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2009年11月26日

研修医シリーズ ガーゼオーマ②

T医師の話です。
この患者は、肺がんと、胸部大動脈瘤が同時に発見されました。
複数の病変が同時に見つかった場合に、どれから順に手術をするかは、難しい問題です。このとき既に70代だったこの患者にとっては、ことさらに難しい問題でした。
2つの手術を同時にすることは、体力的に無理との判断で、また、緊急性と、患者の寿命も勘案し、まずは肺がんの手術を行い、十分に体力が回復した時点で、胸部大動脈流の手術をすることが決定しました。

肺癌は、左の下葉にありました。左開胸で、無事癌の切除は成功しました。左の下葉を取り除くと、胸部大動脈瘤は、まざまざと視野に入りました。このまま、この空間を残したままで閉胸すると、動脈瘤が大きくなり、破裂するリスクを高めてしまう可能性があると、判断されました。そこで、次の大動脈瘤の手術までの間、このスペースにえつきガーゼと言う、ハンカチタオルくらいのガーゼを詰め込み、動脈瘤を圧迫した状態にしておこうと言うことになり、ガーゼをあえて残したまま、一回目の手術を終了しました。

患者は、見事に回復し、長期予後も期待できることから、2回目の、胸部大動脈瘤の手術が行われることになりました。この手術で、なにが起こったのかは定かではありませんが、とにかくとんでもないことが起こった事は、間違いありません。ガーゼを取り除くどころか、さらにもう一枚、えつきガーゼを詰め込んで手術を終了したのでした。動脈瘤が、手術できないほど大きかったのか、ガーゼが動脈瘤と癒着を起こし、ガーゼを動脈から外そうとしたとき、大出血を起こしてしまったのか、まあ、そんなところではないでしょうか。

患者は、その後、十分に経過観察され、ガーゼが今後、大きな問題を起こす可能性は低いこと、大動脈瘤の大きさも、ガーゼにより圧迫され、拡大傾向にないこと、などを確認し、退院となりました。

退院時は、患者にも、家族にも、執拗な指示がなされました。
今後、どんな病気にかかっても、必ずこの病院が治療をするので、何があっても、絶対に他の病院には行かず、この病院に来ること。

患者はその後、この指示を忠実に守り続け、今回も、確実に実行に移したのでした。


つづく

投稿者 morita1967 : 2009年11月26日 14:50

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