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2010年04月29日
田舎の警察
田舎では、警察とお医者さんはとっても仲良しです。
今では、警察に逮捕されたり、検挙されたりする医者がたくさんいますが、以前は、それほどでもありませんでした。
特に田舎では、お互い、持ちつ持たれつの関係で、今では考えられないような、便宜の供与が行われていました。
事件、事故、自殺など原因の如何を問わず、死体が発見された場合、死因が異状死なのか、自然死なのかを判断し、死亡診断書を作成するのは医師の役割です。大都会では、それ専門の監察医が死体検案を行いますが、監察医のいない田舎では、普通の医者が、現場に呼ばれます。
異状死体と判断された場合は、大都会では、監察医に送り、司法解剖が行われますが、田舎では、その都道府県に必ず一つはある医学部の、法医学教室に送らないといけません。仕事を増やしたくない田舎の警察は、当然、自然死と言う判断をしてくれる医師を死体検案に重用し、依頼します。
私は、まだ研修医だったので、死体検案には呼ばれませんでしたが、田舎の病院に勤務していた頃は、地元の警察署の、刑事課の警察官は、みんな顔見知りでした。
この病院には、無報酬で、死体の検案を行ったり、前にも書きましたが、犯罪の被害者を入院させたりする代わりに、刑事さんからは、何か困ったことがあったら、何でも言ってください。そう言われていました。
その見返りに、病院などに、暴力団関係者が入院したりすると、警察官に、頻回に見回りに来てもらったりしていました。
こんなことは、あってはならない事ですし、今ではもうなくなったと思いますが、ずっと以前、実際にあった、このような便宜供与の話を二つ。
ある病院の院長婦人が、スピード違反で捕まりました。免許証の提示を求められ、提示したところ、この方の免許は、半年以上前に期限が切れていました。
警察署まで連れて行かれたところで、顔なじみの刑事課の刑事と顔を合わせました。
「あら、奥さん、どうしたのですか?」
事情を説明すると、
「分かりました、私が何とかしましょう。」
と言うことになりました。
なんと、免許証が新品になり、無免許運転はおろか、スピード違反まで、もみ消してくれたのでした。
次は、私の話。
運転免許の更新の時期を迎えました。このときは、初めてのゴールド免許になるときで、更新には、必ず、県庁所在地のある街の免許センターまで、更新の講習を受けに行かないといけませんでした。
しかもこの講習は、平日のみでした。
その日は、朝から私が不在であると言う通知が、院内になされていましたが、私はすっかり、免許センターに行くことを忘れていました。
「あら、先生、何でここにいるの?」
ナースに言われて、初めて気が付きました。
再度、講習に行く算段をつけるのは、かなりのわずらわしさが予想されたため、顔なじみの刑事に相談してみました。
すると、
「分かりました。私が何とかしましょう。」
いつもの調子です。
ほんとに、何とかなるのかと、心配になりましたが、何でもいいから、先生の顔写真を一枚送ってくれとの事。
家中探しましたが、免許に貼り付ける写真など、見当たりません。仕方なく、記念にとってあった、大学生のときの、学生証に貼ってあった写真をはがし、提出しました。
この写真、私は21歳、しかも白黒。
普通の免許証は、免許センターで撮ったカラー写真を、免許に印刷しています。
しばらくして、免許証が出来上がったと、例の刑事から連絡が入りました。
さすがに、これは、警察署まで出頭していただかないと、お渡しできません、とのこと。
免許証を手にしてびっくり。あの写真で、見事にぴかぴかのゴールド免許が出来上がっていました。
更新に必要な講習も、警察署に出向いたという事実だけで、免除となりました。
しかも、記念の写真も、お返しいただきました。
この免許証は、その後の5年間、人に見せるたびに、不思議がられました。
そもそも白黒なんてありえませんし、異常なほど、私の顔が若かったからです。
検問では、毎回、本人照会がされました。
<おわり>
投稿者 morita1967 : 2010年04月29日 10:41