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2010年03月16日
研修医シリーズ ん??おじいちゃん?②
早速、心肺蘇生に取り掛かりました。
まずは、救急のABCから。
まずは挿管、これは、とっても簡単に入りました。
ナースにバッグを押してもらいます。呼吸も確保。
私は心臓マッサージ。ここまでは2~3分。
モニターはフラットのまま。
ボスミン、メイロン静注!
心臓マッサージ。
まだフラット。
ええい、いっちょうやってみるか。ボスミン、心嚢腔内投与!カテラン針で心臓をブスッ。
心臓マッサージ継続。
そこには、ちょっと調子に乗って、いくらか、楽しそうにしている私がいました。
だって、こういうのが好きなんだもん。
すると、モニターが、ぴこっ ぴこっと動き始めたではありませんか。
程なく、自発呼吸も戻りました。呼びかけには、何の反応も示しませんが、体をゆすると、目を開けようとする反応を示すようになりました。耳が、かなり遠いようです。
「いやあ~、やっぱりやってみるもんだねえ~。ちゃんと蘇生できたよ」
私は、軽口をたたいてしまいました。
病院からの、患者急変の知らせに、真っ先に駆けつけた患者の家族は、若い女性でした。この人は、患者の孫だろうと思い、説明を始めました。
「私は当直の外科医です。詳しいことは、主治医から聞いてください。とにかく、おばあちゃんは今、自分で呼吸をして、意識もあります。ほら、しっかり手を握ってあげてください。」
耳が遠いようなので、手を握ってもらいました。
患者には、
「おばあちゃん、お孫さんが駆けつけてくれましたよ、がんばったね。」
と、声をかけてあげました。やっぱり、何も聞こえていないようです。女性は、少し、腑に落ちない表情をしましたが、患者の顔を覗き込み、間違いなく自分の家族と確認し、
「私よ!○○よ!分かる?!」
患者も手を握り返しました。目は、見えたようです。安心した女性は、控え室へと通されました。
そこへ、呼吸器内科をローテーション中の、一年目の内科研修医が駆けつけました。
「何だ、先生が呼ばれたの?忙しいのに朝早くから大変だね。」
呼吸器内科の主治医には、まだ連絡が付かないとの事。何と言うていたらく!
内科研修医は、いまのうちに、患者にIVHを入れておきたいと言います。それはいい考えだ。
しかし、この研修医は、まだ経験が浅く、私にそばで見ていてほしいと。いいとも!
IVHを長期間入れておく場合、患者のCOLと、管理のしやすさを考えると、挿入部位の選択順位は①右鎖骨下静脈、②右頸静脈、③鼠径部からの大腿静脈、の順になりますが、この時の様に、絶対に失敗が許されない状況では、③鼠径部からの大腿静脈穿刺になります。
早速、IVHの準備に取り掛かりました。
ナースが、患者の紙おむつを脱がせ、消毒を始めました。すると、そこにあるのは、なんとおチンチンではありませんか。
「いやあ~、誰も言ってくれなかったから、僕はてっきり、この人をおばあちゃんだと思ってたよ。家族にもそういっちゃった。だからあの人、少し怪訝そうにしていたんだなあ。いやあ~まいったまいった。わっはっは」
私は、また軽口をたたいてしまいました。
IVHも無事入ったところで、自分が汗ばんでいるのに気がつき、ナースに言いました。
「それにしても、暑いなーこの部屋は。カーテン開けようよ」
ナースは、私の耳元でそっとささやきます。
「ここは、4人部屋なんです。」
ガーン やってもうたあ~
カーテンの向こう側では、他の患者さんたちが聞き耳を立てて、事の一部始終を、窺っていたに違いありません。私の軽口も聞かれていたはずです。内科研修医に
「じゃあ、あとはよろしく」
そう言って、逃げるように、結核病棟を後にしました。
立ち去る私の背中に、ナースが追い打ちをかけます。
「センセー、戻ったら、すぐに手を洗って、うがいをしてください。それから、その白衣もすぐに洗濯に出して。しばらくしたら、念のため、ツ反を受けてください。ここは結核病棟ですからー。どうもありがとー。」
わかったよ、もう。はずかしい・・・
やっぱり、軽口たたく人は、いかんなあ。
おわり
投稿者 morita1967 : 2010年03月16日 19:35
コメント
森多くん、股間くらい確認したまえ(^o^)
投稿者 藤田 良一 : 2010年03月18日 14:21