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2006年11月26日

引き続き米原万里さんのこと

ソ連がロシアとなり、一躍世界の情報発信源となるにつれて、ロシア語の同時通訳としての万里さんの実力が世に知れ渡るようになりました。

 万里さんによると同時通訳は、時間との戦いだそうです。逐一直訳を行っていたのでは到底間に合わない。しかるに発言者の言わんとする内容のエッセンスを鋭く抽出し、大胆に意訳してしまう能力が必要だそうです。そんな豪胆ともいえる気の利いた名訳と美貌をもって、ゴルバチョフ大統領やエリツィェン大統領など、名だたるロシア男たちを魅了していたのかもしれません。

 その後、万里さんはエッセイや小説などを執筆されるようになり、文筆業にもただならぬ異彩を放ち始めました。抱腹絶倒のエッセイ、豊かな表現力と構成力で表された染み入るような情感のあふれた小説。私は、万里さんの大ファンとして愛読しております。

 先日、ある友人とお食事に行った折のことです。たまたまローマのことが話題になり、ローマ帝国から東欧諸国、ロシアのことに話が及びました。ロシアの話が出てきたところで、当然のように私は万里さんの話を出しました。するとその友人が「万里さんが亡くなったのは残念ですよね…」というではないですか。

 私は一瞬、耳を疑いました。あるいは友人が勘違いをしているのではないかと思いました。私は万里さんの大ファンであることを自認しながら、忙しさにとりまぎれ大変うかつでした。万里さんは、5月29日にご逝去されていたのでした。享年わずか56歳。ショックで声を失ってしまいました。

 同時通訳において、文筆業において、ますます円熟された活躍を期待していただけに残念でなりません。美貌と豪胆な発言と素晴らしい文章で、今後も大いに楽しませてくれると思っていたのに…  遅くなりましたが、ご冥福を祈るばかりです。

投稿者 root : 2006年11月26日 11:49

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