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2008年06月19日

経結膜的眼窩脂肪移動術#1

 最近、クリニック日比谷で流行の経結膜的眼窩脂肪移動術、通称“裏ハムラ”ですが、ときどき、掲示板などでの書き込みをみていますと、正しい概念が伝わっていないように感じられます。
 ですので、今回から数回にわたり、私が最近、経結膜的眼窩脂肪移動術を頻用するようになった経緯、また本法の概念、利点や欠点について、詳しく述べていこうと思います。

 ここ最近、原著論文や総説などいくつか、本法に関する医学論文を執筆しましたが、論文では、紙面が限られていたり、私見は述べにくかったりするので、そういったものにとらわれず正直なところを記述していきたいと思います。

 今回は、経結膜的眼窩脂肪移動術 #1として、私が経結膜的眼窩脂肪移動術をはじめるに至った経緯について述べたいと思います。


 私は、形成外科医として美容外科診療に関わるようになってから、下眼瞼の美容手術については、定型的下眼瞼除皺術(皮弁法、筋皮弁法)、とそれに脱脂を追加したもの、ハムラ法と順に習得してきました。また、目袋変形には経結膜眼窩脂肪切除術(いわゆる脱脂)が有効と教わりました。
 定型的下眼瞼除皺術だけでは、目袋がなかなか良くならないなと思っていたところに、ハムラ法を習得して、ハムラ法の目袋変形に対する治療効果には感銘を受けました。しかし、その後、経験を積むに従い、合併症に悩み出しました。

下眼瞼の除皺術は、一言でいって、下眼瞼外反との戦いです。下眼瞼は人体の中では珍しく重力に抗って下から上に立ち上がった構造をしています。これが前方にひっくり返った状態が外反です。皮膚を切除したり、眼輪筋が麻痺したりすると容易に外反が生じます。“あっかんべー”の状態です。皺を取ろうとして、下眼瞼の皮膚を切除すれば、当然下眼瞼は下に引っ張られて外反しやすくなります。下眼瞼がひっくり返らないで頑張っていてくれないと、皮膚を切除しても皺がなくならないわけです。ですから、外眼角固定術を行ったり、眼輪筋を上方に牽引して固定したりして、下眼瞼が外反しにくい状態にして、皮膚を取るなどの工夫をするわけです。しかし、釣り合いのちょうど良いポイントはとても難しく、長年の経験や勘が必要です。加えて、人によっても下眼瞼のひっくり返りやすさが異なります。これを術前に予測するための検査方法がいくつかありますが、何ミリ取ればよいという明確な答えが出るわけではありません。やはり術者の経験と勘です。
そこで、私はまず、ハムラ法をもっと勉強することにして、ハムラ先生その他の英語の医学論文を時代の順に一生懸命読破しました。その際、勉強して理解したことは、
 1) われわれ日本人がハムラ法と呼んでいるのは、眼窩脂肪を眼窩下縁の下方に移動する術式を従来の眼瞼除皺術に加えたもので、これはハムラ先生がおこなっているtotal face rejuvenation surgeryの一部にすぎないこと。
 2) transcantho-canthoplasty、やmuscle plastyなど様々な外反予防の工夫をしていること
 3) 眼窩脂肪はなるべく温存すべきと主張していること。
などです。

投稿者 momosawa : 2008年06月19日 19:30