なら、石狩川や他の一級河川でできたらと思います。
 今のままの北海道では、いつまでたっても景気がよくなりません。
 失業率も高く、生活も苦しいままです。北海道にしかできない事業を官民で考えて実行することが重要です。
      ■         ■
 白い恋人に一日も早く立ち直っていただきたいと願っています。
 サーモンフィッシングは一例ですが、石水社長にはこのまま退陣していただきたくないです。
 石水社長には、他の人にできない何かがあると感じました。

投稿者 sapporobiyou : 22:23 | コメント (0)

2007年08月18日

白い恋人

 私は毎年3月14日のホワイトデーに、白い恋人を従業員に贈っています。昔、家内の実家を訪ねる時にもよく白い恋人を買っていました。
 韓国の学会に招待された時のお土産も白い恋人です。
 韓国には白い恋人のような美味しいお菓子がないそうで、とても喜ばれていました。
      ■         ■
 北海学園大学のニトリ講座で石水社長の講義をお聴きしました。
 石屋製菓は、現社長のお父さんが札幌市北区茨戸(バラト)近くで、水飴(ミズアメ)を作るお菓子屋としてはじめたそうです。
 終戦後の甘いものがなかった時代に、水飴はよく売れ、その後は駄菓子を製造し販売していたそうです。
 一時期は駄菓子もよく売れたましたが、時代とともに売れなくなり、試行錯誤の上に石水社長が作られたのが、クッキーとホワイトチョコを挟んだ白い恋人でした。
 苦労して作ったお菓子ができた時の喜びを講義でお聴きしました。
      ■         ■
 フランスのグルノーブルで開かれた冬季オリンピックの記録映画の音楽が‘白い恋人たち’でした。フランシスレイという作曲家の映画音楽で、昔のスキー場ではよく流れていました。
 白い恋人の発売前にヒットしていた北海道のお菓子に、当時の帯広千秋庵(現六花亭)が作ったホワイトチョコがありました。
 帯広でしか買えないという希少価値と、フキノトウの包装紙に包まれた白いホワイトチョコが人気でした。
 石水社長はこのホワイトチョコとクッキーのミックスを考え試行錯誤を続けたそうです。
      ■         ■
 白い恋人のネーミングは、ちょうど初雪が降ってきた頃にお菓子が完成し、石水社長のお父さんが、『白い恋人たちが降ってきた』と言われたのがきっかけだと伺いました。
 体育会系の石水勲社長が、お菓子を持って千歳空港の全日空カウンターへ行き『このお菓子を機内で配ってください』とお願いしたのが成功のはじまりだったというのが有名です。
 この時に、全日空の担当者が会社を見せてくださいと言われ、工場の見学にいらしたそうです。
 全日空から製品の衛生管理などに改善を求められ、これがきっかけとなって石屋製菓の体制が変わったと講義でお聴きしました。
      ■         ■
 昨日、うちの職員に『来年のホワイトデーはどうしようか?』と尋ねたところ、
 『白い恋人は美味しいので、また白い恋人がいいです』と言ってもらいました。
 今回の事件を契機にして、是非、石屋製菓を立て直して欲しいと願っています。
 新しい社長は、北洋銀行から慶応大学卒の重役さんがいらっしゃるそうです。
 経営は銀行からいらした社長に任せて、新しい白い恋人を作っていただきたいです。
      ■         ■
 昨日まで順調だった企業も何が起こるかわからない時代です。
 新しい白い恋人には、‘白い恋人ライト’などの、カロリーが低くて美味しい製品を追加していただきたいと願っています。
 カロリーが低くて、味がよくて、食べても太らないお菓子は絶対に売れます。
 白い恋人というネーミングも好きです。白い恋人が一日も早く立ち直って欲しいと願っています。
      ■         ■
 講義でお会いした時の石水社長は、お嬢様がご結婚なさってとても嬉しそうでした。
 今は人生で最悪の時かもしれませんが、また一人のお菓子職人として、美味しいお菓子を作ってください。
 銀行マンに経営再建はできても、お菓子は作れませんから…。

投稿者 sapporobiyou : 16:59 | コメント (0)

2007年08月17日

人間の能力

 数学の問題を何回やってもダメだった経験は、医学部を受験した人なら誰でも持っていると思います。
 ところが、世の中には頭の良い人がいるもので、一度参考書で問題を見ただけでスラスラと解ける人もいます。
 医学部の勉強は、ほぼすべてが丸暗記です。解剖学は頭の先から、つま先まで全ての骨、筋肉、神経、血管の名前を地図を覚えるように覚えなくてはなりません。
 解剖学実習には口頭試問がありますので、カンニングもできません。
      ■         ■
 私など何度もなんども復唱して、トイレに紙まで貼って覚えたものです。苦労して覚えたことは、なかなか忘れません。
 カメラで撮ったか、頭の中にコピー機でもあるの?と思うくらい覚えるのが早い人がいます。
 覚えるのが早く、忘れるのも早い人もいます。試験の時に覚えてさえいれば試験は通ります。
 医師国家試験の前にも、膨大な量の過去問や問題集を叩き込まないと合格できません。
 普通の頭の人は、何度もなんども忘れて『自分はバカだなぁ~』と思いながら、苦労して覚えるものです。
      ■         ■
 学生さんにレポートを書かせても、短時間で見事に立派なレポートを完成させる人がいます。
 頭のデキが違うなぁ~と感心されられることがありました。
 大人になって社会に出て仕事をするようになっても、個人の能力の差は出てきます。
 研修医に仕事を教えても、一度で覚える人も、何回教えても間違える人もいます。
      ■         ■
 私はデキのよい研修医ではなく、北大に入った時はよくチーフレジデントの先生から叱られていました。
 一番、頭がよかったのは斉川(サイカワ)先生という北大卒の先生でした。彼は頭がよかっただけではなく、ピアノが上手で形成外科の宴会で見事な腕を披露してくれました。
 残念なことに、斉川先生は北大形成外科を辞めて国立がんセンターに行ってしまいました。今は東京で仕事をなさっています。
 デキが悪かった私は、他の研修医や看護師と一緒にチーフの先生から叱られながら、コツコツと仕事を覚えました。
      ■         ■
 人間にはさまざまな能力があります。受験勉強や医師国家試験の勉強は‘暗記’が得意な方に向いています。
 ところが、実際の医療は‘暗記’では片付けられない難問がたくさん出てきます。
 研究者になっても、ただ‘暗記’が得意なだけでは世界に通用する研究はできません。
 どの職種にも共通して言えることは、他人と接する‘医療’を実践するには、他人とよくコミュニケーションを取れる能力が必要なことです。
 他人の目を見て話すことができる能力が大切です。
      ■         ■
 このような能力は学校で教わるのではなく、職場や社会に出てから自分で磨くものです。苦労して失敗して覚えるものです。
 私もコミュニケーション能力が高い方ではありません。
 今は、一開業医として、美容外科・形成外科の診療を生業(ナリワイ)としています。
 受験勉強で役に立っていることはあまりありません。数学よりも簿記でも覚えていたらどんなに役立つだろうと思います。
      ■         ■
 受験では挫折も味わいました。奈落の底から這い上がる力も受験でできたかもしれません。
 丸暗記では覚えられない、さまざまな‘試練’という経験を積むのが受験勉強の価値であり、人間の能力を高めるのかもしれません。

投稿者 sapporobiyou : 23:21 | コメント (0)

2007年08月16日

アトピー性皮膚炎

 私は高校から大学まで、札幌市西区八軒(ニシクハチケン)に住んでいました。
 当時は、地下鉄東西線がなかったので、交通機関は国鉄(今のJR)函館本線の琴似駅か市営バスでした。
 琴似に来る市営バスは9番と29番という2路線がありました。
 両方とも今はありませんが、9番は大通西4丁目の秋田銀行の前から、29番は市民会館の前から出ていました。
      ■         ■
 琴似線のバスに乗車すると、顔や首から手まで皮膚が真っ赤な男子学生にたまに会いました。
 話したことはありませんでしたが、気の毒なくらい皮膚が真っ赤でした。ところどころ盛り上がっているところとか、白く粉をふいたようになっている部分もありました。皮膚科の専門用語で紅斑(コウハン)、鱗屑(リンセツ)、苔癬化(タイセンカ)を伴う紅斑と言います。
 彼も自分の皮膚を気にしているのか、いつも人目を気にしている様子でした。
      ■         ■
 今考えると、彼は重症のアトピー性皮膚炎だったと思います。
 私は皮膚科専門医ではないので、アトピー性皮膚炎の治療は行っておりません。
 市立札幌病院に勤務していた時に、皮膚科に入院治療をなさったアトピーの患者様を診る機会がありました。
 重症のアトピーは本当に気の毒なくらい、皮膚が赤く痒く(カユク)なります。
      ■         ■
 市立札幌病院皮膚科に入院されたアトピーの患者様は、皮膚科の先生や看護師さんから、毎日スキンケアーの方法を指導されていました。
 ベテランの婦長さん(今の看護師長さん)が『入院して軟膏の塗り方を覚えていただくだけでも、驚くほど快くなるのよ』とおっしゃっていたのを覚えています。
 その時に私は、アトピーは外用薬の使い方や生活指導でかなり改善するということを知りました。
 軟膏は薄く何回か塗ること。ベトベトにするのはよくないそうです。
      ■         ■
 札幌美容形成外科を受診なさる患者様にもアトピーの方がいらっしゃいます。
 眼瞼下垂症を主訴に受診される方に、アトピーによって症状が悪化している方がいらっしゃいます。
 お話しを伺ってみると、皮膚科へ行っても快くならないので、自分で東北地方の温泉へ行って治している。
 皮膚科でもらったステロイドでひどい目にあったので、外用薬は使わず漢方だけで治している。という方が複数いらっしゃいます。
 私は信頼できる皮膚科医をご紹介して、まずアトピー性皮膚炎を治すようにお話しします。上手にスキンケアーをすることで症状は必ず快くなります。
 ベテランの皮膚科医に外用剤とスキンケアーを指導していただくのがよいと思います。
      ■         ■
 アトピー性皮膚炎は皮膚の病気ですから、専門は皮膚科だと思います。
 高価な民間療法よりも、マメに皮膚科に通って、毎日スキンケアーをすることです。
 入院の必要は必ずしもないと思いますが、外用剤の使い分けは必要です。
 皮膚は顔でも瞼と頬では厚さも構造も違いますし、顔と背中では全く厚さが違います。

投稿者 sapporobiyou : 23:48 | コメント (0)

2007年08月15日

エアコン

 私は札幌生まれの北海道育ちなので、暑さにはめっぽう弱い体質です。4日連続の記録的猛暑で参っています。
 暑いと頭はボ~っとするし、夜もよく眠れません。今日の日記更新も遅くなってしまいました。家の居間は深夜なのに、まだ29℃もあります。
 医師になってからは、一日中、空調完備の手術室で仕事をしているので、昼間は快適です。
 快適なクリニックで仕事をしていると、夜、家に帰ってからが大変です。
      ■         ■
 北海道は涼しいのでエアコンはあまり普及していません。私の学生時代は、高校までは学校にエアコンはありませんでした。北海道は喫茶店にエアコンが無いといわれていた時代でした。
 予備校に通うようになってはじめてエアコンの涼しさを体験しました。夏は暑いので予備校の自習室は快適でした。
 私が学生の頃は、札幌医大の教室はエアコン無しでした。扇風機もありませんでした。
 病院でエアコンがついていたのは、検査室の一部だけで、病室にもエアコンはありませんでした。
 今は札幌医科大学にはエアコン完備の立派な図書館がありますが、昔は窓を全開にしても暑い図書館でした。
      ■         ■
 私は暑がりだったので、学生時代にアルバイトで貯めたお金で買ったのが窓用クーラーでした。
 昭和53年に今のロビンソン百貨店の前身である、ヨーク松坂屋が開店ました。薄野にあった松坂屋とイトーヨーカ堂が提携してできたと記憶しています。その開店記念に、GE製の窓用クーラーを特売で売っていました。
 当時のお金で6万円程度でした。自分が稼いだお金で窓用クーラーを買って部屋につけました。
 大学時代の試験勉強や医師国家試験の勉強に役立ちました。
      ■         ■
 平成元年4月から市立札幌病院皮膚科に勤務しまた。生まれてはじめて‘皮膚科医’になり、皮膚科主任医長の嶋崎先生の総回診につきました。
 わずか2年間でしたが、毎週の皮膚科総回診で皮膚病について教えていただきました。
 皮膚病の人は、暑い夏に症状が悪化することが多いそうです。暑くて痒くなり、掻いてキズができて悪化します。
 私は皮膚科の嶋崎先生から、皮膚病にエアコンが効果的であると教わりました。
 老練な皮膚科医である嶋崎先生の持論は『夏は金太郎さんの腹掛けが一番』でした。
 つまり風通しをよくして、汗をなるべくかかないようにすることでした。
      ■         ■
 息子がアトピーだったので、いつも痒いかゆいとアイスノンで冷やしていました。
 息子はかゆくて辛そうで『ボクをアトピーに生んだお母さんが悪い!』と家内に文句を言っていました。
 エアコンは贅沢だと思っていましたが、自分の家を作る時にエアコンをつけました。
 エアコンのおかげで皮膚も快くなり、子供も涼しいのでよく眠っていました。
 アトピー性皮膚炎は、上手にスキンケアーをすると快適に過ごせます。少し贅沢かもしれませんが、アトピーの方にはエアコンをお薦めします。
      ■         ■
 今はエアコンも海外生産の廉価版があります。私が買った窓用クーラーの価格で、6畳用のエアコンが工事費込みで買えます。
 アトピー性皮膚炎の方や受験生にはエアコンをお薦めします。
 快適に過ごすために、涼しさを買うのは贅沢ではないと思います。

投稿者 sapporobiyou : 23:59 | コメント (0)

2007年08月14日

受験生の夏

 今日の新聞に来年の国公立大学の募集要項が掲載されていました。
 私が高校生だった、35年前は前期・後期ではなく、一期校・二期校という分け方でした。
 一期校は3月上旬の3日とか4日に試験日があり、二期校は3月20日過ぎが試験日でした。
 一期校に落ちた人が行くのが二期校というイメージでした。小樽商科大学のように二期校でありながら、第一志望にされる大学も例外的にありました。
      ■         ■
 一期校は旧帝大の、東大・京大などを代表とする有名国立大学です。北海道では、一期校は北大でした。
 札幌医大は、北海道が設立した公立大学でしたが、試験日は一期校と同じ3月3日と4日でした。
 今は、前期が札幌医大、後期が北大医学部という併願も、しようと思えばできますが(実際にこのパターンは少ないと思いますが…)、昔は‘絶対に’札幌医大と北大は併願できませんでした。
 今も昔も、レベルは北大医学部(北医)が札幌医大(札医)より上です。模試の成績判定で北医A、札医Aなんて人は本当に上位の数人だったように思います。
 ちなみに私は札医Aがついたのが、予備校の秋以降だったと思います。だいたいは札医Bくらいだったでしょうか?
      ■         ■
 試験科目は、北医は理科2科目で、理科は物理が必須。生物と化学から一科目選択でした。札医は理科が物理・化学・生物から2科目選択でした。
 物理が苦手だった私は、この時点で北医は諦めていました。予備校時代に少しずつ成績がUPしてはいたものの、私の周囲には、前年に北医A札医Aで常に成績上位だったのに、どういう訳か?北医に落ちて2浪している人が何人かいました。
 私の目標は、1浪で札幌医大に入ることでした。
      ■         ■
 3月に落ちて、4月に予備校に通い始めて、あっという間に夏になり、お盆も過ぎていました。
 ‘受験は夏で決まる’なんてことを予備校の先生から言われました。数えてみると、あと半年でまた試験です。
 今はセンター試験が1月にありますので、あと5ヵ月です。
 私は、数学の問題はさっぱり解けないし、成績もUPしないし、模試の判定も変化なしという状況でした。
      ■         ■
 自治医大という大学が栃木県にあります。僻地(ヘキチ)のお医者さんになる人を育成するために作られた大学です。
 都道府県が奨学金を出してくれるので、授業料は実質タダ。その上、生活費としてお小遣いまで貸してくれる大学です。
 試験日も、国公立大学の前にありましたので、一期校や二期校と別に受験できました。
 かなり倍率が高い大学で30倍以上あった記憶があります。そこの判定はいつも自治医Dとかでした。
      ■         ■
 暑くて勉強をしていても、頭がぼ~っとしてなかなか進みません。
 浪人したけど、来年は大丈夫かなぁ~?と不安な日々を送っていました。
 予備校の同じクラスには、私よりずっと優秀だったのに落ちた人がいました。自分も2浪かなぁ~?2浪はしたくないなぁ~。という毎日でした。
      ■         ■
 西高に入学した頃は大の苦手だった英語の成績がUPしてきていました。ラジオの英語会話も聴いていたので、聞く力がついていました。ヒアリングはほぼ100%できるようになりました。
 私は特別頭が良かった訳ではありません。ただ、この日記を毎日書いているように、辛抱強く、諦めずに続ける力はこの頃につきました。
 北医Aでも落ちた人がいる。私なんか現役の時は札医Cくらいが最高でした。今、自分が浪人しているのは当然の結果だ。開き直りとも諦めともとれる心境でした。
      ■         ■
 不安でも、毎日コツコツ勉強を続けました。もちろん‘彼女’の‘カ’の字もありません。ひたすら毎日勉強でした。
 パチンコやマージャンをしていた予備校生もいましたが、私は酒もタバコも一切しませんでした。
 こうして、勉強を続けた結果、翌春には、札幌医大と自治医大に合格できました。
 自治医大には北海道から3人が合格しました。あとのお二人は北医に合格。私の合格は‘奇跡’と言われました。判定がDでしたから。
 受験生の皆さん、決して最後まで諦めないでください。
 一度、挫折を味わって一年間努力した人は必ず後から報(ムク)われます。私の人生哲学です。

投稿者 sapporobiyou : 23:59 | コメント (0)

2007年08月13日

お父さんの仕事は当直

 私が以前勤務していた総合病院の産婦人科の先生の話しです。
 子供さんが幼稚園で先生から『お父さんのお仕事は?』と聞かれて、答えたのが、
 『うちのお父さんのお仕事は当直!』
      ■         ■
 『いゃ~ぁ、参ったよ!』
 確かに、週に2回も3回も当直があって、家に帰ると子供はすでに寝ているので、毎日寝顔を見るだけ。
 子供が妻に『今日もお父さんいないの?』と聞くと、
 『お父さんは、今日もお仕事で当直なのょ』
 幼稚園でお父さんのお仕事は当直と答えても当然だよね。
      ■         ■
 その総合病院では、院内当直と救急当直の他に、外科と産婦人科は科内当直を置いていました。
 大学病院では、各科毎に当直医がいるのが当たり前ですが、総合病院では病院当直が一人です。
 各科の医師は、オンコールといって、何か用件があれば電話で呼び出されるシステムです。
 医療法の規定では、30床の病院でも800床の病院でも当直医の数は一人です。つまり、小規模であろうが大規模であろうが当直医の数は一人が法定数です。
      ■         ■
 地域周産期母子医療センターは母体搬送など、他の医療機関で手に負えない妊婦さんの治療をします。高度の専門知識を持った医師やスタッフが必要です。
 産婦人科専門医の数は少なく、最も医師数が多い施設でもせいぜい6人程度です。
 その中には、一人では満足に治療ができない先生もいるので、中堅の医師にかかる負担はかなりのものになります。
      ■         ■
 重症の妊婦さんは、急に容体が変化することもあります。
 たとえ緊急手術をしたとしても、その後に術後管理をしなくてはいけません。
 下の先生が当直当番でも、頼りなかったら上の先生(業界用語でオーベンと言います)がつくこともあります。
 その結果が『うちのお父さんのお仕事は当直!』ということです。
      ■         ■
 以前にも書きましたが、お産はある一定割合で必ずトラブルになります。
 医学が発達したのに、たかがお産ごときで死ぬことなんて無いと思っていらっしゃる方が多いと思います。ところが世界中ではかなりの数の妊婦さんと赤ちゃんが亡くなっています。
 お産はもしトラブルになると、赤ちゃんとお母さんの2人の命が危険になります。
 妊婦さんの側に、喫煙・性感染症など、問題がある方が増えているのも事実です。
      ■         ■
 昔から、医者で一番の早死には産婦人科と言われています。
 ストレスが多く、時間が不規則で、拘束時間が長い…、少しくらい給与が高いだけでは産婦人科医になる人はいません。
 医学生や臨床研修医は、冷めた眼で現場を見ていますので、産婦人科医になる人は減っています。
      ■         ■
 産婦人科医はリスクの大きな周産期治療ではなく、自由診療で料金が高い不妊治療などを専門にするようになります。
 私は韓国で、産婦人科を辞めて美容外科になりたいという先生に‘二重まぶた’の手術を教えました。
 安心して子供が生める医療システムを作らないと日本は滅びます。

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2007年08月12日

医師が辞める理由

 昨日、天使病院の産婦人科医が9月末で全員辞めるという北海道新聞の記事を紹介しました。
 医師が辞める理由はさまざまですが、一つの科の医師が全員辞めるというのは、あまり例がありません。江別市立病院で内科医が辞めたのが記憶にある位です。
      ■         ■
 一般の方には想像できないと思いますが、医師は横のつながりが極めて強い職種です。
 学会を通じて、全国や世界各国の同業医師と友だちになります。学会発表や論文を見ると、その先生にどの位の力量があって、どんな考えの先生かも推測できます。
 医学部は6年間もありますので、100人近い人が小学校1年生から6年生まで同じ学校に通うようなものです。
 同級生とは強い連携ができますし、6年間も同じ学校に通うので、性格から行動までおおよそ全てがわかります。
 同級生から信頼されない医師は、ダメ医師のレッテルを貼られたようなものです。
      ■         ■
 専門科目を専攻するようになってから、一番強いつながりができるのが、大学の同門(ドウモン)です。大学病院で同じ釜の飯を食べて、医師として腕を磨いた仲間のことです。
 現在、30歳以上の中堅の先生は、医局制度が健在だった頃に専門医になっています。
 私も含めて、何もできなかった新米の医師を育ててくれたのが大学の医局でした。
 産婦人科は北大も札幌医大も大きな医局でした。横のつながりも極めて強い医師集団が大学の同門でした。
      ■         ■
 天使病院は2003年7月から社会福祉法人聖母会から医療法人社団カレスアライアンスに病院事業が継承されました。
 当時の天使病院長は藤本征一郎先生でした。藤本先生は北海道大学産婦人科の名誉教授です。北大産婦人科と強いパイプを作り、地域周産期母子医療センターを立ち上げるというのが医療関係者の見方でした。
 医療法人社団カレスアライアンスは、室蘭の日鋼記念病院が原点になっている医療法人です。理事長の西村昭雄先生が、日本製鋼所の企業病院だった病院を、日本でも有数の優良病院に育てたことで有名です。
      ■         ■
 西村先生は北大第一外科の助教授から室蘭の日鋼病院の病院長に就任されました。
 西村先生が赴任された頃の日鋼病院は、とても立派な病院とは言えない古い病院だったそうです。
 その病院を西村院長が大手術をして、今の日鋼記念病院に育てたそうです。
      ■         ■
 不思議なことに、日鋼記念病院でも、現在、産婦人科が休診しています。
 私の推測ですが、西村理事長と北大産婦人科に何かがあったと思います。
 医師が辞める理由はさまざまですが、大学の医局と病院のどちらを取るかと問われれば、答えは大学の医局です。
 太い絆(キズナ)で結ばれた大学の同門は団結が強いものです。
      ■         ■
 産婦人科医の処遇をめぐって、医療法人との間に‘絶対譲れない何か?’があったのだと思います。
 一般病院では、医師の待遇が年々悪くなっています。給料は下がるは、責任は重くなるは、拘束時間は長くなるは…。
 急患の診療で休日も休みなし。子供と夏休みを取ろうと思ってリゾートホテルを予約しても、病院からの呼び出しで予約はキャンセル。
 奥さんからも子供からも責められては、お父さんも病院を辞めたくなります。
 札幌から安心してお産ができる病院をなくさないで欲しいと願っています。

投稿者 sapporobiyou : 16:14 | コメント (0)

2007年08月11日

天使病院

 平成19年8月10日と11日の北海道新聞に天使病院の記事が掲載されていました。
 天使病院は札幌市東区にある260床の病院です。明治44年(1911年)に開院した歴史のある病院で、札幌市民や北海道の人にはよく知られています。私の長男も天使病院で生まれました。
      ■         ■
 その名前の示す通りキリスト教の病院でした。以下は天使大学HPから引用しました。
 1908(明治41)年「マリアの宣教者フランシスコ修道会」本部(ローマ)から7名の修道女が札幌に派遣されました。修道女たちは施療所(現・カレスアライアンス天使病院)を開設し、日夜貧しい人々へ手をさしのべ、病める人々に献身的な看護を行いました。
 1924年(大正13年)に病院付属看護婦養成所を開設。
 1947(昭和22)年に札幌天使女子厚生専門学校が設立されました。
 現在まで60年間で8500名以上の卒業生が看護師・栄養士・養護教員などとして活躍されています。
      ■         ■
 天使大学の同窓会長は、鎌田とし子先生です。栄養科5期卒。東京女子大学名誉教授で社会福祉学博士です。
 私は一度鎌田先生のお話しをお聞きしたことがありますが、とても優秀な先生でした。
 昔の天使病院には、たくさんのシスターがいらして、病める病者に優しい愛の手を差しのべていました。
      ■         ■
 2003年(平成15年)7月から社会福祉法人 聖母会から医療法人社団カレスアライアンスに病院事業が継承されました。
 当時の藤本征一郎病院長の2005年のお言葉です。
 公益性が求められる病院は「社会公器」であり、目先の「利益」よりは「義」が重んじられなければなりません。公益性を指向する「運営」が経営を改善し、受療される地域の皆様と病院職員一同とが、ともに初めて満足感を共有しうるものと私は考えます。
      ■         ■
 天使病院で何があったか私にはわかりませんが、産婦人科医全員が9月末で辞めてしまうそうです。
 天使病院は地域周産期母子医療センターという早産や重い妊娠中毒症など高いリスクの出産を受け入れている数少ない病院の一つです。
 天使病院が産婦人科を休診すると、重症の妊婦さんが受け入れてもらえない可能性が出てきます。奈良県の死亡事故が思い出されます。
      ■         ■
 天使病院の院長になられた杉原平樹(スギハラツネキ)先生は私の恩師です。初代、北海道大学病院長です。
 杉原先生の再建手術は慎重で丁寧な手術でした。‘失敗した’手術を見たことがありませんでした。私たち北大形成外科同門の間では「スギさん」と親しみを込めて呼ばれていました。
 杉原病院長のご尽力で、何とか天使病院から産婦人科の灯を消さないで欲しいと願っています。数多くのシスターもお祈りなさっていることと思います。

投稿者 sapporobiyou : 20:47 | コメント (0)

2007年08月10日

がん免疫療法

 平成19年8月8日の北海道新聞に‘がん免疫療法’の記事が掲載されていました。
 治療を実施しているのは、帯広市の北斗病院です。
 私が帯広厚生病院時代にお世話になりました。もともと札幌の中村脳神経外科に勤務していた、鎌田先生と橋本先生が作った脳神経外科の病院でした。
      ■         ■
 私が帯広にいた平成7年から平成10年までは、帯広厚生病院に脳神経外科がありませんで。
 現在、北斗病院理事長をしている橋本郁郎先生が私の大学時代の同期でしたので、よく患者様をお願いしていました。
 帯広厚生病院ではできない手術を、東大の先生にいらしていただき、私が北斗病院まで行って東大の先生とご一緒に手術をしたこともありました。
 当時から学閥にとらわれず、常に最先端の医療を目指していました。
      ■         ■
 北斗病院は2003年7月1日からPET(ペット)というガンの診断装置を導入しています。北海道では最も早く導入した施設の一つです。現在ではPET-CTを含め3台のPETが寡動しています。
 PETはかなり高価な装置なので、大学病院でもないところがあるくらいです。
      ■         ■
 北斗病院で行っている、がん免疫療法は東京大学医科学研究所の細胞治療技術を採用しています。がん治療のベンチャー企業であるテラ(株)と提携して行われています。
 がん免疫療法は私が学生だった30年前から、可能性を示唆されていました。
 近年のバイオ技術の進歩で一般的になってきました。
      ■         ■
 大学病院ではさまざまな理由でなかなか実施できない治療が、北海道の十勝で受けられるのはすごいことです。
 最先端の医療を目指す北斗病院で、一人でも多くのがん患者様が助かることを祈念しています。

投稿者 sapporobiyou : 23:59 | コメント (0)

2007年08月09日

補正下着

 平成19年8月9日、北海道新聞の記事です(北海道新聞HPより引用)
 補正下着販売、苦情相次ぐ 05年度以降、相談127件20代中心
 理想の体形に矯正する女性用補正下着の販売をめぐる苦情や相談が、札幌市消費者センターに相次いでいる。若い女性の体形の悩みを利用し、400万円を超えるローン契約を結ばせるケースもあり、同センターは注意を呼びかけている。。
 同センターによると、補正下着の販売をめぐる苦情、相談は2005年度からこれまでに127件あった。相談者の約8割は20代前半の女性で、購入金額の平均は約79万円、最高額は約439万円。最近は下着店の女性店員が販売目的を隠し、居酒屋などで女性と「友人」になり、下着販売店に誘うケースが目立ち、全体の約半数を占める。
      ■         ■
 20歳の女性は下着販売店に勤める友人から「同級生が集まるから」とお好み焼きパーティーに誘われ、出向いたところ販売店だった。「ももが太い」と悩んでいた女性は補正下着の購入を勧められ116万円のローン契約を結んだが、体形は変わらなかったという。
 また、21歳の女性は友人に誘われて下着店を訪れ、「理想の体形になるには、肉を移動させること」と説明を受けた。ブラジャーやボディースーツなど67点を86万円で購入し、一年間着用したが、効果はなく、逆に皮膚にあざや色素沈着が残った。
      ■         ■
 同様の相談は旭川や帯広などの消費生活センターにも寄せられている。札幌市消費者センターは「友人関係を利用した販売が最近の傾向。多額のローン契約を結び支払い不能になった相談者もいる」と話している。
      ■         ■
 同じような内容が札幌市消費者センターHPに掲載されています。
 こちらは2005年のケースですから、毎年かなりの数の‘被害者’がでていると推測されます。
 胸を大きくしたい、お腹のぜい肉をとりたいという願望は女性共通のものです。体重が40㎏台のかなり細い方でも、お腹の肉をとりたいと来院されることがあります。
      ■         ■
 医学の力を借りても‘簡単に’体型を変えることはできません。
 下着で胸を大きくすることは不可能です。寄せることはできても‘大きく’することはできません。寄せるだけでしたら、市販の下着で十分です。
 お金さえ出せば、‘楽に’‘簡単に’キレイになれると思わないで下さい。‘甘い話’には必ずワナがあります。

投稿者 sapporobiyou : 09:53 | コメント (0)

2007年08月08日

エステ苦情年1万件

2007年8月8日
 平成19年8月7日、朝日新聞の記事です(2007年08月07日19時59分asahi.comより引用)
 エステティックサロンを巡る消費者からの苦情・相談が99年度以降、全国の消費生活センターに毎年1万件以上寄せられていることがわかった。
 中には強引な勧誘をしたり、解約に応じなかったりといった特定商取引法(特商法)違反の可能性がある例も含まれるとみられ、経済産業省は監視を強めている。
 一方、業界では適正な営業をしている店舗を認証する制度を今秋にも導入する方針で、消費者の信頼獲得に力を入れ始めた。
      ■         ■
 経産省や業界関係者によると、エステ店は全国に1万以上あり、年間市場規模は約4,000億円と言われる。しかし、エステを直接監督する法律はなく、新規参入も容易で、悪質業者の実態ははっきりしないという。
 国民生活センターなどによると、エステを巡る苦情・相談件数は1万8000件を超えた00年度をピークにその後若干減ったが、それでも毎年、1万件以上で高止まりしている。06年度の場合、9割程度が契約・営業や解約を巡る相談だという。
      ■         ■
 「アンケートに答えてと声をかけられ、エステに行ったが、強引に勧誘され断れなかった」といった例のほか、様々な理由をつけて解約やクーリングオフに応じなかったケースもあった。
 「確実に○キロやせる」「今、始めないと手遅れになる」などと事実と異なる説明をし、契約を結ばせる例もあるという。
 エステは語学学校などと同様に、特商法の規制対象になっている。同法はうその説明での勧誘や迷惑勧誘、誇大広告を禁じている。
 一方、エステサロンやエステティシャン、エステ機器の業界団体の代表はNPO法人「日本エステティック機構」(東京)を設立。悪質な業者と区別するため、適正な営業をしている店にエステサロン版の「マル適マーク」を与える認証制度を今年10月にも始める。
      ■         ■
 計画では、認証を受けるには、消費者からの苦情をたらい回しにしないように相談窓口を設けるほか、契約や解約を文書で記録する必要がある。特商法の規定を守り、分割払いなどで支払い能力を超える契約を結ばせたり、未成年者に親の同意なしに契約させたりすることがないように対策をとる。
 店側が同機構に書類で申請。現地審査を経て第三者を交えた「審査会」が認証する。
 「現状では、大部分が認証基準を満たさないのでは」(経産省サービス産業課)との見方もあるが、業界最大手TBCグループ代表取締役を務める天辰文夫・機構理事は「認証の導入で業界全体をレベルアップさせたい」と意気込む。
      ■         ■
 私はこのエステ「マル適マーク」で業界がよくなるとは思いません。
 業界最大手TBCがそもそも「ぼったくり体質です」。TBCで高額の契約をしたのに、痛くて脱毛ができないと訴えても返金されなかったという、看護師さんを知っています。
 札幌美容形成外科ですれば一回\9,600のワキ脱毛を数十万円の契約で行っているのがTBCです。
 厚生労働省がしっかりして、政治家がエステ業界から政治献金なんてもらわないようにすることです。韓国のように医師免許がなければ、脱毛をできなくすることです。派手な広告を出しているところは「ボッタクリ」です。

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エステを巡る苦情・相談件数
(朝日新聞より引用)

投稿者 sapporobiyou : 11:55 | コメント (0)

2007年08月07日

精神保健指定医

 横綱朝青龍を診察した、精神科医の本田昌毅医師(37)のことが一部の報道で話題になっているようです。
 精神科は自由標榜科目なので、私でも今日から精神科医になることはできます。メンタルクリニックも開業できます。
 本田先生が、‘本物’の精神科医か美容外科も開業して包茎の手術をしている‘精神科医’なのかは私にも正直なところわかりません。
      ■         ■
 精神保健指定医という精神保健福祉法に基づく資格があります。
 ただちに入院させなければ、精神障害のために自身を傷つけ、または他人を害するおそれがある人がいたとします。
 2名の精神保健指定医が診察し、その診断が一致した場合に強制的に入院させることができます。
 これを措置入院(ソチニュウイン)と言います。都道府県知事または政令指定都市市長の命令により、精神科病院である指定病院に入院させることができる制度です。
 警察官、検察官、保護観察所長、矯正施設長に、上記の疑いがある者の通報義務があります。
 入院費は、原則として保険と公費によってまかなわれ、所得にもよりますが、自己負担はほぼゼロです。
      ■         ■
 精神保健指定医の資格申請には、精神科3年以上を含む5年以上の臨床経験が必要です。
 講習を受けた上で計8例のレポートを提出し審査を受けます。
 朝青龍を診察した先生が精神保健指定医かどうか検索してみましたが、簡単には見つかりませんでした。
 日本形成外科学会専門医でしたら学会HPで見つけられますが、厚生労働省はそのようなサービスをしていないようです。
      ■         ■
 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律施行令という名前の法律があります。
 悪いことをしちゃったけれど、それは精神の病気のためです。という人をどう扱うかという法律です。
 この法律に精神保健判定医というランクが上の専門家が出てきます。
 もし横綱を診察して、モンゴルに帰すのが適当であると相撲協会が判断するのでしたら、少なくとも2人の精神保健指定医か精神保健判定医のお墨付きをもらわないと、専門家は納得しないでしょう。
      ■         ■
 私も横綱がモンゴルで楽しそうにサッカーをしているTVを見ました。
 あれはどう見ても‘病気’で安静療養が必要な状態とは見えませんでした。
 ‘ウソの診断書’とは言いませんが、胡散臭い(ウサンクサイ)診断書で巡業をずる休みして、モンゴルに帰ってサッカーをしたら、バレてしまって、落ち込んでウツだと言われても…。
 横綱ともあろうものが、そんな仮病(ケビョウ)でずる休みは許されません。診断書を書いた‘先生’も悪いと思います。

投稿者 sapporobiyou : 22:24 | コメント (0)

2007年08月06日

お金の計算

 開業すると、お客様から料金をいただいて、お釣りも差し上げなければなりません。いつもは払う立場だったのが逆になります。
 毎日、お釣り用の小銭をいくら準備して、どうやって補充するか?大切なことですが、どこでどうやって教えてもらえばよいのかわかりません。
 勤務医の多くは、自分が勤務している病院でも会計窓口に行くのは、自分が‘患者’になった時だけで、窓口の内側は全くわかりません。
      ■         ■
 恥ずかしながら、私は開業してから一度もお金の計算をしたことがありません。
 税務署の方が休診日に税務調査にいらっしゃいました。私と会計事務所の公認会計士の先生が立ち会いました。
 レジのお金や日報をお見せしました。
 税務署:「現金はこれですべてですか?」
 私:「はいそうです(少なかったのかなぁ?)」
 税務署:「日報と合っていますか?」
 私:「はい、あっていると思います」
 税務署:「先生はご自分で確認なさらないのですか?」
 私:「はぁ、お金の計算は苦手なもので…」
 税務署:「たまには、ご自分で確認なさった方がよろしいですょ」
 私:「はぁ、私が計算しても合わないと困るので…」
      ■         ■
 先輩や友人から、職員にお金をごまかされないように注意しなさいと言われたことがあります。
 一流の会社や大きな病院でも、お金をごまかす職員がいます。銀行員ですら、お金をごまかして懲戒免職になる人がいる時代です。
 不正をする職員自身に問題があるのは明らかですが、お金をごまかされる側に問題があることがあります。脱税や不正をしていれば、ごまかされても告訴できません。
      ■         ■
 開業した時に、お釣りの小銭の準備やレジの打ち方を教えてくれたのは、実家がレストランを経営していた受付の子でした。
 私も家内も‘お店屋さんごっこ’すらしたことがなかったので、その子に教えてもらました。
 カード払いも多いので、カードも導入しましたが、私は未だにカードを切れません。
 一日の‘売り上げ’や一ヵ月の‘売り上げ’は私がチェックしていますが、現金やレジの管理は任せています。私がチェックしなくても、お金が合わないことはありません。明朗会計です。
      ■         ■
 会計業務は会計事務所にお願いしています。開業すると税金や消費税の申告も大変です。
 弥生会計という会計ソフトに入力して、会計事務所でチェックしていただいています。
 開業するまでは、簿記なんてまったく縁がありませんでした。それこそ、簿記の右も左もわかりませんでした。
 今でこそ少しはわかるようになりましたが、ダスキンのレンタルマット代は何費になるの?業務委託費?消耗品費?なんてことはわかりません。
 開業すると医師としての業務以外で困ることがたくさんあります。信頼できる会計事務所にお願いするのがよいと思います。
      ■         ■
 大きな会社でしたら、人事・総務・経理とそれぞれに専門家がいますが、個人経営のクリニックではすべて院長の責任です。
 自分でできないことは、その道のプロに任せて適切に対処してもらうのが早道です。
 私はお金の計算は不得意なので、職員に任せて、経理も会計事務所にお願いしています。その方が安心して手術に専念できます。

投稿者 sapporobiyou : 21:53 | コメント (0)

2007年08月05日

開業時の苦労

 3年前に開業した時に苦労したのが、人事・労務管理といわれる、ヒューマン・リソース・マネージメント(HRM)でした。
 最近のビジネス英語会話で、杉田先生が取り上げていらっしゃいました。いわゆるHR(エイチアール)です。
 今まで、25年近くも勤務医を続けてきて、雇われる側だった医師が、突然、雇用主になりました。労働基準法にも労働基準監督署も縁がありませんでした。
      ■         ■
 まず、人を雇用する時には労働条件を明示しなくてはいけません。普通の人には当たり前のことですが、私は労働契約書なんてのは見たこともなかったですし、一度も署名捺印をしたことはありませんでした。
 人事は大学の医局か教授が決めて、そのまま赴任というパターンでした。ハローワークにも行ったことがないし、どこにあるかも知りませんでした。
 雇用保険もいただいたことはありません。私の知人の先生でも雇用保険をもらったという話しは聞いたことがありません。
      ■         ■
 私の先輩や知人が開業して、一番もめて苦労していたのが、この労働問題でした。
 自分自身は有給休暇を取ったことがなくても、従業員から請求があった時には与えなくてはなりません。
 医師は労働組合に入ったこともなく、労使問題にも疎い(ウトイ)ので、問題が起きることが多いようです。
      ■         ■
 私は専門家にお願いしました。北海道医師協同組合に田中猛先生という社会保険労務士さんがいらっしゃいます。
 以前から、保険関係をお願いしていたので、就業規則を作成していただきました。
 田中先生は、病院や医院の労務管理に詳しく、たくさんの事例をご存知です。私が失敗する前に、適切に助言をしていただきました。
 また、とても真面目で几帳面な性格の方です。私を社会保険労務士にしたようなタイプだと思います。
 田中先生はご自身でブログも書いていらっしゃいます。
 これから開業をお考えの先生には、北海道医師協同組合をお薦めします。DLSという会社が医師協同組合に併設されており、こちらでいろいろな相談や手続きができます。
      ■         ■
 医業はサービス業なので、まずよい人を雇用しないと、快適でよいサービスは提供できません。
 大手美容外科の雇われ院長だった時は、一番遅くに出勤して、一番最初に『お疲れ様でした』と見送られて帰宅していました。
 キレイなお姉さんに『先生、お疲れ様でした』と見送られるのは、とても気分がよかったです。
 開業してからは、私が一番最初に出勤して、一番最後に戸締りをして帰宅します。
 『お疲れ様でした。ありがとうございました』と言うのが私になりました。開業医になり、経営者になったのだから当然だと思っています。
      ■         ■
 正直な話し、お給料は雇われ院長の時の方が、今よりずっとずっとよかったです。拘束時間もずっと短かったです。
 自分で開業して変わったのは、手術をしなくてもよい人には手術をすすめなくてもよくなったこと。他の病院も気軽に紹介できるようになったこと。手術料金が安くなったことなどです。
 自分の夢とロマンを実現できることが、開業する一番のメリットだと思います。

投稿者 sapporobiyou : 17:50 | コメント (0)

2007年08月04日

服装規定

 札幌美容形成外科を開業する時に服装規定を作りました。いらしていただいた方はおわかりだと思いますが、当院では‘茶髪’は禁止です。採用の時に必ず確認しています。
 どうして‘茶髪’がダメなのですか?と質問される方がたまにいらっしゃいます(特に看護師の採用で)。
 その時には、一流ホテルのフロントや航空機の客室乗務員に‘茶髪’の方はいらっしゃいますか?と答えるようにしています。
      ■         ■
 2004年3月20日の朝日新聞に『どこまで認める?意見多様で企業悩む ヘアカラー基準は色々』という記事が出ていました。
 2004年の記事では、ヘアカラーを認めないのは、全日空(客室部門)、イトーヨーカ堂、ファーストリティリング、セブン-イレブン・ジャパン(本社)でした。
 認めていても限りなく黒に近いのが、日本ヘアカラー協会レベルスケール6番の日本航空。
 見た目はほとんど黒の日本ヘアカラー協会レベルスケール5番がパレスホテル、ホテルオークラ東京、三越日本橋本店でした。
      ■         ■
 札幌美容形成外科の規定は、日本航空と同じ日本ヘアカラー協会レベルスケール6番です。
 このレベルスケールは5→6→7→8と数字が増えるほど‘茶髪’になります。
 1番が真っ黒で、20番が真っ白ですが、5番(ほぼ黒)~15番(金髪)までの11段階に染め分けられています。
      ■         ■
 私が‘茶髪’嫌いになったのは、札幌医科大学の講師をしていた時でした。
 私は解剖学教室で研究をしていましたので、学生さんの解剖学実習を見る機会がありました。
 昨日まで高校生だったような、ニキビがたくさんある学生さんから、少し社会経験を積んだような方まで約100人が実習しています。
 その中に、外人か?と思うような金髪で実習をしている男子学生がいました。耳にはピアスがついていました。
 頭が良くて札幌医大医学部に入学したのでしょうが、私は献体してくださった、ご遺体に申し訳ない気持ちでした。
 解剖学実習に服装規定はありませんでした。
      ■         ■
 おそらく解剖学実習を茶髪でした学生さんが、医師になって美容外科医になると、茶髪で診察して手術もする先生になるのだと思います。
 私は医業はサービス業だと思っています。快適な空の旅を提供する一流の航空会社は茶髪は禁止です。
 茶髪のCAが日本の空を飛ぶようになれば話しは別ですが、今の日本社会では、接客サービス業で茶髪は受け入れられません。
 お客様に快適に治療を受けていただくのが私の目的です。この服装規定は当分の間変えるつもりはありません。
      ■         ■
 これから就職試験や面接を受ける方は、髪の毛の色は黒くするべきです。面接担当者には私くらいのおじさんもいます。
 茶髪にしていて悪い印象を持たれることもあります。
 目を二重にしてもわかりませんが、茶髪はすぐにわかります。その方の自己表現の一つなのでしょうが、接客サービス業には向かないと思います。私の考えです。

投稿者 sapporobiyou : 14:12 | コメント (0)

2007年08月03日

開院3周年

 今日で札幌美容形成外科は開院3周年を迎えました。‘石の上にも3年’という言葉があります。順風満帆な3年間ではありませんでしたが、皆様のご支援のおかげで3年目を迎えられました。この場をお借りして、こころから御礼申し上げます。
 3年間でもっとも苦労したのは職員の採用でした。
 お恥ずかしい話しですが、3年前の開業時から勤務している職員は一人もおりません。私だけです。
      ■         ■
 職員の募集は、先輩の意見をお聞きして始めました。一番難しそうだった看護師さんの募集は、意外とすんなり決まりました。
 受付は医療事務の資格が必要で、私も医療事務の経験がなかったので人材派遣会社にお願いしました。
 先輩のクリニックでお願いしていた、大手の医療事務の会社です。大病院の医療事務もなさっています。
      ■         ■
 人材派遣の場合は、採用は派遣会社で行います。私は事前に面接をすることはできません。法律で決まっているそうです。
 私は面接といっても学生の面接でしたら得意でしたが、採用の経験はありませんでしたのでプロに任せました。
 美容外科という職種のためか、応募者はかなりあったそうです。会社の担当者から『いい人が応募してくれました。この方なら確実です』と太鼓判を押していただきました。
      ■         ■
 7月から研修を行い、開業に備えました。派遣でいらしていただいたお嬢さんも美人でハキハキしていました。
 派遣で2人の受付さんをお願いしました。その他に私が直接採用した経験者が一人で合計3人です。
 開業して一週間もたたないうちに、派遣でいらしていただいたお一人が突然辞めることになりました。
 派遣会社の方が太鼓判を押してくださった方でした。
 突然のことで戸惑いました。私は『僕、何か悪いことしました???』
 何がなんだかわからないうちに、一人いなくなってしまいました。
      ■         ■
 その後、次の人がなかなか決まらず欠員が続きました。派遣会社も慎重になったのだと思います。
 もう一人の派遣の方も、3ヵ月でお辞めになることになりました。正社員と派遣社員が混在すると待遇が違うため難しいようです。最初は気がつきませんでした。
 今度は、アルバイト北海道に募集広告を出して、私と家内で面接をして、開業に至った経緯を話しました。
 私など、ニトリの似鳥社長の足元にも及びませんが、私の夢とロマンを話し、私のクリニックに力を貸してください、とお願いして3人の方にいらしていただきました。
      ■         ■
 そうして採用した3人の受付さんが、その後ずっと勤務してくれています。私の貴重な財産です。
 事業をはじめる時に、大切なのが‘人・もの・金’とよく言われます。お金さえ出せばよい人が集まるわけではないと思います。
 私の『最高の美容外科医療を‘適正’な価格で提供する』という‘夢とロマン’に賛同してくれた職員が私を支えてくれています。これからも、私も職員もよろしくお願いいたします。

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私の財産です

投稿者 sapporobiyou : 23:46 | コメント (0)

2007年08月02日

北海道の花人

 午後9:00からのNHK教育テレビで、趣味の園芸40年スペシャル、‘北海道 花園を作った人たち’を放送していました。
 私は弟にバカにされながら、高校生から趣味の園芸を見ていた花好きです。
 クリニックにもラベンダーを飾って、ファーム富田の富田忠雄さんからいただいた、‘花人’の称号カードを掲示しています。
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 今日のNHKテレビでは、大空町(東藻琴村)のシバザクラ、上湧別町のチューリップ、帯広の紫竹ガーデン、旭川のオープンガーデン上野様、中富良野のファーム富田が紹介されていました。
 私が毎年訪れているのは、ファーム富田だけですが、どこも花を愛する花人がキレイに花を咲かせていました。
 自分が育てた花を他人が喜んでくれ、それが励みになって、また花作りをする。とてもよいことだと思います。
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 ファーム富田は、‘農業’としては成り立たなくなったラベンダー栽培を続けたおかげで、現在年間100万人もの人が訪れる、北海道の代表的なフラワーガーデンができました。
 今日のテレビでも、偶然に昭和48年の国鉄カレンダーで、取り上げられ、カメラマンがたくさん来てくれたのがはじまりだったと話されていました。
 私がラベンダーを知ったのも同じ頃でした。
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 ラベンダーは紫の小さな花です。ひとつ一つの花は小さくて、一つだけ見ても大したことはありません。
 畑で紫の絨毯(ジュウタン)のように、一面に咲いていると見ごたえがあります。
 富田さんが、番組で小学生3~4年生の目の高さから見るラベンダーが、一番キレイに見えるとお話しなさっていました。
 山の斜面に植えられたラベンダーもやや低い位置から眺められるのでキレイです。
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 キレイな花を咲かせるには、雑草だらけの土地を開墾し草の根と石を取り除きます。
 土を篩(フルイ)にかけて、小石を取り除き、まず土を作ります。
 そこに有機質の堆肥を入れ、種を蒔いて、芽が出たら草取りをして花を育てます。
 苦労して花を咲かせ、他の人に見ていただいて喜んでいただき、それを励みにまた花を作ります。
 北海道には心優しい、花好きの花人がたくさんいます。

投稿者 sapporobiyou : 23:49 | コメント (0)

2007年08月01日

今日から8月

 札幌美容形成外科は3年前の8月3日に開院しました。3日が火曜日でした。予約が入って、3日は空きがなくなってしまったので、正確には2日(月)から手術を始めました。幸先の良いスタートでした。
 札幌美容形成外科のようなクリニックを‘専門用語’では無床診療所(ムショウシンリョウジョ)と呼びます。入院するベッドを持たないクリニックのことです。
 Dr.コトー診療所のように、入院できるベッドがある診療所は有床診療所(ユウショウシンリョウジョ)と言います。病院は20床以上の入院ベッドを持つ医療機関のことです。
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 診療所を開設するには、保健所に‘診療所開設届’を出します。保健所から検査を受けて、合格すると‘診療所開設届済証’をいただきます。これで晴れて診療を開始できます。
 保険医療機関の場合は、保健所から‘診療所開設届済証’をいただいてから、更に厚生労働省の社会保険事務局に申請する必要があります。
 美容外科の自由診療だけでしたら、厚労省の許可は不要ですが、保険医療機関は手続きが面倒です。
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 これから保険医療機関として新規開業をお考えの先生は、この届出にかかる時間を考慮しないと開院日から保険診療ができません。
 つまり、保健所の検査に合格して‘診療所開設届済証’をいただき、社会保険事務局から‘保険医療機関指定通知書’という保険医療機関としての指定を受け取るまで、最短で約1ヵ月はかかるのです。
 ですから、札幌美容形成外科が保健所に開設届を出したのは、平成16年7月でした。北海道社会保険事務局長から平成16年8月1日から保険医療機関として指定を受けました。
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 大学の医学部では、開業に関する手続きについて学ぶことはまずありません。
 開業した先輩が『大変だぁ~』と言っていたのを、ウロ覚えに覚えていた程度です。
 医学部には‘医学’に関する専門家はたくさんいますが、開業のノウハウを教えてくれる先生はいません。教官自身が‘勤務医’なので、開業の苦労を知らないのです。
 自分が知らないことを一から一人でするのはとても疲れます。私は幸いなことに、よいコンサルタントにお願いできました。
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 私がお願いしたのは、(有)メイプルの武田栄治社長です。ムトウという大きな医療関係の会社に長くいらした方です。
 私は銀行からお金を借りる相談から、各種届出まですべて相談してお願いしました。
 医師は開業のことなどよく知らないので、信頼できるコンサルタントに相談するのがよいと思います。
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(有)メイプル
札幌市北区新川5条1丁目1番22号
新川駅前メディカルビル3階
電話:011-700-6361

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最初のホームページで使用

投稿者 sapporobiyou : 19:53 | コメント (0)