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2007年10月31日

豊胸手術で死亡

 平成19年10月30日毎日新聞の記事です。
 「豊胸手術ミスで死亡」女性の遺族が医師を提訴
      ■         ■
 茨城県つくば市の医院で受けた豊胸手術の2日後に死亡したのは手術ミスが原因だとして、死亡した会社員の女性(当時50歳)の遺族が、執刀した稲吉浩司医師(45)=東京都品川区=を相手に、約5700万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したことが分かった。
 稲吉医師は今月、所得税法違反で懲役1年、罰金4000万円の実刑が確定している。診療報酬の不正請求で医業停止中の2002年には、医師として勤務したことなどが県の調べで判明している。
      ■         ■
 毎日新聞が入手した医療記録によると、女性は稲吉医師が実質経営していたつくば市の医院で2006年7月15日、約30年前に注入したワセリンを取り去り、シリコンを入れる手術を受けた。稲吉医師が局部麻酔をして約40分後の執刀中に痙攣(けいれん)を起こして心肺停止状態になり搬送先の救急病院で死亡した。
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 稲吉医師は眼科医だった1998年に診療報酬の不正請求が発覚。詐欺罪で有罪が確定し、旧厚生省から2000年4月に医業停止3年間の処分を受けた。しかし、処分期間中の2002年10月に水戸市内の美容外科で勤務したことが水戸保健所の聞き取りで判明している。
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 処分が解けた後に3医院を開いたが、2006年4月~8月にすべて閉院。同年12月、所得税約1億6400万円を脱税したとして所得税法違反(脱税)罪で在宅起訴された。
      ■         ■
 稲吉医師が実質経営していた医院のある各地の消費生活センターには「まぶたの切開をして二重まぶたにしようとしたがならなかった」「美容整形を8回分契約したが、3回で医者がいなくなった」などの苦情が計110件寄せられている。
 稲吉医師は毎日新聞の取材に「コメントすることはない」と話している。【立上修、山本将克】
(2007年10月30日毎日新聞より引用)
      ■         ■
 平成18年3月の朝日新聞には次の記事も掲載されています。
 茨城県や東京都で美容外科や眼科を経営する柳瀬浩司院長(43)が、2004年分までの2年間で得た診療報酬など約4億6000万円の所得を隠し、約1億6000万円の所得税を免れたとして、東京国税局が東京地検に所得税法違反(脱税)容疑で告発したことが分かった。
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 院長は架空診療で多額の診療報酬をだまし取ったとして2000年に旧厚生省から医業停止3年の処分を受けている。隠し所得には停止中の医療行為で得た分が含まれており、医師法違反の疑いもある。
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 関係者によると、柳瀬院長は2002年10月~2003年12月、水戸市内の美容外科で週3回程度の診療を行い、1ヵ月数百万円の収入を得ていた。さらに2003年6月、東京都港区に「品川イーストワン眼科」、2004年1月、水戸市に「秀聖美容外科」を開業し、院長に就任した。
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 これらの診療報酬の一部だけを税務申告する「つまみ申告」の手口で所得を圧縮。除外した主な報酬は美容外科手術など医療保険が利かない自由診療の現金収入だが、保険診療分も含まれていた。都内で経営する賃貸アパートの家賃収入も除いていたという。
 隠し所得は柳瀬院長が預金や金融商品にして管理していたとされる。
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 柳瀬院長は以前、「稲吉浩司」の名前で東京都新宿区で眼科医をしていた。この際、偽造した診療報酬明細書を社会保険の審査支払機関などに提出。診療報酬約7000万円をだまし取った詐欺罪で1998年9月、東京地裁から懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡された。
      ■         ■
 この結果、2003年4月までの3年間の医業停止処分を受けたが、期間中の2000年9月に婿養子となって姓を変え、水戸市の美容外科で診療していたことが判明。2001年9月から2002年にかけ、東京都渋谷区で眼科を開業していたこともわかり、同区は医師法違反にあたるとみている。
 朝日新聞の取材に、柳瀬院長の広報窓口という秀聖美容外科の事務長は「査察を受けたのは事実。すでに修正申告や納税を済ませた」と話した。柳瀬院長は取材に応じなかった。
(2006年3月朝日新聞より引用)
      ■         ■
 亡くなられた女性に心から哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。
 事故が起きたのが2006年7月です。2006年3月には柳瀬浩司の名前で報道されています。
 平成18年3月の朝日新聞には「秀聖美容外科」というクリニック名が出ていますが、他紙では「つくば市にオープンした美容整形外科医院」しか出ていなかったところもあります。今回の毎日新聞でも「つくば市の医院」しか出ていません。
 亡くなった女性も、まさか脱税や医師法違反で捕まったことがある‘先生’とは夢にも思っていなかったと思います。
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 重大な犯罪では容疑者でも名前がすぐに報道されますが、医療事故や脱税などはなかなか病院名まで出ません。
 今回の医療事故も死亡事故でありながら、遺族が医師を訴えたという民事訴訟のためか、毎日新聞以外では報道されていません。
 医療事故を起こしても、立件されて起訴、有罪が確定し、医道審議会で医師免許が剥脱されても大きく報道されないことがあります。
 過去に脱税で有罪が確定した‘先生’の書籍広告が、朝日や道新などの一面の下に堂々と掲載されています。
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 消費者が美容外科を選ぶのは本当に難しいと思います。
 この死亡事故は痙攣を起こしているので、局所麻酔薬による中毒が考えられます。過去に札幌市内でも同じような事故がありました。
 局所麻酔薬は非常に低い確率ですが、中毒を起こすことが知られています。
 万一、事故が起きても、適切に対処できるかどうかで生死が別れます。助けられる技術と設備が必要です。
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 局所麻酔薬は、私たちも毎日使用しています。美容外科を開業する一人として、十分に気をつけなくてはならないことだと思います。
 稲吉医師は順天堂大学医学部を卒業し、眼科専門医も取得した‘先生’だったようです。
 どうしてこのような事故を起こしたのか?同業者の一人として本当に残念に思います。
 最後にもう一度、亡くなった女性に心から哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。

投稿者 sapporobiyou : 19:39 | コメント (2)

2007年10月30日

カラコンに注意

 平成19年10月29日朝日新聞朝刊の記事です。
 カラーコンタクト規制へ 警告表示を検討
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 おしゃれ用品として人気のカラーコンタクトレンズによる目の病気が後を絶たない。学会の全国調査では一ヵ月で27件にのぼり、入院例も見つかった。医療用と違って品質や販売に規制はなく、独立行政法人の製品評価技術基盤機構(NITE(ナイト))は10月29日、調査委員会を発足させ、経済産業、厚生労働両省とともに警告表示を義務化する方向で対策に乗り出す。
 視力補正が目的でないおしゃれ用のカラーコンタクトは、「瞳がぱっちり大きく見える」「青や茶色の瞳でモテる」などの宣伝で、10年ほど前から若者に人気の品だ。1セット2,000~8,000円程度で、量販店やインターネットで売られている。
      ■         ■
 日本眼科医会や日本コンタクトレンズ学会でつくる協議会が昨年10月、全国213の眼科病医院の協力で調べたところ、おしゃれ用カラーコンタクトによる目の病気は一ヵ月間で27件報告された。うち失明につながる恐れのある角膜潰瘍(かいよう)・角膜浸潤も9件あった。
 製品事故情報を集約しているNITEによると、8、9月には北海道の医師から角膜疾患3件の情報が寄せられた。埼玉県消費生活支援センターからは今月、「県内の10代男性が角膜潰瘍で入院した」との通報があった。患者の男性は「量販店で買った。着けて違和感があったので外したが、右目が曇って見え、両目が開かなくなった」と話したという。
      ■         ■
 カラーコンタクトには医療用とおしゃれ用の2種類がある。視力を補う医療用は薬事法で品質や販売が規制されているが、おしゃれ用は雑貨品扱いで規制がない。業界団体もないため、業者の数や売上高すら分かっていない。
 国民生活センターが2005年度、おしゃれ用10銘柄を調べたところ、4銘柄で色素の流出が見つかった。うち2銘柄は細胞毒性も検出され、かゆみの原因になる「眼粘膜刺激」を起こす恐れがあるとわかった。
      ■         ■
 問題は国会でも取り上げられ、経産、厚労両省は5月、小売各団体に対し、使用上の注意を客に十分知らせるよう文書で要請した。
 両省とNITEは、流通と健康被害の実態を調べる調査委員会を設置、その初会合を10月29日に開く。委員は、眼科医やメーカー、消費者団体の代表ら19人の予定。経産省製品安全課は「これまで対策が抜け落ちていた。実態を確認し、規制の可能性を話し合いたい」としている。
(以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■
 カラーコンタクトの危険性は、2006年2月に国民生活センターから発表されています。
 平成18年2月4日の新聞でも報道されています。
 国民生活センターの詳しい調査結果は、こちらのPDFファイルでご覧になれます。
      ■         ■
 カラコンは、瞼が下垂傾向で、黒目が小さく見える方が、目を大きく見せるためによく使用していらっしゃいます。確かに、目は大きく見えますが結膜に炎症が起きていて、二重手術ができないこともあります。
 カラコンをするのでしたら、是非、眼科で診ていただいて、眼科で購入してください。

color-con.jpg

カラーコンタクトレンズ、瞳が大きく見える
朝日新聞より引用

投稿者 sapporobiyou : 23:59 | コメント (0)

2007年10月29日

産科医冥利

 メディカルトリビューンという医師向けの新聞に、日本産婦人科医会会長、浜松医科大学長の寺尾俊彦先生のエッセイが掲載されていました。
 産科医冥利(ミョウリ)という心に残る文章です。少し長いですが、一部をご紹介します。
      ■         ■
 今、日本の産科医療の崩壊が始まったと言われている。毎年数千人単位で医師数が増加していくというのに、産婦人科の人気は低迷していて、残念なことに、産婦人科の医師数はむしろ減少傾向にある。
 産科に携わる医師数が少なければ安心・安全な産科医療ができない。その増加が喫緊の課題になっている。
 産科医には昼夜の区別がなく、宿命的とも言える宿日直がある。宿日直明けにも激務が待っている。
 我々はこんな生活を当たり前として受け止めていたが、今の学生には耐えられないことと映るらしい。
      ■         ■
 一旦、産科医になってしまうと、「こんなに楽しい診療科は無い」と異口同音に産科医は言う。私もこれを実感してきた一人である。産科医になって50年近くになるが、年を重ねるにつれ、産科医になって良かったとしみじみ思う。
 赤ちゃん誕生の感激は勿論、その赤ちゃんの成長も楽しみである。
 成長ぶりを写真で知らせていただいたり、その子の結婚式に招いて下さることもある。年賀状には孫ができたとの便りも多くなった。
      ■         ■
 産科医の楽しさ、良さを、私たちはもっと学生に伝える必要があると思っている。そこで、その二、三の例を紹介したい。
 先ず、産科医冥利につきると思ったこと、話は40年前に遡る。当時、私は名古屋大学医学部附属病院に勤務していた。
      ■         ■
 ある日、浜松から患者さんが診察にみえた。幼いころ、脊柱が湾曲する病気にかかり、身長が中学生位の方だった。
 大学で福祉の勉強をしたという、とてもかわいらしい女性である。卒業後、高校教諭と結婚したが、出産はあきらめていた。どの産婦人科医に尋ねても無理とのこと。
 しかし、愛する夫の子がどうしても欲しいと遂に名古屋まで来たという。
      ■         ■
 正直、私も無理かと思った。子宮が大きくなるにつれ腸の行き場がなくなり食事ができない、また、背骨が痛むのではないかと心配した。
 しかし、話をしているうちに、この方の明るさと前向きな姿勢なら、ひょっとしていけるかもしれないと思うようになった。
 結局、浜松から名古屋まで通っていただき、帝王切開で無事、男の子が誕生した。更に数年後には女の子が誕生した。
      ■         ■
 ある日、「私のことが新聞に載っているから見て下さい」との便りをいただいた。
 読売新聞社の「心に残る医療」体験記コンクールで、この方の「大丈夫。頑張りましょう」が厚生大臣賞に選ばれたという記事であった。
 また、数日後、その新聞の一面コラム欄(読売手帳)に、この体験記と私のことが紹介され、最後に「長男は医学部に進んだが、患者思いの医師になることだろう」とあった。
      ■         ■
 連絡したところ、長男は名古屋大学医学部、妹は南山大学の学生であるという。
 この長男が卒業後2年間の研修医期間を終え、私たちの産婦人科教室に入ってくれた。さらにまた、結婚し、私たち夫婦が仲人をさせていただいた。
 最近、この夫婦にも赤ちゃんが誕生したが、将来きっと素晴らしい医師になってくれるに違いない。
(以上、メディカルトリビューンより引用)
      ■         ■
 当直が多い、訴訟が多いと、産婦人科は医学生や臨床研修医から嫌われているようです。
 このお話しを読んで、一人でも多くの産婦人科医が誕生してくれたらと思います。美容外科では絶対に経験できないことです。

投稿者 sapporobiyou : 19:53 | コメント (0)

2007年10月28日

手のぬくもり

 幼稚園で、はじめて異性と手をつないでお遊戯をする。もう忘れてしまった記憶ですが、誰にでもある想い出です。
 今の時代には、『おじさん何言ってんの!』と笑われそうです。
 手をつなぐ、手を握るという行為は、心の温かみまで伝えてくれます。
      ■         ■
 私たちの手は、さまざまな作業をするため、実に精密に作られています。
 目以外に字が読めるのは手だけです。
 ホッペに点字を当てても読めません。
 指先には神経のセンサーがたくさんついているので、細かな違いも読み取れるのです。
      ■         ■
 手が温かいのは、血流があるからです。手には細かな血管網が密にめぐっています。
 手は細かい動作をするために、何本もの腱というスジがあります。前腕にある筋肉が収縮して、手の腱を引っ張るので、重いものも持てます。
 手にも筋肉があります。筋肉が収縮するためにはエネルギーが必要なので、血管が発達しています。だから手は温かいのです。
      ■         ■
 手当て(テアテ)という言葉があります。手当てをできるのは、お医者さんだけではありません。
 おなかが痛い時に、そっと手を当ててください。誰かの手を当ててもらうのもよいです。
 手のぬくもりが伝わり、痛みが和らぎます。
      ■         ■
 はじめての手術で、ガチガチに緊張している人がいます。
 緊張すると交感神経が働き、手足の血管を収縮させます。すると手足はスーっと冷たくなります。
 他の人の温かい手で、冷たい手を握ってもらうと、温かさが伝わり緊張もほぐれます。
 手を握るだけで、『がんばってください!』という声援が伝わります。手を握ってもらっていると安心感があります。
 人の手は、どんなに優れた鎮静剤や麻酔薬より効果的です。副作用もありません。
      ■         ■
 手術をするのも手。よいことをするのも手。悪いことをするのも手です。
 神の手、巧の手(タクミノテ)、ゴットハンド。
 手を組む。手を結ぶ。手を取り合う。
 悪に手を染める。麻薬に手を出す。手くせが悪い。
 あの手、この手など手に関する言葉もたくさんあります。
 手の握りかた一つで、気持ちも伝わります。
      ■         ■
 私たちの医業は、人の手がなくてはできない業種です。何をするにも手がかかります。手間隙(テマヒマ)をかけないとよい仕事はできません。
 医療に携わる(タズサワル)人は、自分の手を大切にし、自分の手で他人に喜ばれ、自分の生活を支えなくてはなりません。
 せっかく時間をかけて鍛えた手です。自分が元気な間は、手を動かし、手をかけて、人に喜ばれる仕事をしたいと考えています。
 私を含め、札幌美容形成外科の職員の手は、いつもキレイで温かです。私たちの手のぬくもりが伝わるような仕事をしたいと願っています。

投稿者 sapporobiyou : 22:42 | コメント (2)

2007年10月27日

サミット救急医療

 2007年10月26日北海道新聞朝刊の記事です。
 -救急医療態勢立ち遅れ-対テロ機関連携が急務
 「沖縄」は1年前から準備
      ■         ■
 来年七月の北海道洞爺湖サミツトで、首脳らを狙ったテロなど不測の事態に備える救急救命医療態勢づくりが急務となっている。
 国は今月ようやく作業に着手したが、テロなどの恐れは2000年の沖縄サミット時と比較にならぬほど高まっており、関係者の間には作業の遅れに懸念も広がっている。
      ■         ■
 札幌市内のホテルの一室に20日夜、国や道、それに道内外の医療関係者が集まった。会合の狙いは、サミット開催期間中の救急救命態勢をいかに構築するか。関係者にとって、初めての意見交換の場だった。
      ■         ■
 沖縄サミットの際は、ほぽ一年前から救急医療態勢が始動していた。厚生労働省は「北海道は医療基盤が整っている」と、沖縄との違いを説明するが、サミットの救急救命態勢は警備と並ぶ最重要課題。不測の事態の際の要人救護はもちろん、騒乱などによる傷病者の大量発生にも備えなければならない。
      ■         ■
 2005年のクレンイークルズ・サミット(英国)ではロンドン同時爆弾テロが発生。2001年のイタリアではデモ隊の一人が死亡し、今年のドイツでもデモの一部暴徒化で多数の負傷者が出た。
      ■         ■
 関係機関の連携も大きな課題だ。サミットの救急医療態勢は、複数の省庁や医療機関などが参加する。関係者の一人は「要人の情報など機密も絡むだけに、各機関の連携を円滑にするためにも、早く態勢を立ち上げて備えなければならない」と指摘する。
      ■         ■
 沖繩サミットでは、医師ら約200人が全国から集結。毒劇物や感染症の専門医も加めった。生物・化学兵器に対する防護マスクや除染テントの準備のほか、首脳を関係者以外の目に触れさせない動線の確保など、細かい態勢を整えた。
 沖縄サミットで国の医療対策本部に参加した札幌医大の浅井康文教授は、「万一の事態を想定した万全の態勢づくりが必要」と話している。
 (以上、北海道新聞より引用)
      ■         ■
 のん気な厚生労働省は『北海道は医療基盤が整っている』と、言っているそうですが、とんでもない誤りです。
 北海道の医療機関は、国の医療費削減政策で疲弊しています。特に、洞爺湖がある胆振管内は、唯一の救命救急センターである、日鋼記念病院が機能していません。
 日鋼記念病院がゴタゴタしているおかげで、お隣の市立室蘭総合病院や新日鉄病院も大変です。
      ■         ■
 私が札幌医大に在籍してた時に、有珠山が噴火しました。洞爺湖は有珠山が噴火してできた、カルデラ湖です。
 サミット会場のウインザーホテルからも有珠山はすぐ近くです。
 有珠山噴火によって、ヤケドの患者さんがたくさん出たら、北海道としてどうやって対処するかを検討しました。
 高度救命救急センターである、札幌医科大学ですら、重症のヤケド患者さんを、一度に数十名も治療することは不可能です。
      ■         ■
 もし、サミットの際に集団テロで、一度に数百人もの人が負傷したら、大都市の札幌ですら対処するのは大変です。
 浅井教授は、その辺のことは十分にご存知です。
 サミットを洞爺湖に決めた安倍首相はもう退任されました。厚生労働大臣も年金問題でサミットの医療問題どころではなさそうです。
      ■         ■
 救急医を全国から集めただけでは救急医療はできません。
 看護師、臨床検査技師、診療放射線技師、薬剤師、医療事務、病院の設備、一つ欠けても病院として機能しません。
 テロが起きてからでは遅いのです。国立災害医療センターなどの専門家を交えて、慎重な討論と準備が必要だと思います。

投稿者 sapporobiyou : 20:30 | コメント (0)

2007年10月26日

私立医大納付金

 2007年10月22日朝日新聞夕刊の記事です。
 私大医学部納付金値下げ続々
 国立大の定員増視野に
      ■         ■
 都内の私立大医学部が来春人学者の入学金や授業料などの納付金を相次いで値下げする。優秀だが経済的余裕がない学生を迎え入れるのが狙いだ。来春には地方の国立大医学部が定員を増やすことが決まっており、優秀な学生を獲得しようと私立と国立の競争は激しさを増している。
      ■         ■
 昭和大医学部(品川区)は来春から、6年間合計の納付額を今より400万円安い2650万円とする。入試の成績上位者は、500万円安くする。守屋明俊教務部長は「最近、学生の水準が、学力以上に人間性の面で低下している。両方優れているのに高い学費を理由に受験をあきらめている受験生に来てほしい」と話す。
 同大の06年度の収入は1056億円。学生納付金は100億円で、付属病院の医療収入647億円に次ぐ大きな収入源だ。今回の値下げで年間5億円の減収となるが、守屋部長は「現在の利益でぎりぎり対応できる。いっそう経費節減を進めていきたい」。
      ■         ■
 さらに大幅な値下げに踏み切るのが順天堂大(文京区)だ。880万円引き下げて同2090万円とする。日本医科大(同)は同27万円減だが、保護者に負担感が大きい初年度納付金を588万円と52万円値下げする。
      ■         ■
 日本私立医科大学協会によると、現在、医学部生が6年間で支払う納付金の平均は、国立大が350万円なのに対し、私大は10倍近い3357万円。私大が医学部生1人を6年間教育するのに約1億円の経費がかかるため、容易には値下げに踏み切れないという。
      ■         ■
 今回の動きについて、代々木ゼミナールの坂口幸世本部長は、地方の医師不足対策として来春、地方国立大医学部の定員が8校で計80人増えることの影響を指摘。「値下げする3大学とも伝統校で、内部留保に余裕があるから実現できた面もあるだろう」(増谷文生)
 (以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■
 クリニックや先生を選ぶ時に、出身大学を参考にすることがあります。
 私立医大に高額の入学金や寄付金を払って入学したので、‘あの先生は金儲け主義’と考えるのは、必ずしも正しくありません。
 私の高校の同期にも、私立医大に入学した人がいましたが、全員とても良い先生です。
 私立でも、慶応大学医学部や慈恵医大は、他大学と比較して入学金が安くなっています。それでも、国公立よりは格段に高いですが…。
      ■         ■
 美容外科医としての腕になると、旧帝大卒の先生より、腕の良い私立医大卒の先生がたくさんいらっしゃいます。
 もともと、美容外科は‘下賎な医業’と見下されていた時代がありました。
 日本の美容外科に名前を残している、著名な美容外科医は、多くが私立医大の卒業生です。
      ■         ■
 一番問題なのは、外科的なトレーニングもせず、学会にも参加しない、一匹狼のような‘先生’です。
 TVで取り上げられて問題となった、リピーター医師(医療事故を繰り返し起こすリピーター)です。彼は有名国立大学を卒業しました。
 国立大学を卒業したから、お金で私立医大に入ったからで、その先生を見分けるのは危険です。
 私立医大を卒業して立派に開業して、患者様から感謝されて盛業中の先生を何人も知っています。
      ■         ■
 国公立大学を卒業しても、私立医大を卒業しても医師免許証は同じです。国立大学医学部でも医師国家試験に落ちる人もいます。
 先生を選ぶ時は、大学はひとつの目安に過ぎません。‘彼氏’を選ぶ時と同じように、本当にその‘先生’と相性がよいか、腕がよいかを慎重に選んでください。

投稿者 sapporobiyou : 23:59 | コメント (0)

2007年10月25日

院長日記一周年

 2006年10月22日から日記を書き始めて、丸一年が過ぎました。われながら、よく一年も毎日書き続けたものだと感心しています。
 実は、今日の日記を書き始めるまでは、10月25日から始めたと思い込んでいました。初期のアルツハイマーです。
 息子にも家内にも『大丈夫?』と言われる始末です。
      ■         ■
 この一年で実にいろいろなできごとがありました。人生で一番辛かった一年でした。
 クリニックを開業した時も、大学をクビになった時も、いろいろ大変でしたが、何とか自分で乗り切ってきました。
 昨年末に、信頼の絆を切られて、落ち込みました。
 絆を切ったのは私の娘です。私なりに教育も授けて、話しもして、しっかり育てたつもりでしたが、見事に裏切られました。
      ■         ■
 父親としての自信、教育者として自信、医師としての自信のすべてを失いました。
 大切に育てていたラベンダーも手放し、自宅も転居しました。
 正直に申し上げると、事業の継続を断念しようと考えたこともありました。
 今、日記を読み返してみると、いたるところに私の苦悩が出ています。
      ■         ■
 私が、事業の継続を断念しようと考えるほど落ち込んでいた時に、救ってくれたのは、札幌美容形成外科の職員とお客様でした。
 日記を読んだ、たくさんのお客様から声援をいただきました。
 わざわざ私を励ましに、遠方から駆けつけてくださった保健師さんもいらっしゃいました。
 友人や先輩の諸先生にも助けていただきました。本当にありがとうございました。
      ■         ■
 他人から見ると、順風満帆に見えるかも知れませんが、私の人生は波乱万丈です。
 よく職員に、『こんな可愛そうなオヤジはいないよなぁ!』と話しています。
 娘のことで、家内と何度も大喧嘩をしました。本当に、昨年の暮れから人生が変わりました。
 日記を書いていて、一番困ったのが、元気がない時に元気なフリをして書かなければならなかったことです。
      ■         ■
 私は家内に、一年365日、一日も休まずに日記を書き続ける美容外科医はいない。と豪語して書いていました。
 ところが、塩谷先生にはあっさり負けました。塩谷先生は、私のはるか上を行かれています。
 日記を書いたおかげで、自分が一年前、一ヵ月前、半年前にどんなことを考え、どんなことをして、何を書いていたかがはっきりわかります。
      ■         ■
 これから、どのように日記を続けられるか、わかりませんが、できる限り、本間賢一という一人の人間が生きた証(アカシ)を残したいと考えています。
 これからも、何卒よろしくお願い申し上げます。

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自宅で日記を書いているところです

投稿者 sapporobiyou : 23:59 | コメント (1)

2007年10月24日

北大の紅葉

 今日は朝から快晴で天気が良かったので、北大構内を散策してきました。
 北大は知る人ぞ知る、紅葉の名所です。189万の人口がある都市の中心部に、これだけの緑が残っているのは札幌市民の財産です。
      ■         ■
 今日は北大正門(北9条)から入りました。北大構内に一歩入ると、緑の香りが漂ってきます。
 紅葉が始まっているのはモミジでした。北大病院の近くには、イチョウ並木がありますが、イチョウの紅葉はまだでした。例年、10月末には見事な黄色のトンネルができます。
 銀杏(ギンナン)を拾いに来る市民やたくさんの写真家もいらっしゃいます。
      ■         ■
 北大病院の研修医をしていた頃に、夜、イチョウ並木の下を歩いて、銀杏を踏みつけて、靴に臭いがついて困った記憶がありました。
 夜のイチョウ並木は、あまり明るくないので、気をつけないと銀杏を踏みつけてしまいます。
 たまに、銀杏の実でかぶれる方もいらっしゃいますので注意してください。
      ■         ■
 今日、写真を撮ったのは、クラーク会館の前です。
 クラーク会館(通称クラカン)には、パイプオルガンのある講堂や北大生協の食堂があります。
 昔は書籍部という本屋さんもありましたが、現在は近くの生協会館2Fにあります。
 現在、クラーク会館は耐震補強工事の最中で食堂は休業していました。
      ■         ■
 正門から入って、右手に北海道大学本部の建物があります。北大総長や副学長など、偉い方がいらっしゃる重厚な建物です。
 その本部を過ぎてから、右手奥に、百年記念会館があります。北大創基百周年記念事業の一環として昭和52年に建設されました。
 地階に「きゃら亭」というレストランがあります。日替わり定食が2種類あり、700円と740円でした。サラダバーとドリンクバーがついています。月曜日~金曜日 (祝日及び年末年始を除く)11時~19時までの営業です。
 今日は、学術交流会館で学会があったのと、お昼に行ったので混んでいました。
 70歳台と思われる、年配の市民グループの方がたくさんいらしていました。
 1階ロビーには百年史を解説する写真や資料があり、無料で閲覧できます。
      ■         ■
 これから、一日ごとに寒くなり、一日ごとにイチョウ並木が黄色く色づきます。
 札幌美容形成外科の近くにある、北3条通りにも道庁までイチョウ並木があります。
 あと一ヵ月もすると、夏タイヤからスタッドレスタイヤへの履き替え時期になります。
      ■         ■
 つかの間の秋ですが、機会があれば是非、北大構内も散策してください。
 私のお薦めコースです。

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北大構内で

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2007年10月23日

司法試験合格年3000人

 平成19年10月20日、朝日新聞朝刊の記事です。
司法試験合格年3000人計画 弁護士会から反対続々
      ■         ■
 司法試験の合格者を年間3千人に増やす政府の基本計画について、中部弁護士会連合会(1568人)は19日の定期大会で、「弁護士制度の変質を招く」として反対する決議を可決した。
 全国8ブロックにある弁護士会連合会による反発の動きは、先週の中国地方弁護士連合会(733人)に続き2例目。司法をより身近にし、弁護士偏在の解消への期待もかかる法曹人口増に対し、競争激化や人材の質の低下を懸念する弁護士の声が相次いで表面化した形だ。
      ■         ■
 決議は「弁護士数の急激かつ大幅な増加は、弁護士界に深刻な事態を引き起こしている」とし、日本弁護士連合会に増員計画の見直しを政府や国民に訴えるよう求めている。拘束力はない。
 定期大会には計212人が出席。「すでに新人弁護士の就職難の状況が出ている。過当競争で倫理が低下し、公共的な活動をなおざりにするなどの弊害が出れば、我々のみならず国民にとっても不幸だ」と提案理由が説明された。
 討論では決議について「『業界利益を守るうとしている』と見られる」「競争すれば質は向上するはず」との反対意見も出た。賛成162人、反対29人(留保・棄権21人)で可決した。
      ■         ■
 中国弁連は12日に「司法試験の合格者数を適正水準まで削減するよう求める議題」を採択。賛成134人、反対64人だった。
 埼玉弁護士会は12月の定期人会に同趣旨の議案を提出する予定だ。千葉県弁護士会も17日の常議員会で「弁護士増員問題対策本部」を設置する決議を採択した。
      ■         ■
 司法試験合格者は65~90年は年間500人前後、99年は1千人。政府の司法制度改革審議会は2001年の最終意見書で「2010年ころに年間合格者3千人」の目標を打ち出した。
 日弁遮の藤井伊久雄副会長は「決議は重く受け止めている。3千人の基本方針に沿ったうえで、指摘されている問題について検証を行いたい」と話している。(花野雄太)。
      ■         ■
 同日の社会面には関連した記事が掲載されていました。
法曹人口増就職難など懸念噴出「業界のエゴ」批判の声も
 法律家の数を増やす政府の計画に反対する動きが相次いで表面化し始めた。司法制度改革に携わった弁護士らからは批判も出ている。
      ■         ■
 日本弁護士連合会は2000年の臨時総会で「3千人」を認める決議案を賛成多数で採択したが、当時から会内には不満や不安がくすぶっていた。いま反対の決議が相次ぐのは、需要増が見込まれていた自治体や企業による雇用が進まないうえ、司法研修所の卒業試験で史上最多の不合格者が出て「質の低下」が話題に上るようになるなど、当初の懸念が顕在化し始めたことが背景にある。
      ■         ■
 見直し論は政府与党内にも浮上している。鳩山法相は[毎年3千人は多すぎる」と主張。自民党司法制度調査会も16日、小委員会で見直しの検討をすることを決めた。臼井日出男・調査会長は「増やす、増やすで来たが、量と質の問題として考え直す時期だ」と話す。
      ■         ■
 こうした流れに対して、司法制度改革に携わった弁護士を中心に「業界のエゴだ」と批判する声も強まっている。ある弁護士は「はしごを外されるような議論だ。社会の隅々まで市民の法的二ーズを満たすという目標を捨てて『就職難だから減らせ』ということが国民の理解を得られるとは思えない」と話す。(市川美亜子)
  (以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■
 医者も弁護士も、社会的な地位が高く、人の役に立つ安定した職業と見られてきました。
 現在、医師不足が叫ばれていますが、私が医師を志した30年前には、将来は医師過剰時代になると言われていました。
 今の医師不足は、厚生行政が招いた‘人災’であり、医師が偏在しているだけだと私は考えます。
      ■         ■
 私は、司法試験は難しくするべきで、安易に弁護士の数を増やすべきではないと考えます。
 米国を見ると、すぐに何でも裁判です。お金になりそうな裁判にだけ飛びつく弁護士もいるそうです。
 弁護士の安売りはいただけません。やはり、弁護士は人物・知識・経験がすべて揃っている方になっていただきたいと思います。
      ■         ■
 医師不足だからといって、医師を促成栽培で大量生産しても医療はよくなりません。
 弁護士を一挙に何倍も大量生産すると、訴訟だけが増えて、世の中が険悪になりそうです。
 試験を容易にして、誰にでも運転免許を与えると交通事故が増えます。いたずらに弁護士を増やすと冤罪や不要の裁判が増えそうです。

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2007年10月22日

喫煙者率

 平成19年10月18日、北海道新聞朝刊の記事です。
 全国の喫煙者率 道内男性急落、3位に 女性ではダントツ
      ■         ■
 日本たばこ産業(JT)は10月17日、今年の全国の喫煙者率調査を発表した。全国9地域のうち北海道は、男性の喫煙者率が前年比8.5ポイント減の42.4%で昨年の首位から3位になった。女性は同3.1ポイント減の19.4%で首位だった。
      ■         ■
 北海道の男性が3位になるのは1983年以来24年ぶりで、喫煙者率は10年で21.5ポイント低下。女性は30年以上、北海道の首位が続いている。道内女性の喫煙者率の高さについて、JTは「他地域よりも多いといわれる社会進出と関係あるのでは」という。
      ■         ■
 全国の喫煙者率は、男性が同1.1ポイント減の40.2%、女性が同0.3ポイント増の12.7%。男女平均は26.0%で12年連続して低下した。
 調査は5月に実施し、約19,200人から回答を得た。
  (以上、北海道新聞より引用)
      ■         ■
 海外では、タバコとキズの治りに関する研究が多数報告されています。下の論文は1996年の米国形成外科学会雑誌に掲載された論文です。
 ネズミにタバコを吸わせて、皮弁の生着(キズの治り)を調べた研究です。
 The Effect of Cigarette Smoking on the Survival of Free Vascularized and Pedicled Epigastric Flaps in the Rat.
 Plastic and Reconstructive Surgery: Volume 97(1) January 1996 pp86-96
 結論は、タバコを吸うと皮弁の生着が悪くなる。つまりキズの治りが悪いということです。
 In conclusion, this study proves that smoking of cigarettes is detrimental to the survival of free vascularized flaps.
      ■         ■
 北海道の女性喫煙者率が日本一なのは、他地域と比較して社会進出が多く、自立した女性が多いことと関係があるようです。
 美容の立場から言うと、残念なことにタバコは百害あって一利なしです。
 タバコは血管収縮作用があるので、皮膚血流が悪くなります。どんなにお手入れをしても皮膚の血流が悪くなると新陳代謝も落ちます。
      ■         ■
 タバコは発癌物質の集まりですから、煙が通る、口腔(コウクウ)、咽頭(イントウ)にガンができます。
 咽頭癌(イントウガン)と聞いても、ピンとこないと思います。
 簡単に言うとノドの奥にガンができます。声帯という声を出す部位にガンができると声が出なくなります。
 キレイな可愛い声が、魔女のようなシワガレ声になります。最悪の時は手術で声帯をとってしまいます。
      ■         ■
 ノドの奥にガンができると食事もできなくなります。
 食べるという、人間にとって最大の楽しみである食事ができなくなるのは、とても辛いことです。
 ガンになってはじめてその辛さがわかります。タバコでノドがイガイガする人は、そこにガンができたらどうなるか考えてみてください。
      ■         ■
 ちょっとしたイタズラ心ではじめたタバコは、依存性があるため、やめるのが大変です。
 これからの世の中は、タバコを吸う人はますます肩身が狭くなります。
 今日からでも遅くはありません。キレイになりたい人はタバコを吸わないでください。

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2007年10月21日

医師臨床研修

 平成19年10月19日、北海道新聞朝刊の記事です。
 道内の医局離れに歯止め 医師臨床研修、来春34人増 人材不足なお深刻
      ■         ■
 来春、医師となる医学生と病院側の希望を考慮し、臨床研修を行う病院を決める「マッチング」の結果が10月18日公表され、8,030人の研修先が決まった。
 大学病院の占める割合は前年比0.3ポイント増の49.1%と微増だが、3年連続で半数割れとなった。道内は大学病院の割合が同7.7ポイント増の43.4%と伸び、研修医の大学離れに一定の歯止めがかかった形だ。
      ■         ■
 研修先が道内の病院に決まったのは325人。うち大学病院は
・北大69人 (前年比12人増)
・札幌医大52人 (前年比13人増)
・旭医大20人 (前年比9人増)
の計141人(前年比34人増)だった。
      ■         ■
 募集定員に対し、実際に受け入れる医学生の割合(充足率)は
・北大が86.3% (前年比31.5ポイント増)
・札医大が75.4% (前年比33.9ポイント増)
・旭医大が51.3% (前年比25.1ポイント増)
 と前年を大きく上回った。大学を通じて地域医療に携わる医師の養成が期待される。
      ■         ■
 全国の大学病院の充足率の平均は71.6%で、100%となったのは東大、神戸大、慶応大など18病院だった。
 希望登録した全国の医学生は8,291人で、うち96.9%の研修先が決定。以前は70%前後を占めていた大学病院は、新制度導入後、58.8%、52.7%、48.3%と三年連続のダウンとなったが、今回は49.1%と少し上向いた。
      ■         ■
 病院の募集定員は11,563人。充足率は民間や公立など市中病院67.5%、大学病院71.6%。都道府県別の充足率は最高が東京の86.7%。道内は64.5%と、全国平均の69.4%を下回っており、医師不足は依然深刻だ。
 充足率を大きく伸ばした札幌医大病院は、2006年度から専門とする診療科を研修途中で変更できる制度を導入した。
 同病院臨床研修センターは「研修生の意向を尊重する姿勢を道内外でPRしてきたことが奏功した。ただ研修医の大学離れは全体では続いており、今後も楽観視できない」としている。
      ■         ■
 2004年度に導入されたマッチングは、医学生の研修希望と医療機関の受け入れ希望の順位を登録しコンピューターで合致させて決定する仕組み。
 (以上、北海道新聞より引用)
      ■         ■
 一般の大学生は、3年生の秋頃から就職活動が始まります。医学生は、6年目に、自分が臨床研修をする先を決めます。その病院の試験や面接を受けます。病院によって給与や待遇・研修システムが違います。
 学生と病院の双方から、希望順位を医師臨床研修マッチング協議会へ登録します。
 優秀な学生を選ぶのは病院の権利。良い病院を選ぶのは学生の権利です。
      ■         ■
 一人の優秀な学生が、たくさんの病院から‘内定’をもらい、次々に内定を蹴ってしまっては、臨床研修制度は成り立ちません。
 学生と病院の希望をコンピューターが判断し決めます。これが今の臨床研修病院を決めるシステムです。
 私の時代には大学病院を選ぶ学生が大部分でした。現在の医師不足の原因の一端は、この臨床研修制度にあると言われています。
 平成19年2月2日の日記‘医師引き上げ’にも記載してあります。
      ■         ■
  一般の大学生が将来性があり、夢があり、有名な企業に就職を希望するのと一緒で、現代っ子の医学生は3Kを嫌います
 学生や研修医は勉学の傍ら、先輩医師の仕事ぶりや生活をよく‘観察’しています。
・子供や家族と別れて一人で単身赴任
・毎日朝から深夜まで働いても
・住民からちょっとしたことで苦情が来る
・最後にバーンアウトしてしまう
 僻地の医者が嫌われるのは、こうした‘観察’の結果です。へとへとに疲れて、疲弊している先輩を見て、誰もそのようになりたいと思いません。
      ■         ■
  大学も一般病院も、学生や研修医に、‘夢とロマン’を持てるような将来像を示せないと、決して‘人’は集まってきません。
 内紛でゴタゴタしている会社に就職する人がいますか?今にも倒産しそうな会社に就職する人がいますか?
 厚生労働省のお役人に、医師が希望を持って働けるような制度を確立していただきたいと願っています。

投稿者 sapporobiyou : 10:30 | コメント (0)

2007年10月20日

内科医員退職

 平成19年10月19日、北海道新聞朝刊の記事です。
 日鋼病院 内科医も全員退職へ
      ■         ■
 【室蘭】医師の退職が相次ぐ日鋼記念病院(医療法人社団カレスアライアンス経営)で、新たに内科医3人全員が11月末で退職することが18日分かった。同病院では、3人を含め11月末までに13人の医師が退職予定。医師確保が進まなければ4月から休診中の産婦人科に加え、脳神経外科、循環器科、内科の3科も休診する可能性がある。
      ■         ■
 同病院では、今年9月のカレスアライアンスの西村昭男前理事長解任を機に、西村氏に近い医師らを中心とした退職の動きが加速。9月末で5人が退職し、今月末に脳神経外科医1人が、11月末には循環器科の医師4人が退職することが明らかになっている。一方、産婦人科は大学病院の医師引き揚げにより今年4月から休診している。
      ■         ■
 同病院は、19日に室蘭市内で開かれる西胆振医療圏関係者会議で、内科医を含めた医師退職の現状について報告する。
      ■         ■
 平成19年10月16日、北海道新聞朝刊には次の記事も掲載されています。
 日鋼病院問題で医師の慰留を要請 室蘭など3市長
      ■         ■
 【室蘭】医師不足から、救命救急センターが事実上休止するなど、日鋼記念病院(室蘭市新富町)の体制縮小が進んでいることに関し、室蘭市の新宮正志市長、登別市の上野晃市長、伊達市の菊谷秀吉市長は10月15日、同病院を経営する医療法人社団カレスアライアンスの勝木良雄理事長に「退職の意思を示している医師が踏みとどまるよう伝えてほしい」と要請した。
      ■         ■
 日鋼記念病院は、室蘭市など三市の救急医療を支える重要な病院であることから、三市合同で要請に踏み切った。
 勝木理事長は要請に対し、「道内外の大学病院にお願いし医師確保に努めている」と述べるにとどまった。
 同病院では、カレスアライアンスが西村昭男理事長を解任したことに端を発し、すでに退職した医師を含めて、10人の医師が11月末までの退職を申し出ている。
 (以上、北海道新聞より引用)
      ■         ■
 医療法人の内紛から、地域医療に混乱をきたしているのは、医療人としてとても残念です。
 一番困るのは、地域住民です。内科の先生がいなくなった病院は異常です。
 先生がいなくなってしまった病院からは、優秀なスタッフもいなくなってしまいます。
 新しい先生が来ても、スタッフや住民と馴染んで診療が正常に戻るまでの時間がかかります。一日も早く混乱が収拾されることを祈念しています。

投稿者 sapporobiyou : 17:18 | コメント (0)

2007年10月19日

多汗症

平成19年10月15日、朝日新聞夕刊-体とこころの通信簿-の記事です。高山敦子さんというライターさんの署名記事で、多汗症について詳しく解説してあります。
      ■         ■
 多汗症「病気」認識薄く、人知れず苦悩
 多汗症。特に暑くもないのに、いつも汗をかいている。たいていは、手のひらや足の裏、わきといった、体の一部のことが多く、「局所多汗症」と呼ばれる。
 「一般に病気という認識がないため、人知れず悩んでいる人が多い」
 こう話すのは、塩谷ペインクリニック(東京都品川区)の塩谷正弘医師だ。
      ■         ■
 電車のつり革をつかむと汗が垂れてくる。文字を書こうとしても紙が汗で破れてしまう。手や足が汗でぬれて靴下がはけない。汗で針がすぐにさびてしまい、縫い物ができないー。
 日常生活に差し障りがあるほどの深刻な症状に悩む患者もおり、塩谷さんのクリニックを受診する。
 「手のひらがしっとり湿る程度の軽症も含めると、局所多汗症の人は100人に1人ほどいるのではないでしょうか」と塩谷さん。それほど、潜在患者は多いとみられる。
      ■         ■
 気温が高い時、人は自然に汗をかいて体温を調節しようとする(温熱性発汗)。人前で話をしたり、試験を受けたりするなど緊張した時にも汗をかく(精神性発汗)。
 多汗症の原因ははっきりしないが、緊張時によく汗をかく人の方に重い傾向があるという。自分の症状に不安を感じている人が多く、その不安が症状をさらに悪くするという悪循環に陥る場合もある。
 「人と会う」と考えるだけで、手のひらがじっとりぬれてくることもあるほどだ。
      ■         ■
 では、多汗症の人は、特異な体質なのだろうか。東京医科歯科大病院の横関博雄教授(皮膚科)は、汗を分泌するエクリン汗腺の数も大きさも、多汗症の人とそうでない人とでは「変わらない」と話している。
 どうやら、汗をコントロールする神経系に何らかの異常があるのではないか、と考えられる。ただ、原因ははっきりしていない。
      ■         ■
 そのため、治療は主に対症療法になる。汗をかくのを抑える働きがあるアルミニウムを利用する方法がある。
 コットンに10~20%の塩化アルミニウム水溶液を含ませ、汗をたくさんかく場所にはって寝る。横関さんは「軽症や中等度の人の約8割、重症の人でも約7割はこの治療で汗の量をかなり減らすことができます」と話す。ただし、かぶれるなどの副作用もあり、長く続けられないことがある。
      ■         ■
 わきの下に小さな穴をあけて汗をコントロールする交感神経を遮断する手術もある。しかし、手足の汗を減らした分、腹部など、ほかの場所でよく汗をかくようになる代償発汗も否定できない。
 ボツリヌス毒素の注射を導人する美容外科もあるが、長期的な効果は科学的に証明されていない。「現実的ではないでしょう」と横関さん。
      ■         ■
 「人に気づかれたら……」など、引け目を感じて内向的になる人もいて、心身両面からのケアも欠かせない。
 (ライター・高山敦子)
      ■         ■
 「局所多汗症」あなたは大丈夫?
①全身性疾患(結核などの感染症、パーキンソン病のような神経疾患、糖尿病、肥満症、甲状腺機能障害、更年期障害など)がないのに手のひらや足裏、わきの下など特定部位に汗をかき、全身にはかかない
②緊張時に手のひらや足裏、わきに多量の汗をかく
③汗で日常生活や仕事などに差し障る
④親や兄弟姉妹に同じ症状の人がいる
⑤寝ている間は汗をかかない
⑥両手足、両わきなど左右対称に汗が出る
⑦多汗の症状が幼少期~25歳くらいに出た
 手のひらやわきなどの局所多汗症は、これという目立った病気がなく、健康な人に発症することが多い。①~⑦の一つでもあてはまれば局所多汗症かもしれません。気になる場合は専門の医師に相談して下さい。
 ただ、全身性疾患のある人は全身に汗をかく全身多汗症を発症する傾向があり、特定部位に汗をかく局所多汗症とは異なります。
      ■         ■
 日本発汗学会のホームページ(http://dept.md.shinshu-u.ac.jp/I-1seiri/ase.office.html)に汗に詳しい医師や研究者の情報が紹介されている。
 皮膚科のほか、専門外来を設ける病院もある。脊髄に障害があったり、甲状腺の働きに異常があったりするほか、低血糖の場合にも多汗症がみられることもあり、注意が必要だ。
 (以上、平成19年10月15日(月)朝日新聞夕刊より引用)
      ■         ■
 立派な署名記事です。内容も一部を除き正しいと思います。残念なのは、ペインクリニックと東京医科歯科大学皮膚科の教授にだけ取材をし、美容外科の専門医に取材をしていないことです。
 厚生労働省が正式に認可していないため、大学病院の皮膚科教授といえどもボトックスの使用経験は少ないのが現実です。私はある有名な大学の教授にボトックスの打ち方を教えたことがあります。
      ■         ■
 ボトックスは腋窩多汗症には抜群の効果があります。精神性発汗が多いため、汗が出なくなるというだけでリラックスし、全身的な症状が改善する方もいらっしゃいます。
 日本では認可されていませんが、ワキの多汗にボトックスを注射するのは海外では当たり前です。効果も6ヵ月は持続します。署名記事なのですから、検証する取材をして欲しかったです。発汗学会のアドレスも間違っていました。

投稿者 sapporobiyou : 19:34 | コメント (0)

2007年10月18日

医師の激務

 平成19年10月17日、朝日新聞朝刊-声-の欄へ読者からの投稿です。
 医師の激務は分業で解消を  医師 44歳女性
 私は今月初めの3連休の日曜日、病院で小児科の救急診療を担当しました。診療は切れ目なく、昼食の時間もとれないほどでした。
 連休明け、匿名の母親から私あてに苦情メールが届きました。「2日続けて救急外来に通院したのに、ともに薬は1日分だけだった」「熱は下がったが、せきはひどくなった」。
 あげくに「風邪の患者を殺すつもりか」と非難されました。
      ■         ■
 救急外来は、生死にかかわる症状の患者さんのためにあり、救急での投薬も1日分しかできません。救急車で運ばれる患者さんは優先して診療しますが、「3日前から熱があって……」とかの方々が大半です。
 器具を使って赤ちやんののどを調べて泣かせた、との苦情もありました。こんなことは医師を消極的にさせます。そして、産婦人科や小児科、救急医療から医師を遠のかせます。(以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■
 私が総合病院の救急当直をした時のことです。ピアスが化膿したという方がいらっしゃいました。
 数日前から調子が悪かったそうですが、昼間は混んでいるので、夜間の救急外来にいらっしゃいました。しかも午前0時を回ってからです。
 たまたま形成外科の私が当直でしたが、外科や整形外科の先生が担当だったら、申し訳ありませんが、明日、形成外科へかかってくださいで終わりです。
      ■         ■
 夜間や休日にできる治療や処置は限られます。
 救急病院を受診しても、専門医がいるとは限りません。
 子供さんの急病は仕方がないとは思いますが、小児科の先生もギリギリの人数で精一杯働いています。
      ■         ■
 一日分しか薬が出ないのは、その病院のシステムのためかも知れません。
 そのお母さんは、せめて3日分くらいお薬を出して欲しかった、ということを訴えたかったのか?とも解釈できます。
 いずれにしても、このような状況を続けていると、小児科を志す先生はいなくなってしまいます。
      ■         ■
 医学部を志す人は、少しでも社会の役に立ちたいと願って志願するはずです。
 小児科や産婦人科は、少子高齢化を防ぐのにはなくてはならない診療科目です。
 一人でも多くの医学生や臨床研修医が、希望を持って働けるようなシステムを作って欲しいと思います。
 楽で儲かる仕事なんかはありませんが、苦労が報われないと誰でも働く気力を失います。

投稿者 sapporobiyou : 21:12 | コメント (0)

2007年10月17日

救急延命の指針

 平成19年10月16日、朝日新聞朝刊の記事です。
救急延命、中止に指針 本人意思不明なら医療チーム判断 救急医学会
 日本救急医学会は15日、救急医療の現場で延命治療を中止する手順を示した初のガイドライン(指針)を決めた。治療しても数日以内に死亡が予測される時、本人の意思が明らかでなく、家族が判断できない場合、主治医を含む「医療チーム」で延命治療を中止できるとしている。
 終末期医療をめぐるあり方には、日本医師会が「尊厳死」を容認する報告をしているほか、今春、厚生労働省の検討会が指針をまとめた。しかし、終末期の定義や人工呼吸器を外す手続きを具体的に定めた指針は学会レベルとして初めてとなる。
      ■         ■
 延命治療中止の手順。
 学会は、2月に公表した指針案について、会員や国民から意見を募り、寄せられた207件の意見や提言をもとに一部を修正し、この日、大阪市であった評議員会で賛成多数で承認された。
 救急の現場では、本人や家族の意思確認ができずに延命治療が続けられるケースがある。しかし、医師の判断で人工呼吸器を外した結果、刑事責任を問われることがあり、「ルールづくりが必要」という声が上がっていた。国も指針づくりに乗り出し、延命治療の中止をチームで判断することを求めた。ただ、患者の意思を基本とし、終末期の定義や中止容認の条件などは先送りした。
      ■         ■
 学会の指針では、終末期を「突然発症した重篤な疾病や不慮の事故などに対して適切な医療の継続にもかかわらず死が間近に迫っている状態」とし、具体的には、脳死と診断されたり、人工呼吸器などに生命の維持を依存し、移植などの代替手段がなかったりするなど四つの状態を挙げた。
 一方、末期がんなど慢性疾患で入院している患者は対象に含まない。
      ■         ■
 終末期と判断した後は、家族らが
①治療を希望
②延命措置中止を受け入れる
③意思が不明確、あるいは判断できない
④本人の意思が不明で、身元不詳などの理由で家族らと接触できない
に分け、①以外は、人工呼吸器の取り外しや薬剤をやめる際の手続きを定めた。④の場合も、最善を尽くしつつ、医療チームで治療中止を判断。チームで結論が出なければ院内の倫理委員会で検討するとした。
 指針作成にあたり、刑法学者らからも意見を聞いた。学会特別委員会委員長の有賀徹・昭和大教授は「延命治療を中止した際、司法の介入を招く事態も起きている。だが、ガイドラインに沿って判断すれば、法的にとがめられるはずがないと考えている」と話した。(野瀬輝彦、行方史郎)
      ■         ■
《解説》 現場には慎重論も
 日本救急医学会の終末期医療の指針は、患者本人の意思が不明でも、手続きや要件を満たせば延命治療が中止できるという踏み込んだ内容になった。
 東京大学の前田正一・准教授(生命・医療倫理)は「医療チームや倫理委員会で判断するという位置づけが明確にされた。指針に沿えば刑事責任を問われることはないと思う」と評価する一方、「患者と家族が必ずしも円満とは限らず、倫理委員会がどこまで機能するか分からないなど課題もある」と話す。
      ■         ■
 現場の医師には「指針を、そのまま採用する病院は少ない」といった慎重論がある。本人の意思が不明で、家族と連絡がとれなければ、判断は医療チームや倫理委員会にゆだねられる。この点について秋田赤十字病院(秋田市)の皆河崇志・脳神経外科部長は、現時点で人工呼吸器の取り外しに社会的合意が得られる条件の一つに「本人が延命治療を希望しないという明確な意思があること」を挙げる。「はっきりしない時はもっと慎重であるべきだ」とする。
      ■         ■
 学会に来た意見の中には「死期を早めることが日常化すれば、弱者切り捨てにつながりかねない」と懸念する声があった。「手続きさえ踏めばいいのか」といった批判を受けないためにも厳密な運用が求められる。
 以上、平成19年10月16日朝日新聞朝刊より引用。
      ■         ■
 救命救急センターでは毎日救急蘇生が行われています。
 平成19年7月26日に書いた、市立札幌病院救命救急センターの鹿野先生が、学会抄録に次のように書かれていました。
『救急集中治療領域における終末期医療のなかで、どんなに懸命に治療しても救命不能な患者は必ず存在する。それは救急医療の限界であり、救急医にとって敗北の瞬間でもある。』
 とても残念なことですが、どんなに頑張って治療しても、救命不可能な方はいらっしゃいます。
      ■         ■
 私は、2006年11月7日に書いたようにドナーカードを持っています。延命治療は要りません。レスピレーター(人工呼吸器)も要りません。
 使える組織はすべて提供します。
 少しだけ希望を言わせていただければ、組織の一部だけでも、(キレイな)女性の一部として生きていたいと、ひそかに願っています。
 家内には、そんなこと無理ょ…と言われていますが…。

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朝日新聞から引用

投稿者 sapporobiyou : 23:59 | コメント (0)

2007年10月16日

講義の準備

 今日から3週間にわたり3回の講義をしています。5年前に大学をクビになるまでは、4年間講義を担当しました。
 予備校や普通の大学の先生は授業をするのが仕事で、毎日講義をなさっていらしゃいます。
 医科大学や医学部の教員は、毎日の講義がない代わりに、診療をしながら講義や臨床実習を行います。
 人にものを教えるのは、かなり大変な作業で、資料を一つ作るのにも時間がかかります。
      ■         ■
 どんなに優秀な学生さんを相手にしても、講義内容が退屈だと居眠りをされてしまいます。
 米国の学会に参加すると、セミナーでは、
・講義の内容はよく理解できたか?
・話し方のスピードは適切だったか?
・資料は準備されていたか?
・資料の内容は適切だったか?
・講師に熱意は感じられたか?。
などのアンケート用紙が配られ最後に採点されます。
 日本でも学生側から評価する制度を取り入れている大学があるようです。
      ■         ■
 ‘撃墜王’とか‘鬼’とか呼ばれる教官がいます。厳しく学生を採点し、一学年の10%も再試験になると聞いたことがあります。
 教員にとって、再試験をすることは、それだけ手間も時間もかかります。再試験を何回したところで、その教員の評価にはつながりません。
 教員の評価は、英文論文を何篇書いたかが客観的な評価対象となります。
 厳しい先生は、それだけ教育にかける熱意があると考えてください。
      ■         ■
 私の講義は、形成外科という認知度が低い診療科目を、少しでも知ってもらいたいという思いで行っています。
 私が札幌医大6年生の時に、大浦武彦教授と濱本淳二助教授のお二人の先生が北大形成外科から特別講義にいらしてくださいました。
 私はその講義をお聞きして、形成外科を志すようになりました。
 大浦武彦先生は、現在も褥瘡(ジョクソウ)治療のパイオニアとして、日本中を駆け巡りながら講演をなさっていらっしゃいます。
      ■         ■
 講義のすごいところは、一度に数十人の学生さんに私の思いを伝えられることです。
 私が予備校時代に生物を教わった矢野雋輔先生の声は、35年も経った今でも私の脳裏に焼きついています。
 昨年の日記に矢野先生のことを書いたところ、ご親切に数年前にお亡くなりになったと、知らせてくださった方がいらっしゃいました。
 とても残念なことですが、先生が亡くなられても私の記憶の中には鮮明に残っています。
      ■         ■
 私は、私が死んだ後に一人でも私のことを覚えていてくれて、『形成外科ってすげー』という感動を伝えたいと願っています。
 3時間以上もかけて作り直したプリントとパワーポイントのファイルを持参して講義に行きました。
 2名ほど講義の最中に居眠りしている人がいました。
 残りの学生さんは熱心に聴いてくれました。あと2回頑張って講義に行きます。

投稿者 sapporobiyou : 21:41 | コメント (0)

2007年10月15日

客室乗務員さんの手術

 旅客機の客室乗務員は昔はスチュワーデス、今はキャビン・アテンダント(CA)と呼んでいます。
 契約社員が増えて、待遇は昔ほど良くないようですが、女性に人気がある職業の一つです。男性にとっては一つの憧れで、これは今も昔も変わらないようです。
 実際の勤務は重労働で、国際線になると長時間拘束されます。
      ■         ■
 かなり前のことですが、国際線の客室乗務員をなさっていらっしゃる方からワキガ手術を依頼されたことがありました。
 とても光栄なことですが、正直なところ困りました。まず客の荷物を収納するだけでも、手をかなり上まで上げなくてはなりません。
 狭い厨房で機内食を準備したり、ワゴンにのせて配るにも腕を伸ばします。ワキガ手術をすると、どう考えても2週間以上は無理です。
      ■         ■
 しかも、国際線になると勤務が不規則で、通院もできません。正直なところ最初はお断りしようと思いました。
 しかし彼女の悩みも深刻でした。長時間勤務の国際線では、どんなに‘お手入れ’をして乗務しても、目的地に到着する頃には気になるそうです。
 制服も汗で傷みやすいし、どうしても手術して欲しいと懇願されました。
      ■         ■
 幸い、約1ヵ月の長期休暇が取れたので、手術をお引き受けすることになりました。
 手術は順調に終わり、ご自宅で安静にしていらしたので、キズもキレイに治りました。
 長時間勤務も苦にならなくなり、快適にお仕事に復帰されました。
 数ヵ月後の診察の時です、『先生、臭いがするんです』と言われました。私は耳を疑いました。
      ■         ■
 手術後数ヵ月はまったく気にならなかったそうですが、ある日、長時間の勤務を終える頃に気づいたそうです。
 以前とは比べものにならない位、汗は減り、臭いも通常は気にならないのですが、せっかく手術したのに…と。
 その方は注意深くワキを観察されました。
 臭いが出ていたのは、おっぱいの横に近い、腋毛も生えていないところからでした。
      ■         ■
 形成外科や美容外科の教科書には、ワキガ手術をする範囲は、毛の生え際から1~2㎝と記載されています。
 標準的な範囲は、成書には10×4㎝程度と書かれています(腋臭症の治療、克誠堂出版、p64)。
 臭いが出ていた部位には腋毛がなく、一見したところアポクリン腺はなさそうな部位でしたが、確かにそこから臭いがしました。
      ■         ■
 最初に手術したキズがキレイだったので、また新たにキズができても構いません。と了解をいただきましたので、追加手術をしました。
 そのおっぱいの横の少し窪んだ部分には、少しですがアポクリン腺がありました。
 そのアポクリン腺を切除すると臭いは消失しました。
 それ以来、私はそこまでアポクリン腺を除去するようにしています。
      ■         ■
 私が手術する範囲は、広い方だと10×18㎝にもなります。
 今までの最高は、12×20㎝でした。その方の体重は100㎏を超えていました。
 臭いに対するこだわりは、総合病院の形成外科を受診なさって手術を受ける方と、形成外科・美容外科のクリニックを受診なさる方の要求度の違いかもしれません。
 ただ、経過を診察していて、臭いが残っていると、本人の次に気になるのは執刀医です。私は保険で手術をしても、できる限り臭いをゼロに近づけるよう努力しています。
 形成外科勤務医の先生にも、ちょっとだけ耳を傾けていただければと思います。
      ■         ■
 私は、その臭いがすると教えてくれた方に感謝しています。
 今は手術をする前に、必ずご自身に鏡で手術する範囲を確認していただいています。
 この取り残しが、一般に‘再発’といわれる症状なのだと思います。

投稿者 sapporobiyou : 22:19 | コメント (0)

2007年10月14日

カレスサッポロ格付け取り下げ

平成19年10月11日北海道新聞朝刊の記事です。
カレスサッポロ格付け取り下げ
      ■         ■
 格付け大手のフィッチ・レーティンクス(東京)は10月10日、特定医療法人社団カレスサッポロ(札幌、西村昭男理事長)の円建て長期発行体デフォルト格付け(IDR)について、「2007年3月期決算から監査報告書の提出がない」ことを理由に、投資適格の「BBB」から非投資適格の「BB」に格下げした上で、格付け自体を取り下げたと発表した。
      ■         ■
 IDRは長期無担保債務の支払い能力を格付けしたもので、カレスサッポロは2006年3月に「BBB」を取得した。
 しかし今年夏に西村氏が理事長を兼務していた室蘭の医療法人社団で理事長解任騒動があり、カレスサッポロの経営への影響が取りざたされていた。
      ■         ■
 カレスサッポロは「『格付けが財務内容を不透明にしている』などの誤解もあり、騒動が沈静化するまで格付けを取り下げたい」との意向を示した上で「経営体制を構築し、あらためて格付けを取得したい」という。
 以上、北海道新聞10月11日朝刊より引用。
      ■         ■
 特定医療法人社団カレスサッポロは、2006年3月16日にフィッチ・レーティングスから、円建て発行体デフォルト格付(IDR)「BBB」を取得していました。
 フィッチ・レーティングスのHPには2006年03月16 日の時点で、次のように記載されています。
 カレスサッポロは2005年3月末には 1)北光記念病院、2)形成外科メモリアル病院、3)北光記念クリニック、4)家庭医療クリニック西岡の4医療施設を運営しており、病床規模は合計260であった。
 しかしながら、過去12ヶ月間に実施された時計台病院、稲積公園病院、稲積公園クリニックの買収・統合および時計台記念クリニック新規開設の結果、現在では4病院、4診療所の8施設を運営することとなり、病床規模も合計475へと拡大している。今2006年3月期の医業収入はおよそ90億円と前年比で倍増する見込みである。
      ■         ■
 カレスサッポロの格付は、経営陣の優れた経営手腕を反映している。同法人には、経営不振に陥った病院に対する経営面、医療面の支援要請が持ち込まれることが多いが、支援先病院はいずれも業績が急回復している。
 フィッチは、カレスサッポロの経営陣が規制環境の変更や人口動態の動向を見据えた戦略にたけ、医療法人に対する透明性の向上や説明責任を求める環境変化に前向きに対応していることを評価している。(2006年03月16 日のフィッチHPより引用)
      ■         ■
 それが、2007年5月23日には、『フィッチは特定医療法人社団カレスサッポロの円建て長期発行体デフォルト格付(IDR)「BBB」を格付ウォッチ「ネガティブ」の対象にした。
 適時開示の条件が満たされず、信用力に懸念が生じたためである。』と記載されています。
 フィッチ・レーティングスは、世界三大格付機関の一つと言われる、権威ある会社です。
 天使病院に端を発した今回の騒動で、格付けが下がったことはとても残念です。
      ■         ■
 救命救急センターが休止したり、循環器センター・産婦人科が休止したりすれば、病院の収益は急速に悪化します。
 私のような個人経営の医療法人は銀行からお金を借りて経営しています。カレス位になると、銀行ではなくファンドからお金が出ています。
 格付けが下がり、非投資適格の「BB」とされ、財務内容が不明であれば誰もお金を出してくれなくなります。
 私のような個人事業でしたら、すぐに倒産です。
      ■         ■
 時計台記念病院は、形成外科の急患にも対応していただけるので、当院で手術中などの時はいつもお願いしてます。
 先日書いた循環器センターではとても素晴らしい仕事をなさっていらっしゃいます。
 一日も早く、事態が正常化して欲しいと願っています。

投稿者 sapporobiyou : 16:44 | コメント (0)

2007年10月13日

救命救急センター休止

 平成19年10月12日北海道新聞朝刊の記事です。
日鋼記念病院 「救急救命センター」を休止へ
      ■         ■
 【室蘭】医療法人社団カレスアライアンス(室蘭)が経営する日鋼記念病院(室蘭市新富町)は11日、医師不足から、高度救急医療(三次救急)を担う「救急救命センター」を休止する方針を固めた。近く、道などに意向を伝える。救命救急センターの休止は全国初。
      ■         ■
 日鋼記念病院は今年9月、同社団の西村昭男理事長の解任に伴い、前院長を含め西村氏に近い医師ら5人がすでに退職。11月末までにさらに5人の退職が決まっており、医師は69人にまで減る見通し。退職医師には循環器科の4人や脳神経外科、形成外科の各1人が含まれているため、救急救命センターの機能維持は難しいとの判断に傾いた。
      ■         ■
 救急救命センターは、重症の救急患者を治療するための医療機関として、都道府県知事が定める。交通事故の負傷者や心筋梗塞(コウソク)、脳卒中などの治療に当たるが、日鋼記念病院は医師不足から脳神経外科と循環器科の新規患者の診療をすでに休止し、救急救命センターも事実上の休止状態となっていた。
      ■         ■
 同病院は、センターを当面の休止とし、医師が確保できれば復活したい考え。救急救命センターは全国に約200カ所、道内に10カ所あるが、厚生労働省は「休止や廃止は聞いたことがない」としている。
 同社団の混乱は、同社団が経営する天使病院(札幌)の別法人への移管問題が発端。移管を提案した西村前理事長に病院職員が反発、天使病院の産婦人科医師6人が退職を申し出る事態になった。その後、9月の臨時社員総会と理事会で西村氏が解任され、西村氏に近い日鋼記念病院の医師の退職が相次ぐなど、混乱が室蘭に飛び火した。
 以上、北海道新聞の記事より引用。
      ■         ■
 救命救急センターは一刻を争う救急患者の救命を行うセンターです。日鋼記念病院救命救急センターへは札幌医大から優秀なスタッフが派遣されていました。
 来年の洞爺湖サミットの際に、一番近くて頼りになるのが日鋼記念病院です。
 日鋼記念に救命救急センターがなくなると、万一の際は、ヘリで札幌まで搬送です。
  ヘリは悪天候に弱く、霧が出て視界が悪ければ飛べません。そうなると、高速道路を使って救急車で搬送です。
      ■         ■
 循環器センターもなくなってしまったので、もし、サミットで日本や外国の首脳が心筋梗塞になっても治療ができません。
 札幌まで搬送している間に、手遅れになります。
 そんなことは、北海道の医療行政を担当していれば、すぐにわかることです。
 カレスアライアンスの事情もわかりますが、とても残念なことです。
      ■         ■
 サミットは来年ですが、室蘭市を中心とする登別市、伊達市など近隣住民の方にはもっと切実な問題です。
 一医療法人の問題ではありません。西村先生は、北大第一外科助教授から、室蘭の日鋼病院へ赴任され、見事に病院を建て直されました。
 その業績は、医療界では有名な話しです。
 救命救急センターは、地域住民にはなくてはならないものです。一度休止してしまうと、優秀なスタッフもバラバラになってしまい、再建するのも容易ではありません。
 一日も早く、正常な状態に戻って欲しいと願っています。

投稿者 sapporobiyou : 09:43 | コメント (0)

2007年10月12日

看護師の活用

 平成19年10月11日朝日新聞夕刊の窓-論説委員室から-に、看護師の活用という記事が記載されていました。
 以下は朝日新聞の記事です。
      ■         ■
 病院で働く看護師の技術や能力をもっと高め、医師だけに許されている「診断や治療」の一部を、看護師もできるようにしてはどうか-。
 国立病院機構の矢崎義雄理事長は最近、こんな思いを強めている。
 医療行為は医師しかできず、看護師は患者の世話にあたる、と法律で定められている。その壁に少し風穴を開けることはできないか、というのだ。
      ■         ■
 例えば手術。米国の医師は高い技術が求められる執刀にあたり、それ以外の仕事は専門の看護師や医療技師が支える。ところが、日本では若い医師が看護師や技師の仕事まで代行することが多いという。
 病棟でもそうだ。米国では専門の看護師が簡単な医療を次々とこなす。しかし、看護師の裁量の幅が狭い日本では、若手医師が検査や診療に駆け回る。
 医療をすべて米国式にする必要はない。しかし、看護師らにも医療の一部を担ってもらい、医師は専門性の高い仕事に専念できる仕組みをもっと考えていい。
      ■         ■
 というのも、病院の医師不足は、医師の絶対数が少ないこともあるが、医療のすべてを医師が担うため、仕事が過酷になっていることも遠因となっているからだ。
 問題は、責任が重くなる看護師の理解と協力が得られるかだ。
 しかし、4年制の看護大学が増え、小児医療やがん専門の看護師の養成も進んでいる。権限の委譲を歓迎する看護師は意外と多いのではないか。〈梶本章〉
 以上、平成19年10月11日朝日新聞夕刊 窓-論説委員室から-より引用
      ■         ■
 日本では看護師が点滴の針を刺したり、静脈注射をすることが、つい10年くらい前までは‘正式に’認められていませんでした。
 私が医師になった時は、どんなに新米で点滴が下手くそでも、点滴の針を刺すのは新人医師の仕事でした(北大病院では)。
 地方の病院や大学病院以外では、看護師さんがごく当たり前に点滴をしていましたが、北大だけは違いました。
      ■         ■
 手術室の器械出し(直接介助)という仕事があります。医師国家試験にも看護師国家試験にも、手術で使う器具の名前は出ません。講義でもあまり教えません。
 手術室ナースは、術者の指や手の動き、手術の流れを読んで、的確に器具を手渡しします。
 よくTVなんかで見る、『メス!(私はメスとは言いませんが)』と言って、ポンと渡すアレです。
 これがテキパキできるのは優秀なナースです。
      ■         ■
 北大では17:00になると、ナースは勤務時間が終了するので、研修医に交代していました。
 ナースは文部技官で時間外手当を払わなくてはいけませんが、研修医はタダで使える(時間外手当無し)ので研修医に交代です。
      ■         ■
 私たちが研修医の頃は、仕事の大部分が医師免許がなくてもできるような雑用でした。
 臨床研修医制度で大学病院が嫌われ、都市部の一般病院に人気があるのも、そんな伝統があるからかもしれません。
 今すぐに、看護師の業務が拡大するとは考えられません。
 厚生労働省は看護師免許でできる業務、医師免許でできる業務を明確にすべきだと思います。

投稿者 sapporobiyou : 19:47 | コメント (0)

2007年10月11日

シオゾールと光治療

 日本美容外科学会で湘南鎌倉総合病院の山下理絵先生が、とても興味深い注意を喚起してくださいました。
 山下先生は日本美容抗加齢医学会会長で、レーザーや光治療による、若返り治療がご専門です。
 今回の学会でも、IPLやレーザーを用いた皮膚の若返りについて座長やコメンテーターをなさいました。
      ■         ■
 シオゾールという薬があります。主成分は金チオリンゴ酸ナトリウム、塩野義製薬㈱で作られた、リウマチの薬です。
 この薬の特徴は成分に金(ゴールド)を含むことです。
 金製剤は、もともと抗結核薬として使われてきましたが、その過程でリウマチに対する治療効果が認められました。
 シオゾールは注射薬で、投与を続けると、体内に金がたまっていき、おしっこによって排泄されます。
 1970年に販売を開始した古くからある薬です。患者さんの中には、投与を受けたことを忘れてしまっている方もいると思います。
      ■         ■
 この金(キン)の注射を受けたリウマチ患者さんが、光治療を受けて、皮膚に残っていた微量の金が光に反応して、通常では起こらない反応が出ました。
 山下先生が出された症例の女性は、光治療を受けた顔が青く変色していました。
 治療をする側も、された側も、まさかこんな反応が起こるとは夢にも思わなかったと思います。
 シオゾールの添付文書を読んでも、投与後に光治療を受けると、皮膚が変色するとは書いていません。
      ■         ■
 山下先生の別の症例では、金の糸による治療を受けていて、治療を受けたことを話さないで、光治療を受け、副作用が出た方がいらっしゃいました。
 他のクリニックで受けた治療内容を、正直に申告してくださらない方もいらっしゃいます。
      ■         ■
 メスを使わない治療は、ともすれば‘安全’‘副作用がない’と考えられがちです。
 レーザー機器のメーカーも製薬メーカーもこのような副作用については承知していないと思います。
 もちろん厚生労働省からは何の通達も出ていません。そもそも、レーザー機器の大部分は厚労省から認可されていないので、国はどんな治療機器が使われているかも知らないと思います。
      ■         ■
 金の糸や金の注射を受けた方は、くれぐれも安易に光治療を受けないでください。。
 巷では、レーザー治療だ、IPLだ、光治療だと、エステですら‘治療’がおこなわれています。
 私は重篤な副作用が問題になる前に、厚生労働省がもっとしっかり指導すべきだと思います。

投稿者 sapporobiyou : 20:15 | コメント (0)

2007年10月10日

修正手術の難しさ

 日本美容外科学会で10月7日(日)に聖路加国際病院形成外科の小松一成先生が、「当院におけるsecondary blepharoplastyへの遊離脂肪移植の検討」という演題を発表されました。
 聖路加国際病院形成外科は大竹尚之先生をトップとする日本でもトップクラスの形成外科です。
 大竹先生は元北里大学形成外科助教授、№2の松井瑞子先生は元東京慈恵医大形成外科講師でスタッフも超一流です。
 先日書いた、塩谷先生のお薦めが大竹先生です。
 聖路加国際病院形成外科の特徴は、他院で手術を受けたが、結果が不満足だったので修正を希望される方が多いことです。
 私も本州からメール相談を受けた方には、大竹先生をご紹介しています。
      ■         ■
 secondary blepharoplastyとは二次的眼瞼形成術と訳します。簡単に言うと修正手術のことです。
 修正手術は、一度も手術を受けたことがない人に比べて、手術が何倍も十倍以上も難しいのです。
 聖路加国際病院では2004年4月から2006年4月までの2年間に、245例の眼瞼形成術を行い、そのうち154例が修正手術でした。63%が修正手術というのは、他の病院ではない数字です。
      ■         ■
 修正手術が難しい理由は、前の手術により瘢痕というキズが皮膚の下にできているためです。その目に見えないようなキズに引っ張られて、ラインが乱れたり、キレイに二重の線ができないことが原因です。
 よい結果を出すまでに、何度も手術をしなければならないこともあります。
 修正手術を希望される方は、
・ちょっとだけ二重の幅を狭くしたい
・ちょっとだけ二重の幅を広くしたい
・かすかについた余計な線を消して欲しい
・わずかな左右差をちょっとだけ直して欲しい
・右が平行型で左が末広型なので、両方とも平行にしてほしい
 などなど…、ご希望はよく理解できるのですが、実際に治すのは大変なのです。
 中には、誰が見ても不自然でお気の毒な方もいらっしゃいます。
 問題なのは、本人が指でちょっとクセをつければ‘治る’ような軽微な修正です。一見、手術が‘簡単’だと思われるような修正手術でも難しいことがあります。
 簡単に直ることもありますが、何度も手術を受けている方は思わぬ線ができることもあります。
      ■         ■
 小松先生が学会で発表された症例は、いずれも変形が高度で、難しい症例ばかりでした。
 聖路加では、左上腕内側(二の腕の内側)から、脂肪を取ってそれを上まぶたに移植して修正していました。
 脂肪を移植するのは、瘢痕というキズに皮膚が引っ張られて、余計なラインができるのを防ぐためです。
 他院で手術をされていると、最初にどんな手術をされたのかわからないこともあり、修正には苦労します。
 苦労して治しても、はじめて手術をした方よりも結果が劣ることが多いのが修正手術です。
 聖路加のような「駆け込み寺」があるので、暗い夜道も明るくなります。

投稿者 sapporobiyou : 18:15 | コメント (0)

2007年10月09日

手術をしてはいけない人

 日本美容外科学会の続きです。10月7日の学会でサフォクリニックの白壁征夫(シラカベユキオ)先生が興味深い質問をなさいました。
 白壁先生は、日本美容外科学会理事で、第27回学会会長。2004年10月、軽井沢で行われた学会に、形成外科系としてはじめて、高須クリニックの高須克弥先生と当時の聖心美容外科総院長の山川雅之先生を招かれた偉大な先生です。
 台風の影響で飛行機が飛ばず、しかも軽井沢だったため、全員必死の思いで学会へ行きましたが、とても実りの多い学会でした。
 白壁先生の質問は、手術をしてはいけない方をどうやって判断しますか?というものでした。
      ■         ■
 この人を手術すると、必ずトラブルになると思われる方がいらっしゃいます。
 これは美容外科を開業していても、雇われ院長をしていても、美容外科の勤務医をしていても同じです。
 先日書いた、醜形恐怖症の方も含まれますが、どんなに上手な先生が手術をしても、どんな完璧な手術をしても、結果に満足できない人です。
 私は‘世界一の美容外科医’ではないので、そもそも‘完璧な’手術はできません。どの程度まで治せるかをしっかり理解していただくことが重要だと思います。
      ■         ■
・A先生(男性)。
 (クリニックに)入ってきたらすぐにわかります。その方がどう言おうが手術はお引き受けしません。お帰りいただきます。
・B先生(男性)。
 とても神経質な方。手術をした途端に豹変する方もいらっしゃいます。
・C先生(男性)。
 態度。(初診の際の)第一声でわかります。同じことを何度説明しても、細かいことを何度も質問されます。
 特に男性の方に気をつけます。手術を引き受けるまで、何度も来院する人もいらっしゃいます。
 手術をすると、手術後に苦労することは目に見えていますので、手術はいたしません。
・D先生(女性)。
 (精神病との)境界型の方がわからないことがあります。理解力のある方しか手術をしておりません。
・E先生(男性)。
 笑わそうとしても(笑いを誘っても)笑わない人。
 耳元でささやくように話す人。
・F先生(男性)。
 米国で40~50年前に調査した結果です。一番、問題がないのが、女性の加齢によるシワの手術。
 一番問題になるのが、男性の鼻の手術と言われています。
・G先生(男性)。
 精神病の方。暴力団関係の方。
 精神病の方が困ります。
・H先生(男性)。
 最近はメール相談でも困ることがあります。
 自分の不幸を他人のせいにする人。他人が悪いので自分は不幸になったというような人。
      ■         ■
 美容外科医の宿命かもしれませんが、この人を手術するとトラブルになるという方はいらっしゃします。
 ベテランの先生でも、たくさん困った経験があるようです。
 ある開業医の奥様が、うちの先生はせっかくいらした‘お客様’を帰してしまうと嘆いていたことがありました。
 ベテランの先生だからこそ、帰してしまうのだと思います。
 ベテランになればなるほど、困った症例に出くわすこともあります。私などまだまだ修行が足りないと思いました。
 学会に参加しなかった若い先生の参考になれば幸いです。

投稿者 sapporobiyou : 19:49 | コメント (0)

2007年10月08日

日本美容外科学会③

 学会に出席する楽しみの一つに、友人の先生を増やすことがあります。
 自分の手術について、真摯な発表をなさっている先生はわかります。
 その先生の発表をお聞きして、内容についてディスカッションをして、昔なら論文を読んで…と交流が始まります。
 今は、インターネットやメールがあるので、すぐに連絡がとれるので便利です。
      ■         ■
 私はふだんは自宅とクリニックの往復だけです。学会の時だけは、他の先生と食事をしたり、話しをしたりするのを楽しみにしています。
 学会を通じて友だちの輪を広がることは、医師としてとても楽しいことです。
 四半世紀以上形成外科医をしているので、学会を通じてたくさんの先生と知り合い友だちになりました。
      ■         ■
 私たちは、手術前後の写真や発表を見ると、その先生がどんな方かわかります。
 形成外科や美容外科の先生にも、さまざまな方がいらっしゃいます。
 昨日の鼻の発表です。北里大学名誉教授の塩谷信幸先生が、もし先生が手術を受けるとしたら、どなたに手術してもらいますか?というとても面白い質問をなさいました。
 正直に、『私は麻酔がイヤなので、手術はうけたくありません』と答えられた先生もましたが、大部分の先生は『困った?』という感じでした。
      ■         ■
 塩谷先生は、日本形成外科学会・日本美容外科学会の重鎮で、日本ではじめて北里大学に美容外科を開設なさった先生です。私など足元にも及ばない‘大大大先生’です。
 塩谷先生のブログがあります。しかも、毎日更新なさっていらっしゃいます。今回の学会について、塩谷先生からブログでお褒めの言葉をいただいていました。
 塩谷先生がお書きになっていらっしゃるように、今回の美容外科学会は画期的でした。、東京女子医大形成外科の野﨑幹弘(モトヒロ)教授が学会にいらっしゃいました。形成外科と美容外科が少し近くなったようです。
      ■         ■
 これからの課題は2つの日本美容外科学会です。何年かかるかわかりませんが、十仁系学会と形成外科系学会が、一つの日本美容外科学会になれば…と願っています。
 韓国では、日本以上に形成外科系と非形成外科系の美容外科学会の仲がよくないようです。
 私は両方の美容外科学会に入会しています。
 一部の形成外科重鎮の先生は、十仁系学会をよく思っていらっしゃらないようです。
 私は、本当に‘悪い’美容外科医は、どちらの学会にも所属していない、勉強もしない、美容外科医とは言えないような‘先生’だと思います。

投稿者 sapporobiyou : 19:12 | コメント (0)

2007年10月07日

日本美容外科学会②

 今日で日本美容外科学会学術集会が終了しました。
 今回の学会では、ライブサージャリーがあり、インタラクティブビデオというセッションがありました。
 有名な先生の手術をビデオで拝見しながら、座長とコメンテーターが討論する、新しい形式の学会発表でした。
 従来の発表方法よりも、手術法の利点・欠点がよく理解でき有意義な学会でした。
      ■         ■
 学会会長の蘇春堂形成外科理事長の新冨芳尚先生と蘇春堂形成外科院長の野平久仁彦先生に感謝いたします。
 また学会の運営にご尽力いただいた、北大形成外科の山本有平教授、佐々木 了(サトル)准教授、関堂 充講師はじめ、北大形成外科スタッフの皆さんに感謝いたします。
      ■         ■
 私も北大形成外科の医局員だった頃には、よく学会の仕事をお手伝いしました。
 医師になって最初の学会の仕事は、学会の写真係りでした。学生時代に写真部だったので、カメラは他の人より少し得意でした。
 レディースプログラムという、偉い先生の奥様の観光ツアーの写真係りもさせていただきました。
 私が撮った写真がとてもよく映っていたと、米国の有名な教授の奥様からお礼状をいただいたことも、今となっては懐かしい想い出です。
      ■         ■
 今日の発表で勉強になったのは、豊胸術後に硬くなったおっぱいの修正方法でした。どの先生も、ある確率で硬くなったおっぱいを経験されており、その修正に苦労されていました。
 私の師匠である、南雲吉則先生の発表では、スライドに『申し訳ございません』と大きく謝っている絵が出てきました。南雲先生でも苦労なさっていることがわかりました。
 どんな手術でも、予期せぬ経過になることがあります。その時に、どう対処できるかが、その先生の腕だとおもいました。
      ■         ■
 また、今日の午前中は、鼻の手術についての発表がたくさんありました。
 聖路加国際病院形成外科の大竹尚之先生、石田クリニックの石田知良先生、ヴェリテクリニックの大口春雄先生、リッツ美容外科の広比利次先生など、日本で有名な先生のご発表があり、勉強になりました。
 聖路加国際病院形成外科は、他院で手術を受け、不満足だった方の『駆け込み寺』になっているようで、難しい症例をキレイに治していらっしゃいました。
      ■         ■
 2日間の学会で得られた知識を、明日からの診療に役立てたいと思います。
 来年の日本美容外科学会総会は広島で行われます。

投稿者 sapporobiyou : 23:54 | コメント (0)

2007年10月06日

日本美容外科学会①

 今日、第30回日本美容外科学会総会がルネッサンスホテル札幌で開催されました。会長は蘇春堂形成外科の新冨芳尚先生です。新冨先生は北大形成外科同門会会長です。
 第14回総会の会長が、大浦武彦先生でした。あれから16年の間に美容外科学会はとても大きくなりました。
 今日は蘇春堂形成外科から野平久仁彦先生の手術がライブ映像で学会会場に中継されました。
 ハイビジョンのとても鮮明な画像が会場の大きなスクリーンに映し出され、時代の進歩を感じました。
      ■         ■
 今日は大部分の美容外科が学会のために休診です。診療していた大手美容外科の院長が、今日はうち位しか診療していないので、忙しかったと話していました。
 チェーン店系の美容外科の先生もいらしていますが、こちらの美容外科学会は、形成外科系の学会なので、形成外科出身の先生が多いのが特徴です。
 もう一つの日本美容外科学会(十仁系)は、明日、韓国のソウルで日韓合同で学会を開催します。
      ■         ■
 今日の学会で勉強になったことに、上眼瞼除皺術(ジョウガンケンジョスウジュツ)がありました。
 私もそうですが、上まぶたの『たるみ』を取るには、通常は二重の線に沿って切開を入れます。
 京都の冨士森先生が、眉の下で切る方法を以前から提唱なさっていらっしゃいました。
 私は眉の下にキズが残るのが気になり、どうしてもその手術をする気になれませんでした。
      ■         ■
 今日、発表された、埼玉医大形成外科の高橋範夫先生の手術は、私の今までの考えを覆す(クツガエス)ほどキレイでした。
 発表の後で、さっそく高橋先生を見つけて、手術法についてお伺いしました。
 学会の便利なところは、その場で発表者に質問できることです。質疑応答の時間に質問できなくても、ロビーにいる時間に伺うこともできます。
 高橋先生は、丁寧に手術法について教えてくださいました。現在は埼玉医大に所属していらっしゃいますが、元は美容外科を経営されていたことも伺いました。
 手術の仕上がりがとてもキレイだったのが理解できました。
      ■         ■
 夜は懇親会で、その後で、私のおっぱいの師匠であるナグモクリニックの南雲吉則先生とお会いしました。
 ナグモクリニックの山口先生もいらしていただき、山口先生の奥様ともお会いできました。
 山口先生の奥様は、元北里研究所病院にいらして、現在は白金ビューティフルエイジングクリニック院長の山口麻子先生です。
 私の日記が出ている、美容の杜で時々ブログを読ませていただいていました。世の中は狭いものです。
      ■         ■
 明日も朝から学会です。学会のため日記の更新が遅くなりました。
 学会で親しい先生ができて、友だちの輪が広がります。
 同業者ならではの苦労話もできて、楽しい夜でした。

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師匠の南雲先生と

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2007年10月05日

新聞を読む

 北海学園大学経営学部・大学院経営学研究科の㈱ニトリ寄附講座で、2回続けて講師の先生が新聞を読むことを学生さんに薦めていました。
 昨日の前田勝敏先生は日経(日本経済新聞)と全国紙一紙(道新でも可と言われました)、前回のイオンの阪本先生は最低全国紙一紙を読むように話されました。
 私は、札幌西高校2年生の時から、ずっと朝日新聞を購読しています。現代国語の成績が伸びず、国語の成績が優秀だった友人に訊いたところ『本間、新聞読め!』と言われました。
      ■         ■
 当時はよく大学入試に、朝日新聞から出題されていました。私が、現役で受験した時も(落ちましたが…)、朝日新聞の天声人語から出題されました。
 ちなみに、その時は現代国語はできたのですが、数学がダメで落ちました。医学部を制覇するには、まず数学です。
 今の時代は、ネットで何でも検索できる時代です。わざわざ新聞なんか買って読まなくても、携帯端末でもニュースが読めます。では何故、企業の経営者は新聞を読めといわれるのでしょうか?
      ■         ■
 私は、朝日新聞と北海道新聞の2紙を購読しています。
 毎朝、最初に読むのは北海道新聞です。そして、一番最初に目を通すのが、おくやみ広告です。
 私くらいの年齢になると、知人友人の親やお世話になった方の身内にご不幸があることが多くなります。
 失礼があってはいけないので、まずおくやみ広告をチェックします。これは、ある医局長をしていた先輩から教わりました。
      ■         ■
 おくやみ広告をチェックしても、知り合いの不幸を‘発見’するのは、年に数回あるかないかです。
 その代わり、おくやみ広告から、意外なことを見つけることもあります。
 例えば、あの社会福祉法人は、あのお寺の住職さんが経営していたのか…など。
 この人はこの国会議員を支持していたのか…などです。
 企業の経営者が学生さんに新聞を薦めるのは、おくやみ広告を読ませるためではありません。
      ■         ■
 私は、日記を書く材料を探すために、新聞をよく読むようになりました。
 自分の子供や当院の若い職員を見ると、新聞を定期購読している人は少なくなりました。
 ニュースはだいたい、パケホで携帯端末から読んでいます。
 新聞社はニュースすべてを携帯に配信していたら、新聞を買う人がいなくなり倒産です。
      ■         ■
 新聞には、ネットで読めない記事がたくさん出ています。
 私は、社会面から経済欄、家庭欄をよく読みますが、天声人語や社説も読みます。
 昨日の前田先生は、自分の興味がある項目だけではなく、新聞の端から端まで読むように薦められました。
 これから就職活動をなさる学生さんには特に必要だと思います。
 新聞を一ヵ月購読すると\4,000弱になりますので、図書館などを利用するするのもよいと思います。
      ■         ■
 新聞を読むことで、世の中の流れがわかります。
 TVのニュースでは得られない情報が伝わります。TVでは、一瞬聞き逃すとわからなくなりますが、新聞は読んでいる間に考えることができます。
 新聞社の方針にもよりますが、事件などに対して一定の論評が伝わります。
      ■         ■
 私は経営者が新聞購読を薦める理由は、字を読んで、そこから自分で考える思考過程が生まれるからだと思います。
 世の中は刻一刻と変化しています。企業が生き残るには、いかに早く情報をキャッチし、機敏に対応できるかがポイントです。
 新聞はあらゆる種類の情報が満載されています。その中から取捨選択して、自分の頭で考える思考過程が必要なのです。
      ■         ■
 私たちは、朝起きて夜寝るまでに、自分の仕事や勉強以外のことに触れる時間がありません。
 自分だけの世界に閉じこもらず、広く世界を見て、これからのことを考えるために、新聞を読むことが重要なのではないでしょうか?
 活字離れが進んでいて、新聞社も将来のことを心配しているようです。
 活字離れの一方で、日本人がブログなどの文章を書くようになっているそうです。私も毎日まいにち日記を更新しています。
 毎日の更新はかなり辛い作業ですが、自分の自己主張の場、後世に私の考えを伝える場として、日記を利用しています。今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

投稿者 sapporobiyou : 14:53 | コメント (1)

2007年10月04日

社長になる

 今日は、北海学園大学経営学部・大学院経営学研究科の㈱ニトリ寄附講座に行ってきました。
 今日の講師は、前DCMJapanホールディングス㈱社長の前田勝敏先生です。
 前田先生の講義は、2005年から3年目になります。すでにマスコミで報道されているように、平成19年5月に社長を退かれました。
 今日は、5月以来はじめて大勢の人の前に出てお話しをされたそうです。
      ■         ■
 現在は㈱未来流通研究所の代表取締役。といってもお一人で東京に事務所を開かれていらっしゃいます。
 DCMJapanホールディングス㈱の時はは2万人のトップ。今はお一人で、今までの体験を元に、新しい仕事をはじめられました。今日の講義も、聴く人の心を打つものがありました。
      ■         ■
 前田社長は、立教大学経済学部経営学科を、昭和42年3月31日に卒業されました。
 大学時代は、校門までは行くが、講義には行かず、雀荘や喫茶店で学生生活を謳歌なさったそうです。
 満足に勉強をしなかったので、卒業できるかどうかわからず、そのため4年生になっても就職活動は一切しませんでした。
 3月25日が卒業式で、他の学友は、卒業式の会場に向かう中、前田社長は追試の試験会場に向かっていました。
      ■         ■
 卒論はなかったものの、27科目の卒業試験があり、卒業式の日になっても、3科目が追試でした。
 ようやく追試に合格し、3月31日に卒業証書をいただきました。
 その頃、流行っていたのが、加山雄三さんという歌手でした。加山雄三をもじって、成績がカヤマユウゾウ。可が山のようにあり、優が3つだったとか。このように楽しい大学生活だったそうです。
      ■         ■
 卒業はしたものの、就職はせず、本当の意味で浪人でした。親には、もう少し東京で勉強したいと言い、プータローをしていました。
 そうこうしているうちに、親が急死してしまい、実家の釧路に帰りました。
 釧路に帰ってから、電柱に貼ってあった『石黒商店』のアルバイト募集の紙を見つけて、石黒商店という金物屋さんに面接に行きました。
      ■         ■
 配達のトラックの助手席に乗って、配送の手伝いをする、アルバイトに応募しました。
 そこで、石黒商店の創業者に会い、せっかく東京の大学まで出ているのだから、アルバイトではなく正社員として勤めなさいと誘われ、石黒商店に入社しました。年商3億円の釧路の有力企業でした。
      ■         ■
 昨年までの講義では、お話しになりませんでしたが、入社して間もなくの頃から、将来は社長になろうと決意されていたそうです。
 創業者の石黒社長を支えながら、一生懸命に働き努力しました。
 アメリカへ行って勉強したり、同業他社の勉強をして、昭和51年に石黒ホーマーをスタートさせました。
 私たちの世代には、ホームセンターといえば、石黒ホーマーです。電話番号も○○○-1496(イシグロ)でした。
 前田社長は創業者の信頼を得て、物流やコンピューターシステムをどんどん発展させました。このシステムがホーマックを北海道発の成功企業に育てた原点です。
      ■         ■
 似鳥社長も前田社長も、商売の原点はお客さんに喜んでもらうこと。と強調されます。
 お客さんが、お店に来て、商品を手にして喜んでくださる。これこそが自分が人間として生きる価値だと言われます。
 この仕事をしたら、お金が儲かるからしようは×。人の役に立つ仕事をする喜びがある会社が、残る会社です。
      ■         ■
 会社を選ぶ時は、×給料が高いから、×仕事が楽そうだから、×会社が潰れなさそうだから、で選んではダメです。
 ○自分がその会社で何をしたいのか?○何がやりたくて、どういうことができるから、その会社に行くのか?が大切です。
      ■         ■
 何かやりたいこと、したいことがあれば、毎晩寝る前に3回声に出して唱えるのだそうです。前田流の成功法です。
 彼氏(彼女)がいない人は、『毎晩、彼氏(彼女)ができますように…』と3回唱えてください。数週間もすると、自分の身の回りにいる素敵な異性に気づくそうです。
 社長になりたい人は、『私は社長になる。私は社長になる』と、毎晩3回唱えて、努力すると社長になれる芽が芽生えるそうです。

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2007年10月03日

醜形恐怖症③

 2日間にわたり、克誠堂出版、美容外科最新の進歩から 畷 稀吉(ナワテ キヨシ)先生の醜形恐怖症の症例をご紹介しました。
 畷先生は、形成外科領域では一番熱心に醜形恐怖症に取り組まれた先生です。残念なことに、平成13年にお亡くなりになりました。
 私たちが外来で醜形恐怖症を疑う方を診察し、精神科を紹介しようとしても受け入れられないことが多くあります。
 畷先生は美容外科最新の進歩に次のように書かれています。
      ■         ■
 筆者は精神科医ではないので正確に診断はできないが、患者から聞き出すことは可能である。そして筆者なりに神経症なのか精神病なのかを判定する。
 この判定にあたっては、過去において患者対応に苦労した経験や、友人としての精神科医との付き合いの中から得たもの、さらに自分で精神科関係の書物を読んで学んだ雑学的知識と筆者の人生経験とが、すべて含まれるものと思っている。
      ■         ■
 さて患者の話を聞いてこの患者は、筆者には扱えない、いや扱うべきでないと思ったら、ただちに精神科医に紹介する努力に入る。
 ではつぎに、いかにして確実に精神科医に手渡しするかの手順について述べる。「あなたがたいへん悩み苦しんでおられることはよく分かりました。
 しかし私にはあなたの悩みは解決できません。なぜなら、あなたの悩みは心の悩みだと思うからです。心の糸のもつれが原因だと思います。
 それらのもつれた糸の1つ1つをはずして楽にして頂けるのは、私が信頼しているお医者さんです。その方を紹介します」というと、患者は必ず「先生、そのお医者さんは精神科医でしょう」と、かえってくる。「はい、そうです」と、さらりと答える。
      ■         ■
 そしてその後で「あなたは、アメリカなどでは、ごく自然に精神科医を主治医として持ち、いつでもアポイントを取って、心の悩みを聞いてもらっていることを知っていますか。
 日本では、まだ遅れていて、精神科医とコンタクトを取ることを恥としているが、それは間違いですよ。私も精神科医を主治医として持ち、どうにもならない心の悩みを聞いてもらっていますよ。
      ■         ■
 このような手順で1989年から1996年12月までに42名の患者を紹介できた。文献でも精神科に紹介することはたいへん困難であると述べられているが、たったこれだけの話で患者は訪ねてくれる。
 福田らは、変形恐怖症の患者対応について、詳細に記述した最後に、精神科に紹介する時に患者に使う言葉として「放置しておけばノイローゼになるから、その予防のために精神科にみてもらうように」との一言が、精神科紹介をしやすくしたと述べている。
      ■         ■
 筆者は「ノイローゼになるよ」にさらに追加して、「このままほっておいたら、本当の精神病になってしまうよ。そんな患者さんを私は何人も見ている。
 あなたにはそうなってほしくないので、私のいうことを聞いて、だまされたと思ってもいいから先生のところへ行って、話を聞いてもらって下さい」と、ムンテラしている。
 本当にこんないい方で、患者は納得して訪ねるのであろうかと思われるだろうが、コロンブスの卵ではないが、一度試してみて頂きたい。
      ■         ■
 患者が筆者の信頼する精神科医を訪ねることを納得したら、確実に紹介できるように努力する。
 なぜなら、患者の悩みを筆者では救ってあげることができないからだ。だからといって見離せば、間違いなく手術をしてくれる医師を求めてドクターショッピングに走るであろう。
 そんな無駄をさせないで、精神科医の治療にゆだねることが大切だと考えるからだ。これが25年間でつかみ得た筆者の結論である。(畷 稀吉)
 (以上、畷先生の著書、美容外科最新の進歩から引用)
      ■         ■
 とても残念なことですが、畷先生はもうこの世にいらっしゃいません。
 私など、足元にも及ばない大先生です。先生が遺された、文献や書物は、先生が亡くなった後も残り、必ず引用されると思います。
 美容外科を志す医師は、最新の治療機器や儲かりそうな治療法だけではなく、必ず醜形恐怖症について知ってほしいと思います。
      ■         ■
 私は、開業後に札幌北警察署から電話をいただき愕然としました。
 その方の手術を私が引き受けていれば、自殺しなくても済んだのではないか?
 精神科と眼科に紹介状を書いて、お母様にも説明をして、私としてはできる限りのことをしたつもりでした。
 手術を繰り返し受けていた方が、死ぬよりもよかったのか?と考えたこともあります。
 メンタルな問題はとても難しく、美容外科医が片手間に対応できるものではありません。
 私は優秀な精神神経科医を友人に持ち、いつでも患者様のことを相談できるようにしています。

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2007年10月02日

醜形恐怖症②

 昨日に引き続き、克誠堂出版、美容外科最新の進歩から 畷 稀吉(ナワテ キヨシ)先生の醜形恐怖症の症例をご紹介します。
      ■         ■
【症例】小陰唇肥大にかくされた6歳時の強姦体験者
 55歳の女性。2ヵ月後に、子宮筋腫の手術が某病院で予定されている。そのとき手術室で、医師や看護婦に外陰部を見られるのがたまらなく嫌だという。
      ■         ■
 話をよく聞くと、6歳の時に見知らぬ男に山小屋へ連れ込まれ強姦されたという。それを聞いた祖母が、心の傷をいやすためにいったのだろう。よもぎをすって局部へ湿布し、きれいな草花を局部へすり込むと治るから安心しなさい」と教えた。子供ながらにそれを信じて、暇があると山へでかけ、きれいな草花を見つけては局部へ擦り込んだという。
      ■         ■
 その行為がいつしかオナニーヘと変わっていったのであろう。成人して何度か恋愛をしたが、いざ本番となるとあの時の恐怖とオナニーによると信じている小陰唇の変形に気づかれるのではないかと思い、性行為を拒否するため、いずれの恋も失敗に終った。現在でも、スーパーなどで買物しているときに、男性が近づいてくると足がすくんで歩けなくなることがあるという。
      ■         ■
 親戚の人の勧めで結婚はしたが、不幸なことに、夫が実母と通じ合っている現場を見てしまい、ただ優しくされるだけの夫婦生活であったという。姑が亡くなった後、夫と離婚し独り暮らしをしている。
 小陰唇の変形はごく軽いもので、一部切除しただけの手術であったが、術後は感謝と明るさを取り戻した。
 (以上、畷先生の著書、美容外科最新の進歩から引用)
      ■         ■
 この症例は外科手術で、心のキズが快くなった例です。
 小陰唇肥大は、実際に擦れて痛いとか、炎症を起こしていることがたくさんあります。見た目の問題も重要です。
 なかなか人に言えない悩みがあり、それが外科手術で解決できるのでしたら、ちょっと痛いのをがまんすれば済むことです。
      ■         ■
 小陰唇縮小手術は意外と多い手術です。勇気を出して産婦人科の先生に相談しても、なかなか取り合ってもらえません。
 当院にいらっしゃる方は、脚を閉じた時にはみ出してしまう方が大部分で、手術適応があるため、何故手術を受けるのかは伺ったことがありません。
 手術後の抜糸の時に、サービスで周囲の脱毛をして差し上げることがあります。とても満足度の高い手術で、みなさん『もっと早く受けておけばよかった』と言われます。
      ■         ■
 他人には言えない、ちょっとした心の悩みは誰にでもあるものです。
 それを、外科的に治せるのでしたら喜んで手術をお引き受けします。
 私の恩師である、北大名誉教授の大浦武彦先生は、形成外科を「心の外科」と呼んでいらっしゃいました。
 北大形成外科では、精神神経学講座と協力して、昔から醜形恐怖症の患者様を治療していました。
 札幌美容形成外科では、北海道大学医学部精神医学教室と協力して治療に当たっています。

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2007年10月01日

醜形恐怖症①

 克誠堂出版(コクセイドウ)という医学書の会社があります。そこから、美容外科最新の進歩という本が出ています。1998年に出版されたので、もう最新ではありませんが、内容の深い本です。
 この本のP9に美容外科と精神疾患-醜形恐怖症を中心とした患者対応-という項があるので、一部をご紹介します。
 著者は金沢で開業されていた、故 畷 稀吉(ナワテ キヨシ)先生です。
      ■         ■
 畷(ナワテ)先生は1976年7月に金沢で畷形成外科医院を開業。開業以来、精神・心理面に問題がある患者様との相談を行われました。
 私は直接面識はありませんが、形成外科・美容外科領域ではとても有名な先生です。
 日本美容外科学会誌にも、醜形恐怖症の論文を書かれています。
 醜形恐怖症の患者様とはどのような‘病態’なのか?畷先生の著書から引用してご紹介します。以下は美容外科最新の進歩の13ページから引用しました。
      ■         ■
【症例】二重の幅の違いに悩む短大生
 18歳の女子短大生。ほとんど差を認めない二重の幅を気にしている。最初は、手紙で悩みを打ち明けられた。高校時代、左目をいじっているうちに左右が違うようになったという。寮生活をしているが、左目が気になり、毎日鏡を見て悩み、友達と顔を合わせるのが辛くて、ほとんど付き合いをしていない。「ぜひ手術をしてもらえないか」という訴えだった。
      ■         ■
 そこで夏休みに本人と面接をした。少し小柄の美人。二重の左右差は、ほとんどない。文面からも実際に会った感じでも、左目へのこだわりを除いては、普通の短大生である。手術は必要でなく、人間にとって何が大切なのかを、私の人生観を含めて話をした。しかし、理解させることができないまま、次回の面接を約束した。
      ■         ■
 二度目は母親と一緒に来院した。母親も手術の必要性は認めず「何でそんなことぐらいで悩むの。悲しいわ」と私の前で口論になった。彼女は、母親の意見を無視してはいるが、親子関係が破滅的になるようには感じなかった。私の目には、しっかりとした考えを持った母親に感じられた。この日も、手術の必要性はないという話で別れた。
      ■         ■
 その後は手紙で手術の不必要性を何度も書いて様子を見ていたが、彼女の執拗な要求に根尽きて、第1回目の手術を約束した。短大を卒業し、金沢で就職することになったので、その前に手術をしてほしいとの要求であった。最初の面接から数えて、約1年後に手術をしたことになる。
      ■         ■
 手術は、メスを入れて縫合するという儀式に近いものであった。その後、当院で5回、金沢医科大で4回手術を受けている。繰り返し手術を要求する理由はそのつど内容は違うが、左右差を問題にしたり、術後の瘢痕を気にしたりで、どのように対応したらよいか困ってしまった。
      ■         ■
 今回、11回目の手術を要求されたので「こんなに何度もメスを人れると、しまいに皮膚が破れてしまうかもしれない。もし失敗して、機能的に問題が出たら取り返しがつかないよ」と脅しをかけて手術を諦めさせた。5年間を通して、人格的にだめになったということもなく、恋人もでき、家庭でも会社でもとくに問題をおこしていない。
 (以上、畷先生の著書、美容外科最新の進歩から引用)
      ■         ■
 この症例のように、ほとんど差を認めない二重の幅を気にする方はいらっしゃいます。
 私は、外科的に治せるものでしたら手術をお引き受けすることもあります。ただ、何回も何回も手術を受けている方は瘢痕(ハンコン)というキズのため修正が難しく、手術適応にならないこともあります。そういう時は手術はお引き受けしません。
 手術をお断りして、精神科受診のお話しをしても受け入れてもらえないこともあります…。

投稿者 sapporobiyou : 21:07 | コメント (0)