2008年04月17日

耳つくりの本

 二年前までは、東大の耳鼻科の加我(かが)教授と形成外科の朝戸(あさと)助教授がお互いくんで、耳つくり(小耳症という耳が小さいかほとんどなくて生まれてくる病気の治療です)チームを結成していました。このときまでは私も毎週東大病院で手術をお手伝いしていました。

 今では、耳鼻科の教授はある総合病院の耳鼻科の教授になられ、形成外科の助教授は独協医大の教授になられたので、その耳つくりチームは栃木県にうつり、で、まったく同じ体制で行われています。私は(耳作りチームといっても、もちろんそれ以外の手術もたくさんありましたが)当時から朝戸チームにおり、今でも一月に1回程度、手術にいっているので(教授職は会議やら雑用やらで、本当に大変のようです。私は教授にそういうお時間を提供するためにいっているようなものですね^^)確かに今でも耳チームなのですが。。。

 耳鼻科と形成外科が組んで小耳症という先天奇形に取り組んでいる施設は他にあまりないので、本を出そうということになりました。で、それはもちろんいいのですが、「君も原稿書いてね(^^)」と、親分(朝戸教授と加我教授)ににっこりといわれ、ブルーです(T0T)。。。私は手を動かす(手術)のはすきだし、どこにでも行きますけど、文章や論文等をかくのは限りなく苦手なんだよぉ(;;)、と心で叫んでみましたが、抵抗できなさそうでした。がっくり(_ _)。

 でも、あるきちんとした仕事を学問にして、後世に伝えるというのは非常に大切なことですよね(^^)。たくさんの形成外科や耳鼻科の先生方に読んでいただいて、是非勉強になるような本(もちろん、世界でトップクラスの両親分が原則執筆者兼監修を務めるので、かなりのレベルの本になると思います)つくりに参加できることを、光栄に思います(^^)。でも、ちょっとつらい。来月は美容外科学会の座長や発表もあるのに。。。

 が、やるしかありません。がんばります!

投稿者 y.mitoma : 16:40

2007年07月27日

耳つくり2

さて、今日は耳つくりの続きです(^^)。
 前回お話したように、耳は肋軟骨を耳の皮膚に埋めて作っていきます。美容でも特に鼻先はシリコンプロテーゼでは長持ちしないので、自家組織を使うのと同じ原理です。なんといっても、一生ものの耳ですから。ちなみに当院では、L形のプロテーゼは使いません。よく、L型プロテーゼに軟骨をかぶせているクリニックも見かけますが、これも実は非常に危険です。縫い付けても、どんなに固定しても数年の間にL形プロテーゼは移動していくからです。
 さて、話を戻して、耳は軟骨の六番、七番、八番、という三本の軟骨を傷をつけないようになるべく長くとってきて(実は、私これは名人です。4センチくらいの皮膚切除から一時間ちょっとで三本すべて採取してしまいます。なんて、普通の人に自慢してもまったくわかりませんね^^;。ちなみに美容でもたまに肋軟骨を使うときがあるので、この技術は役にたっています)、それをなるべく耳らしく細工をして側頭部の皮下に埋めて耳をつくります。最後に耳が出来上がったときは、周囲の看護師さんや麻酔の先生も、「おー、」といってくれるので、これは、形を作る外科医であってよかったと思える至高の瞬間かも知れません(^^)。
 ただ、実は繊細につくればいいというものではなく、何十年とたつと若干でも軟骨は溶けていってしまいます。十歳で耳を作ったとして、本来は60年以上持ってもらわないと困るものですから、なるべくかっこよい耳にみえるように、かつ繊細過ぎないようにつくらなければいけません。
 本当はお写真を見せたいのですが、それはプライバシーの侵害になってしまうので、申しわけありません。ただ、耳つくりは一回の手術では完成しません。皮膚を細工する過程で、一度に耳の形を作って、かつマスクやめがねがかけられるように起こすのは、今のところ不可能なのです。まずは耳の形のみを作り、半年を待って、耳を起こしていきます。次回、また機会がありましたら書きますね(^^)。

投稿者 y.mitoma : 16:33

2007年07月12日

耳作り1

 7月10日の火曜日は、私の東大時代の上司が獨協大学形成外科の教授になられて赴任されているものですから、その手術のお手伝いにいってきました。昨年の三月までは、週に一回東大で、それ以降は1月に一度程度、独協医大にお手伝いに行く日々が続いております。
 独協医科大学は栃木県にあるものですから、非常に遠いのですが(片道2時間半程度^^;。急行がないともっとかかってしまいます。。。)やはりお世話になった上司への恩返しの意味と、それ以上に小耳症(もともと耳が非常に小さい状態で生まれてきてしまう状態のことをいいます。通常肋軟骨という軟骨を胸からとってきて、耳状に細工を施し、耳を作る治療をしていきます)という先天奇形を持って生まれてきた子供たちに耳を作ることができる喜びにほだされ、ずっと通っています。
 専門医をとる前は美容も含めてさまざまな手術を大学でも担当してきたのですが、 5年以上前から上司のライフワークである耳つくりを手伝いはじめ、ここ2年程度は大学病院にいく頻度も減ったことも手伝って、もっぱら大学では耳職人となってしまいました。独協医大の手術室の看護師さんたちは、この先生は一月に一回耳だけ手伝いに来て、何をしているんだろう、と思っているかもしれません(^^;)。そのうち(いつ?)独協でも美容もはじめるそうなので、そうなればまたお手伝いできる幅も広がると思うのですが(また、栃木県まで通う頻度が増えることになりますね。。。)、今はなぞの耳職人ということでご勘弁ください。
 小耳症は、生まれつき耳が小さい以外に多少下あごが未発達という状態が合併していることが多いのですが、逆にいうとそれ以上の障害はほぼないことが多い疾患です。知能も正常ですし(賢い子も多いです)、そのほかの機能にはまったく問題ありません。ただ、耳を作るためには胸からの軟骨をそれなりにとってこないと格好のよい耳が作れないものですから、肋骨・肋軟骨がある程度きちんと発達するまで(おおむね胸囲が60センチ以上を目安としています。10歳前後が治療開始時期となります)、成長を待たなければいけません。また、自前の耳は成長とともに発育をとげますが、作った耳は残念ながら(中顔面の発育にあわせてやや縦方向には延びるといわれていますが)発育しないので、そういう意味でも反対側の耳がある程度の大きさにならないと手術ができません。これも10歳をこえると大人の耳の9割以上のおおきさになるといわれていることから、大体10歳ー12歳くらいで耳を作っていきます。この間、いじめられたり、めがねやマスクがかけられなかったり、とさまざま不都合はあるようですが。。。
 続きはまた、今度(^^)。

投稿者 y.mitoma : 14:40