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2010年01月18日
研修医シリーズ 震災から15年
今回は、15年前のお話です。
15年前、私は、1年目の研修医として、関西地方の病院に勤務していました。
阪神・淡路大震災のときの揺れを、実際に体験しています。
一瞬であれほどの惨劇が起きたことの恐れ、たくさんの方がなくなられた喪失感は、
私の人生で最大のものです。
あの時、神戸で、柱が1本しかない、高架式の道路が横倒しになり、多くの犠牲者が出ましたが、
毎年、あの映像がテレビで流されますので、皆さんのご記憶にもあると思います。
実は、私は、あの道路を、地震の9時間前に車で通過していました。
今でも、思い出すと、ぞおっと、背筋が凍る思いがします。
その後、3月に、東京で、地下鉄サリン事件が起こりますが、
このときも、その1日前には、私も地下鉄有楽町線に乗っていました。
この年は、危ない思いを2度も経験しました。
地震の後、たくさんのけが人や、病院が倒壊し、居場所のなくなった患者さんが、私の勤務していた病院にも、搬送されてきました。
そのころ、胃潰瘍による大量吐血の患者さんも入院してきました。
この方は、ヘモグロビンが5g/dlしかなく、緊急に、輸血と、止血の処置が必要でした。
しかし、この方は、保険証を持っていませんでした。
入院は、長期になる可能性が高いことと、かなりの治療費がかかることも予想されるので、
今からでも間に合うので、保険証を作る必要がある。病院が、その手続きの代行をします。
まずは、住所を教えてほしい。また、家族にも至急来ていただき、病状の説明と、今後の治療の承諾を得る必要があるので、連絡を取ってほしい。と言ったことを、事務方が伝えました。
すると、この患者さんは、金なら家にあるから、今から取りに帰る、そういって聞きません。
すぐに戻るから、そういい残し、みなの制止を強引に振り切って、ふらふらの状態で病院を去って行ってしまいました。
後日、警察から電話がありました。
神戸で、震災で倒壊した建物から、盗みを繰り返していた者を、現行犯で逮捕した。
その犯人の供述で、共に盗みを働いていた共犯者が、吐血をして病院に担ぎ込まれた。
その病院は、どうやらおたくらしい。
以上の内容でした。
あの患者さんは、入院が長引けば、いずれ自分は逮捕されると考え、命がけの逃避行に打って出たのでした。
どこかで、倒れて、そのまま死んだりしていまいかと、かなり心配をしましたが、その後、どこからも、何の連絡も入りませんでした。
今でも、あの患者の顔も名前も、明確に覚えています。
まさか逃げ出すなんて思っても見なかったので、重要なことを伝えていなかったことも気がかりでした。
どこかでばったり出会ったなら、一言、言ってあげたいことがあります。
あなたは、梅毒に感染しています。しかも、かなりactiveな状態ですと。
投稿者 morita1967 : 2010年01月18日 13:27