2007年06月30日
Body-Jet
昨日、Body-Jetという新しい機器(下の写真)を使用して脂肪吸引を行いました。
実はこの写真の器機はデモ機といって、医療機器販売元からレンタル中なのです。医療機器は大変高額ですし、導入してからこれは使えないな、ということでは困るので、クリニックが新機種を導入するかどうかを決める際、たいていの場合デモ機をレンタルし実際の手術に使用してみて、従来器機と使い勝手や治療効果などを比較するのです。車を買う際に、カタログだけでは分からないから、試乗車に乗って確かめるようなものです。
美容医療は日進月歩ですので、学会や研究会などに行く度に、医療機器メーカーが新型治療器機のPRをしているのを目にするのですが、数ある新機種の中でも、Body-Jetは気になる機種の一つでした。
もちろん医療機器メーカーのPRを鵜呑みにはできませんから、レンタルする前にそれなりに情報収集をして絞りこみ、ある程度目処がついたところでデモ機を申し込みます。ここ器機は人気があるらしく、申し込みをしてから1ヶ月ほど待って、ようやく借りることができました。デモ機が来る前に、この機種を開発したドイツ人医師が執刀した脂肪吸引手術のレクチャーDVDを見て、あらかじめ予習をしておきました。
従来の脂肪吸引は、局所麻酔液(専門用語でチューメセントといいます)を脂肪内に注入して脂肪を膨らまし柔らかくしてから、執刀医がカニューレ(吸引管)で皮下脂肪を少しづつ崩しながら吸引をしていくのが特徴です。したがって手元に伝わる微妙な感覚を確かめながら、経験を頼りに適度な吸引をしてラインを整えていきます。当院ではこの従来法に体外式超音波を併用していますが、これによって治療の精度と安全性が著しくアップします。(体外式超音波を詳しく説明しだすと本題からそれますので、ここでは割愛します。)
これに対して、Body-Jetは局所麻酔液(チューメセント)の注入方法が独特です。専用のツールを用いて霧状のジェット水流を噴射してチューメセントを注入するのですが、この水流によって脂肪も乳化(粉砕)されます。例えると、コイン洗車機のジェット水流で汚れを剥がし取るように脂肪細胞をバラバラに粉砕するという感じでしょうか。その後、乳化された脂肪をカニューレ(吸引管)で吸引していくのですが、従来法のように脂肪をカニューレで意図的に崩すというよりは、ジェット水流で乳化したものを吸引していく感じです。吸引管の先端には、吸引口だけではなく、ジェット水流の噴射口もついているので、吸引の最中も継続的にジェット水流を噴射して脂肪を乳化します。したがって大量の水を噴射させながら、水浸しのどろどろの脂肪を吸い出す感じです。
Body-Jetのもう一つの特徴は、基本的に局所麻酔だけで手術ができるということです。従来法の場合は、局所麻酔液(チューメセント)注入後の吸引時は麻酔が効いて良いとしても、チューメセントの注入時が痛みをともなうので、静脈麻酔や全身麻酔で眠っている状態にしてから手術をはじめることが珍しくありません。しかしBody-Jetの場合、注入するジェット水流のスピードを遅くしておけば、手術時間は長くなりますが、局所麻酔単独で、それほどの痛みもなく脂肪吸引を行うことができます。患者様は終始目が覚めている状態ですので、例えば必要に応じて手術中にベッドから起き上がり、仕上がりのチェックをしたり、手術が終わればすぐに起き上がって速やかに帰宅準備ができたりするわけです。
特徴の違いはあれ、最終的に皮下脂肪を適量吸引してラインを整えるということ自体は従来法と一緒ですので、外見の形が予定通りに仕上がった時点で手術は終了です。
感想としては、従来法のように手先の感覚で手術している感じがあまりしないので、従来法に慣れた医師にはちょっと物足りないかなという印象です。しかし安全性も高く、慣れれば治療効果も安定して得られそうな実感があり、なかなかの優れものだなという感触です。
数日後にもBody-Jetを使用したモニター脂肪吸引手術があるので、よく吟味したいと思っています。
投稿者 ginzamiyuki : 2007年06月30日 09:16