まず第1は、黒以外の色を使ったいれずみには十分な効果がないということです。レーザーは黒い色素に反応しますので、黒以外の色を使ったカラフルないれずみはうまく除去できません。また元々皮膚の色が濃い方(いわゆる色黒の方)の場合も、いれずみだけ除去することが難しくなります。
これ以上に大きいのが第2の問題です。それは、レーザー治療の基本原理が「皮膚に火傷を負わせる」ことにあるため、施術者の技量によってはケロイドのような後が残る危険性があるということです。またケロイド状にならない場合でも、いれずみの形に火傷跡のような傷が残ることが多いようです。これではいれずみの色はなくなっても、どのようないれずみが入っていたかはわかってしまうので、あまり意味がないといえるでしょう。
これらの問題があるため、最近ではレーザー治療ではなく、メスを使っていれずみを除去する方法が広がっています。メスを使う方法であれば、いれずみの絵柄や文字を完全に除去できます。施術方法にはいくつかの種類がありますが、大きく分けると以下の4種類に分類できます。
切除法
まずいれずみの中央を通るラインに沿って皮膚を切開し、いれずみ部分の皮膚を切除します。その後切除した部分の外側の皮膚を引き伸ばして切開ラインに寄せ、切開ラインで縫合します。これは最も基本的な施術です。小さないれずみの場合には1回の施術で完了しますが、ある程度の大きさ(2~3センチ以上)の場合には、2~3回に分けて施術を行う必要があります。
皮弁法
いれずみ部分の皮膚を切除し、隣接する皮膚(皮弁)を切除部分にあわせてずらして縫合します。これは皮膚移植の一種だといえますが、近くの皮膚をずらすだけなので、移植跡が目立たないという特長があります。ただし大きないれずみの場合にはひきつれが残りやすいので、比較的小さないれずみに向いています。
エキスパンダー法
これも皮弁法と同じように、いれずみ部分の皮膚を切除して隣接する皮膚でカバーする方法ですが、使用する皮弁を事前に引き伸ばしておく点が異なります。まず最初に「ティシューエキスパンダー」という、シリコン製の風船のようなものを皮弁となる皮膚の下に埋め込み、3~4ヶ月かけて少しずつ生理食塩水を注入することで皮膚を伸ばしていきます。十分に皮膚が伸びた後、いれずみ部分の皮膚を切除し、引き伸ばした皮弁でその部分を覆って縫合します。施術完了まである程度の期間が必要ですが、切除法や皮弁法では消しにくい大きさのいれずみにも対応できます。
削皮術
いれずみの大きさが非常に大きい場合には、エキスパンダー法でも十分な皮弁が確保できないケースがあります。そのような場合には削皮術を使用します。これはいれずみ部分の皮膚を特殊なカミソリで削り取り、その上にご自身の皮膚を移植して、包帯等で圧迫、定着させるという方法です。
コムロ美容形成クリニックでは、これらすべての施術に対応可能です。もちろんいずれの施術にもそれぞれコツやポイントというものがあり、施術者には高い技量が求められます。
次回はこれらの施術の中から「切除法」を取り上げ、施術のポイントを説明したいと思います。
]]> さて新年最初のエントリーは、2009年12月の韓国訪問のお話をしたいと思います。韓国は美容先進国であり、数多くの方が美容整形を受けられています。そのため新しい施術が生まれることも多いので、私は機会があれば韓国の最新状況を確認するため、彼の地を訪れるようにしているのです。
今回の主な訪問先は2箇所です。まず2007年6月の「韓国「Mediforman」訪問記」でもご紹介した、スンホ先生の「Mediforman」。スンホ先生にご紹介いただいた「イノポール-D」はすでに私のクリニックでも使用していますが、また新たに「パワーボール」という高分子支持体が完成したということなので、その内容を教えていただきました。これに関してはまた機会を見つけてご紹介したいと思います。
今回の目玉はもうひとつの訪問先である「Regen Biotech」です。ここでジョセフ・キムさんというドクターにお会いし、幹細胞の抽出・培養を低コストで行う方法をお教えいただいたのです。
幹細胞とは生物の発生における「幹」となる細胞です。複数系統の細胞に分化できる「多分化能」と、細胞分裂を経た後でも多分化能を維持できる「自己複製能」を併せ持っている点が、他の細胞と大きく異なります。幹細胞が2つの細胞に分裂すると、一方は別の種類の細胞に分化しますが、もう一方は元の幹細胞と同様に分化能を維持します。そのため発生の過程や体内の各器官を維持するプロセスで、細胞を供給する役割を担っています。
その代表的な存在として知られているのが、受精卵から作られる胚性幹細胞(ES細胞)でしょう。ES細胞の研究はマスコミで取り上げられることも少なくないので、ご存じの方も多いと思います。しかし幹細胞はES細胞だけではなく、体内の各組織にも様々な形で存在します。実はこれらの幹細胞は、再生医療に活用できるのです。
再生医療を応用した美容整形としては、バストアップの際に脂肪と血小板血漿(PRP)を混ぜて注入する方法がすでに行われています。この方法を使うと、血小板に含まれる成長因子によって、脂肪の定着率が飛躍的に向上します。しかしPRPを混ぜる手法が主流になっているのは、実は日本だけです。韓国のドクターにこの手法をお教えした時には大変喜ばれましたが、世界的な流れを見れば、主流は幹細胞を利用した施術だといえます。
それではなぜ日本では、幹細胞を活用した施術が主流にならないのでしょうか。それは幹細胞の抽出・培養にコストがかかるからです。
バストアップで使用する幹細胞は、施術を受けられる方の脂肪から抽出します。脂肪を遠心分離器にかけて分離すると、いちばん下の部分に幹細胞が集まります。これを培養して数を増やし、バストに注入する脂肪に混ぜて注入するわけです。幹細胞にダメージを与えることなく抽出・培養を行うには、これまでは高価で特殊な機械が必要でした。そのため1回のバストアップで、200~300万円もの費用がかかっていたのです。
しかしキム先生に教えていただいた方法を使えば、幹細胞の抽出・培養を簡単に行うことができます。これによって日本でも、幹細胞を利用したバストアップが、これまでより低料金で行える可能性が出てきました。
ただし幹細胞とPRPのどちらが定着率向上の効果が高いのかは、現時点ではまだわかりません。今後症例を増やしながら、両者の効果を検証していきたいと考えています。
幹細胞を利用したバストアップに興味のある方はぜひ一度、私どもコムロ美容形成クリニックグループにご相談ください。
]]>「塗るだけでバストアップ」
「塗る豊胸術」
「1ヶ月で簡単確実にサイズアップ」
等々・・・
これらは豊胸効果があると銘打ったクリームの広告です。なかには「有効成分をナノ化」とか「高純度プラセンタ配合」等とも書いてあり、いかにも効果がありそうです。
しかし結論を先に言ってしまえば、この種のクリームには効果がありません。なぜそう断言できるのでしょうか。私のクリニックのスタッフが、実際に試してみたからなのです。
Aカップのスタッフふたりが今年8月から約2ヶ月半、国内で大々的に宣伝をしているクリームを使ってみました。その結果、下の写真のように、サイズにはまったく変化がありませんでした(左が使用前、右が使用後です)。結局ふたりはクリームによる豊胸をあきらめたといいます。

実は豊胸クリームに効果がないというケースは、以前にも見たことがあります。5年ほど前、私は豊胸術をテーマにフジテレビの「スーパーニュース」に出たことがあるのですが、そのとき私の手術を受けていただいた患者さまも、それまで豊胸クリームを使っていたのです。もちろんこの時も、豊胸クリームはまったく効果がなかったそうです。そのため一念発起して、私の所で豊胸術を受けることになったわけです。
単に効果がないだけならいいのですが、トラブルが発生することもあります。「スーパーニュース」の時の患者さまはバストに皮膚炎を起こしていました。先ほどのスタッフふたりには、幸いなことにトラブルはなかったようですが、もっと長期間使い続けていたらどうなっていたかわかりません。
この種のクリームは1種類だけではなく、いろいろとあるようです。日本製だけではなく、タイのバストアップクリームも日本に輸入されています。
バストアップだけではありません。男性向けにはペニスを大きくするクリームやサプリメントといったものがあり、面白いところでは吸引式の商品もあります。もちろんこれらも効果はありませんし、接触性皮膚炎を誘発する危険性があります。
「簡単に○○できる」というキャッチフレーズは、私たちの心を強く惹き付けるものです。でもその中には、実際の効果がないものも少なくありません。このようなものに騙されてしまうと、オカネの無駄遣いになってしまいます。
最初から専門家に相談していただければ、このようなムダは生じません。ぜひとも安全で確実な方法を選んでいただきたいと思います。
]]>下の写真が施術前後の状態です。上が施術前、下が施術後です。


マリオネットライン(口角の下のシワ)がほとんど無くなり、ほうれい線も目立たなくなっているのがわかると思います。小顔効果と表情も若々しく、柔らかい感じになっていますね。
数多くの施術を行うことで、シルエットリフトを確実に成功させるコツもわかってきました。ポイントは2つあります。(基本的な施術内容は「シルエットリフト始めました。」で紹介しておりますので、ご存じない方はこちらをご参照ください。)
まずひとつめのポイントは「糸の干渉」を防ぐことです。「干渉」といってもわかりにくいかもしれないので、まずは下の絵をごらんください。

シルエットリフトは、ほうれい線の位置からこめかみに向けて複数の糸を皮下に通すのですが、十分なリフト効果を出すために糸を交差させた状態にします。シルエットリフトにはリフト効果を生み出すコーンが等間隔に八個付いており、これらのコーンが交差する部分で重なり合います。これが干渉です。
コーンが干渉してしまうと、その部分が厚くなったり、引っかかりができて表情がぎこちなくなる可能性があります。またこの引っかかりのせいで、十分なリフト効果が出ないこともあります。頬骨が張っている方は、これらの危険性が特に高くなります。
それでは干渉を防ぐには、どうすればいいのでしょうか。干渉する場所のコーンを取り除けばいいのです。
私がシルエットリフトの施術を行うときには、必ずこの干渉を意識し、干渉する場所のコーンを取り除きます。もちろんコーンの数が少ないとリフトアップ効果も少なくなりますので、どれだけのコーンを取り除くかを適切に決めることが重要です。
もうひとつのコツは、糸の長さをどのあたりまで残すかの判断です。
通常のシルエットリフトでは、片方で4本の糸を使います。しかし患者さまの状態によっては、より多くの糸を使うケースもあります。その時、口角のラインよりも下へ糸を通してしまうと、口が開きにくくなってしまいます。このような状態を避けるため、片側6本以上の糸を入れる場合でも、糸を入れる場所は口角のラインを下限とするのです。

最近ではシルエットリフトを行うクリニックも増えてきており、実際に施術を受けた方の中には「シルエットリフトは効かない」とおっしゃる方も少なくないようです。しかし私に言わせていただければ、効果のないシルエットリフトは、ドクターが施術のコツをつかんでいないからです。
コツをしっかりつかんでいれば、シルエットリフトは大きな効果を発揮します。私の経験では、フェザーリフト(糸を使用するフェースリフト)の中で最も効果的な施術だと思います。
]]> 
生まれてから15歳前後(初潮開始年齢)までは、エラスチンは真皮の中に十分存在しており、お肌の張りも100%の状態を維持しています。つまり、赤ちゃんの肌と中学生時代までの肌の張りは、ほとんど変わらないということです。その後25歳前後までは徐々に弾力性を失って硬くなります。25歳以降は急激に減っていきます。そのまま放っておくと、45歳頃(閉経時)にはエラスチンがほぼ失われます。輪ゴムは最初進展良好ですが、時間と伴に徐々に伸びて硬くなり、そして切れてしまいます。まさに、エラスチンの運命と同じです。良く「25歳はお肌の曲がり角」といわれますが、まさにその通りなのです。
45歳を超えると、エラスチンは体内で生成されなくなります。エラスチンの生成は女性ホルモンと関係があるのですが、多くの女性は45歳くらいで生理が止まってしまうため、女性ホルモンも分泌されにくくなるからです。その後のお肌はたるむ一方です。
それではお肌の老化を防止するには、どうしたらいいのでしょうか。ポイントは「早めに手を打つ」ことです。45歳を超えるとエラスチンはほぼ失われ、取り戻すことができません。それならば45歳になるまでの間に、何らかの手を打ってエラスチンの減少をくい止めればいいのです。
そのひとつの方法として挙げられるのが、ヒアルロン酸注射です。ヒアルロン酸を真皮に注射すると、真皮内に水分を保持しやすくなります。この水分がエラスチンの維持や、弾力性保持に役立つのです。
また熱によってエラスチンの弾力性を強くする方法もあります。エラスチンは熱を加えると縮まる性質があります。これを「熱変性」というのですが、エラスチンが縮まればコラーゲン同士を結びつける力が強くなります。「タイタンやリファーム」はこの効果を狙ったものです。
いずれにしても、お肌の中にエラスチンが残っていることが前提です。エラスチンがなくなってしまえば、もはやどうしようもないのです。この場合にはヒアルロン酸注射やタイタンやリファームではなく、切開を伴うフェイスリフトやフェザーリフトが必要になります。
若い方の中には、お肌のシワやたるみの防止など、まだ関係ないと考えている方も多いと思います。しかし実際には、必要になってから手を打つのでは遅すぎることがわかります。
エラスチンは25歳を超えると急速な勢いで失われていきます。「まだ早いかな」と思っているうちにこそ、お肌の加齢防止に向けた手を打っておくべきなのです。
]]>皆さんもよくご存じだと思いますが、女性の顔は加齢に伴い、次のように変化していきます。
20歳くらいまで
肌に十分な張りがあり、シワはほとんどない。

25歳~30歳
ほうれい線が出始める。

30歳~40歳
ほうれい線が口角を超える。

40歳~45歳
口角の下にマリオネットラインが出る。
ほうれい線の外側にもう1本シワができる。

50歳前後~
シワが枝分かれしていく。
お肌の張りはほとんど失われる。
お肌がたるんでいく。

なぜこのような変化が生じるのでしょうか。その理由を理解するために、まずは下の図をごらんください。

これは皮膚の断面をイラスト化したものです。まず最も表側に「表皮」があり、その下に「真皮」と「皮下脂肪」の層があります。表皮は毛穴やシミに関係があり、真皮はタルミに関係します。加齢によって皮膚の張りが失われ、シワやたるみが生じてくるのは、真皮の状態が変化するからなのです。
真皮の構造をよく見ると、3つの部分で構成されていることがわかります。まずコラーゲンが格子状になっており、その格子が交差する部分をエラスチンが支えています。そして格子の隙間部分にはヒアルロン酸があります。実はこれらのうち、お肌の張りに最も関係しているのがエラスチンなのです。
エラスチンの重要性は別のものにたとえてみると、よりはっきりとわかると思います。
香港映画にはよく建築現場の足場として、たくさんの竹を格子状にして紐で縛ったものが出てきます。これは真皮の構造によく似ています。コラーゲンが竹だとすれば、竹を組むために使われている紐はエラスチンです。紐がしっかりしていれば、この足場も安定しています。しかし紐の力が弱ければ、足場は崩れてしまいます。
建物にたとえてみるのもいいかもしれません。コラーゲンが柱や梁だとすれば、エラスチンはそれらをとめておくボルトの役割を果たします。コラーゲンの格子の間に含まれているヒアルロン酸は、壁や床、天井にあたります。ここでもボルトがしっかりしていなければ、建物は崩れてしまいます。
お肌も同じです。
エラスチンは弾力性のある繊維です。コラーゲンの格子は、この繊維の弾力性によって安定した状態を保ちます。これがお肌の張りなのです。しかし歳を取るにつれて、お肌の中のエラスチンの量はどんどん減っていきます。そのためコラーゲンの格子が崩れていき、お肌の張りが失われるのです。
テレビ番組や雑誌などでは、お肌の張りに重要なのものとして、コラーゲンが取り上げられることが多いようです。しかし本当に重要なのはエラスチンです。お肌の中にコラーゲンが十分にあっても、エラスチンがなければ格子状の構造を維持できないからです。
それでは加齢によって、エラスチンの量はどのように変化するのでしょうか。この続きは次回お話ししたいと思います。
]]>実はコムロ美容形成クリニックではこの半年の間に、約50件のセルリバイブジータの施術を行ってきました。当初は効果に疑問を抱きながらも、患者さまのご要望に応える形で施術に取り組んできたのですが、患者さまの満足度はいずれも非常に高いのです。現在では私も「セルリバイブジータは十分な効果がある」と確信しています。
ポイントは「何を改善するのか」を明確にすることにあります。「セルリバイブジータについて考える。」でも指摘したように、この施術はちりめんジワや目の下の小ジワなど、細かいシワには効果がありますが、大きなシワではそれほど大きな改善効果は得られません。しかし細かいシワの改善効果は、予想以上に大きいことがわかってきました。
下の写真は施術例です。上が施術前、下が施術後なのですが、目尻のシワが改善されていることが、はっきりと見て取れるはずです。


目尻だけではなく、頬の細かいシワでも大きな改善効果があります。下眼瞼のように皮膚が薄い場所では、改善効果が特に大きく現れます。
逆にほうれい線や眉間の縦じわのように、深いシワに対しては改善効果が劣ります。深いシワは他の施術で対応し、細かいシワに集中して施術を行うことが、セルリバイブジータの効果を最大限に引き出すためのポイントだといえます。
細かいシワに対する施術としては、他にもヒアルロン酸やボトックスの注入があります。しかしこれらの施術は効果が3ヶ月~半年しか持続しません。そのためなかなか大きな満足感を得ることができません。
PRPなら効果が2~3年持続しますが、効果に個人差があるという弱点があります。セルリバイブジータは血小板と白血球と細胞成長因子を組み合わせることで、PRPの弱点を克服しています。そのため個人差が少なく、安定した効果が期待できます。
ただし、ひとつだけ指摘しておきたいのは、切開を伴う施術に比べれば、その効果は限定的であるということです。やはり最も効果が大きいのは、皮膚の一部を切開し、たるんだ皮膚を引っ張り上げる施術なのです。しかし「切開はしたくない」という患者さまにとっては、セルリバイブジータは最も有力な選択肢だといえそうです。
]]>でべそは温泉などで裸になった時はもちろんのこと、水着を着たときにもはっきりとわかります。特に若い女性はでべそを恥ずかしがるようです。ある調査によれば、でべその手術患者の7割は30歳未満だということです。
それでは「でべそ」という状態は、なぜ起きるのでしょうか。これを理解するには、まずおへその構造を知っておく必要があります。
おへそとは、胎児の時に母体とつながっていた管(いわゆるへその緒)を、出産時に切り落とした時に、赤ちゃんのお腹に残った部分です。通常はへその緒を切り落とした時に、乾燥・脱落した部分が収縮し、凹んだ状態になります。表面から見るとただの凹みに見えますが、その内側には瘢痕組織というものがあります。
この瘢痕組織が内側から押されると、本来凹んでいるべきおへそが出っ張ってしまうことがあります。このような症状を「臍突出症」といいますが、これが一般的なでべその仕組みです。
でべそにはもうひとつ、ヘルニアを伴う「臍ヘルニア」という症状もあります。瘢痕組織が押し出されるのではなく、腹腔内容が皮膚と腹膜に包まれた形で外側に出っ張っている状態です。妊娠や肥満が契機となってでべそになった場合、一般的なでべそではなく「臍ヘルニア」である可能性があります。またでべその部分が柔らかい場合には「臍ヘルニア」である可能性が高いといえます。これは病気の一種です。そのため美容外科ではなく、一般外科で治療を受ける必要があります。
美容外科の対象は、瘢痕組織が押し出されることで生じる一般的なでべそです。原因はいくつか考えられますが、そのひとつに出産時の不適切な処置が挙げられます。へその緒の切断は、本来であれば赤ちゃんのおへそから5ミリ~1センチの所を縛って行うのがいいのですが、この縛る場所が中途半端な場合には、残ったところが固くなってしまうことがあります。こうなるとでべそになりやすいのです。
一般的なでべそを治すには、瘢痕組織の一部を切り取る施術を行います。これを「臍の再建術」といいます。施術時間は30分程度。局所麻酔で行います。
縦長の美しいおへそになるように、切開線も縦方向にデザインするのが一般的です。もちろんデザインは、患者さまのご要望に合わせることができます。瘢痕組織は固く厚みがあるので、メスで一気に切開するのではなく、メスとハサミを併用して慎重に切開していきます。瘢痕組織をある程度切除した後は、瘢痕組織を覆っていた皮膚の大きさや厚さを調整した上で、おへその穴の底の部分に縫合固定します。最後に綿球を使っておへその穴を十分に圧迫し、さらにお腹の左右を引き寄せるようにします。これを「タイオーバー」といい、1週間後に除去します。この間は患部をぬらしてはいけません。施術後10日ほどで抜糸しますが、1ヶ月間はおへその穴を綿球などで圧迫固定しておく必要があります。
一般外科の経験があるドクターであれば、それほど難しい施術ではありません。しかし美容外科の経験しかなく、しかもまだ未熟なドクターの場合には、瘢痕組織を全部取り除くというミスを犯してしまい、臍ヘルニアを発症させる危険があるので注意が必要です。毎回申し上げていることですが、施術を受ける場合にはぜひとも経験豊富なドクターを選んでください。
縦長のスッとしたおへそは、体型をスマートに見せる効果もあります。でべそで悩んでいるのであれば、一度専門医に相談されることをお勧めします。
]]>例えば芸能人の中では、佐藤藍子さんや織田裕二さんといった方が立ち耳だと思われます。正面から見ると、耳の存在感が大きいですね。「タモリ倶楽部」の「空耳アワー」に出ていらっしゃる安齋肇さんも、ご自身が「私は立ち耳で」とおっしゃっていましたが、確かに髪の毛を短くすると耳が目立つようです。
もちろん立ち耳というのは決して病気ではありませんし、その方の顔の個性を形作るファクターのひとつに過ぎません。また出現頻度も高く、5%程度の方は立ち耳だと言われています。しかし立ち耳の女性の中には、耳が目立つことを嫌う方が少なくありません。また欧米では立ち耳を「サタンの耳」といって、いやがる方もいらっしゃいます。そのため立ち耳を治したいというご要望も、決して少なくないのです。
そもそも立ち耳の原因は、いった何なのでしょうか。実は立ち耳というのは、外耳に存在する「対耳輪」と呼ばれる部分が未発達である場合に生じるのです。

対耳輪は軟骨でできており、耳の外側を頭側に折り曲げる形に曲がっています。この形は胎児の段階で形成され、出生後はそれ以上発達しません。そのため立ち耳の状態で生まれた方が、成長過程で自然に治るということはありません。
立ち耳の治療というのは、この対耳輪を形成する手術です。折れ曲がりのない「つるんとした軟骨」を、頭側に曲がった状態に形を変えるのです。手術自体は決して難しいものではありません。
施術方法
1.まず外耳の後ろ側を切開し、軟骨が見えるまで表皮を剥がしていきます。
2.露出した軟骨に、これから形成する対耳輪と同じ方向に、3~4本のスジを入れます。
3.スジを入れた軟骨に対し、マットレス法と呼ばれる方法で糸をかけます。この糸を引っ張ると、スジを入れた部分がキュッと狭まり「谷」ができます。その結果反対側には「山」ができ、耳の外側が頭側に曲がります。これで対耳輪ができあがったわけです。
4.十分に止血した後、切開部の縫合を行います。
5.術後、ボルスター固定を行います。これは、手術で形成された対耳輪の「山側」の両側にできた凹みに沿って円筒形の綿を入れ、糸をかけて圧迫固定することをいいます。切開した軟骨の中は出血しやすい状態になっているため、上から圧迫することで出血を止めておくのです。
6.術後1週間程度でボルスターを除去し、抜糸を行います。
手術自体は両耳合わせて1時間程度で終わります。麻酔も局所麻酔だけでOKです。ただしいくつかのポイントがあります。
まず第1のポイントは、形成する対耳輪の形を適切にデザインすることです。これは美容形成の場合、どの施術にも当てはまる話です。
第2は、軟骨にスジを入れる時の深さです。ある程度の深さまでメスを入れる必要がありますが、あまり深く切りすぎるとマットレス法による変形がうまくいきません。
そして第3のポイントが、術後のボルスター固定をしっかり行うことです。この施術で最も怖いのは、術後出血を起こし、まわりに浸潤してしまうことです。こうなると耳が腫れてしまい、耳が変形することもあります。美容外科専門医ではない一般のドクターの中には、ボルスター固定を行わずに施術を終えてしまうケースもあると聞いていますが、これは非常に危険なことです。
もちろん、きちんとした経験と技術をもつドクターに任せれば、このような心配はありません。立ち耳は簡単に治ります。「耳が大きく見える」ことに悩んでいるのであれば、ぜひ一度ご相談ください。
]]>FTMの性別適合手術で一般的なのは「乳房切除術(乳房摘出術)」です。FTMの場合、ホルモン療法を行っても乳房の縮小はほとんど起こりません。そのため身体の外観を男性に近づけるには、乳房切除が必要になるのです。
乳房切除術には、2種類のパターンがあります。
まず乳房が小さい場合には、乳輪の周囲を切開し、乳腺を取り出すと同時に、乳頭と乳輪を縮小します。これは瘢痕が目立ちません。
乳房が大きい場合、あるいは下垂している場合には、上記方法では不十分です。この場合には、乳房の下溝に沿って皮膚を切開する方法を用います。乳腺除去後、皮膚のタルミが生じる場合は、余剰皮膚を切除します。乳頭は一度遊離させて適切な位置に移動させることがあります。
乳房切除術は、女性の美容整形として行われることもあるため、美容外科のドクターにとってはそれほど難しいものではありません。もちろん経験やテクニックによって仕上がりに差が出ることも少なくありませんが、前回の陰茎反転法膣形成術に比べれば、手軽に行える施術だと思います。
これに対し、女性器を男性器に変更する施術は、非常に複雑で時間もかかります。この施術は次のようなプロセスで進めていきます。
1.子宮、卵巣、卵管を摘出します。
2.膣の内壁を切除し、膣を閉じます。これと同時に尿道を陰核の付け根まで移動し、元の尿道口を閉じます。
3.前腕部に臀部などの組織とシリコンチューブを移植し、新たな陰茎となる組織を創り出します。これは約半年かかります。
4.前腕部で形成された組織を取り出し、陰茎の形にまとめ、陰核部分に接続します。これは顕微鏡で神経や血管を接続する「マイクロサージャリー」という方法で行います。またこれと同時に大陰唇の組織内部にシリコン性の睾丸を挿入し、陰嚢を形成します。
このように女性器から男性器への変更は、前回の陰茎反転法膣形成術以上に大がかりなものです。しかしFTMの方がここまで希望されるケースは少ないようです。
以上5回にわたって、性同一性障害を解消するための療法や施術について紹介してきました。施術の中には複雑で難しいものもあり、施術を受けるための前提条件などもありますが、もし性同一性障害でお悩みであれば、ぜひ気軽にご相談いただければと思います。
]]> この施術は非常に複雑で難しく、日本では対応できる病院が限られています。
「性同一性障害(1)」でも触れたように、大学病院でコンスタントに施術を実施しているのは岡山大学病院だけになっており、大学病院以外のクリニックでもあまり行われていないのです。そのためタイ等の国外で施術を受けるケースが少なくありません。しかし施術後の対応まで考えれば、日本国内で対応できる病院やクリニックを増やしていくべきだと私は考えています。
それでは具体的に、この施術ではどのようなことを行うのでしょうか。施術内容は以下の通りです。
1.まず陰嚢と肛門の間に、膣となるべき空間を作成します。
2.陰嚢内の睾丸を摘出し、陰茎の皮膚を剥がします。
3.丸裸になった陰茎を、陰茎海綿体と尿道海綿体に分けます。
4.陰核として使用するため、陰茎海綿体の一部のうち、亀頭を1/3程度残します。
また尿道として使用するため、尿道海綿体も短く残します。残りの海綿体は根元で切断します。
5.膣となるべき空間に、反転させた陰茎の皮膚と陰嚢の皮膚を使用して、膣を形成します。
6.陰嚢等の組織を転用し、小陰唇などの外性器を形成します。
かなり複雑な施術であることがおわかりいただけると思います。本当は図解してご説明したかったのですが、図を作るのが意外と難しかったため、今回は断念しました。お許しください。
施術時間は約3時間。全身麻酔、あるいは硬膜外麻酔で施術を行います。施術後、感染症や患部の裂傷、膣狭小、直腸膣瘻といった合併症が発生するリスクがあります。しかしこの施術をおこなうことで、以下の効果を得ることができます。
1.感覚のある陰核
2.新たに形成された尿道
3.陰核形成
4.大陰唇、小陰唇形成
5.12~15cmの新たに形成された膣(通常の女性の膣の深さは8~9cm)
施術のための要件としては、18歳以上であること(ただし20歳以下の患者さまは保護者の承諾が必要)、精神科医によって性同一性障害の診断がなされていること、最低1年間のホルモン療法を経ていることが必要です。これらは日本精神神経学会の『ガイドライン』に定められています。
しかし長期間のホルモン療法の後は、この施術が難しい場合もあります。ホルモン療法を行うとペニスが縮小することが多いため、膣形成に必要な皮膚が確保できないことがあるからです。
長さ5~15cm程度の標準的なペニスの場合、上記のように、陰茎と陰嚢の皮膚を用いた陰茎反転法膣形成術が適用できます。これ以上長いペニスの場合には、陰茎の皮膚だけでも膣形成できます。これに対して5cm以下のペニスの場合には、陰茎と陰嚢の皮膚だけでは膣形成ができません。この時にはS字結腸を用いて足りない皮膚を補うことになります。もちろんこの施術は、一般的な陰茎反転法膣形成術に比べて、さらに大がかりになります。
日本精神神経学会の『ガイドライン』は、無理のない性別適合を行う上で重要な意味を持っていますが、実際の施術現場の立場で見ると、なかなか難しい側面があることも否定できません。前述のように、陰茎反転法膣形成術を行うには1年以上のホルモン療法が必須条件になりますが、もし女性器への変更を強く決意されているのであれば、ホルモン療法の期間を最小限にし、ペニスの縮小が進行する前に施術した方がいいのではないかと思います。
]]>MTFの場合、女性ホルモン投与による効果が完全に出るまでには、だいたい1~2年程度かかります。一般にはこの間に、身体的性別の変化に伴う社会生活の変化を経験し、無理なく「新しい性での社会生活に適応」することを目指します。この「新しい性での社会生活」のことをRLE(Real Life Experience)というのですが、日本精神神経学会のガイドラインではこのRLEを一定期間経験することを重視しています。性別適合手術を受ける場合も、このRLEを経てから「最終ステップとして性別適合手術を行う」ことが推奨されています。
しかし男性の身体に対する違和感や嫌悪感が極めて強い場合には、むしろ短期間で「新しい性」へと移行することが望ましいケースもあります。その場合にはホルモン療法に時間をかけるのではなく、短期間で効果が現れる「睾丸摘出術(去勢術)」を行います。狭い意味での「性別適合手術」は「性器の外観を調整する手術」であり、睾丸摘出術は含まないという考え方もあります。しかし「性別適合のための手術」という広い意味でとらえれば、睾丸摘出術も性別適合手術の一種と考えられます。
施術方法は比較的簡単です。
(1)まず十分な消毒を行い、局所麻酔を施します。
(2)陰嚢の裏の目立たないところを数センチ切開します。
(3)切開したところから丁寧に睾丸を摘出し、切開箇所を吸収糸で縫合します。
施術時間は約30分。翌日からシャワーを使うことができ、1週間目からは入浴も可能です。入院や施術後の通院の必要はありません。吸収糸は3~4週間で自然に消えてしまいます。
睾丸摘出術を行うと、1~2ヶ月で以下の効果が得られます。
1.男性ホルモンの減少
2.乳房や乳腺の発育
3.皮膚がきめ細やかになる
4.髭と体毛の減少
5.頭髪の増加、禿の改善
6.筋肉の減少により、女性的な丸みをおびた体型となる
7.性欲の減退
8.勃起障害
短期間でMTFの効果を得たい方に適していますが、次のような方にも適応します。
・女性ホルモンを投与しているにもかかわらず、女性化の効果が現れにくい人。
・長期間の女性ホルモンの服用が面倒な人。
・長期間の女性ホルモン投与に伴う副作用が心配な人。
前回お話ししたように、女性ホルモン投与を行うと、最初の1ヶ月に抑うつ状態になるという副作用があることがわかっています。また長期的な服用に伴い、肝機能障害が生じることも珍しくありません。睾丸摘出術ならこれらの副作用を回避できます。
睾丸摘出術は男性ホルモンの「元を絶つ」ことで、身体の女性化を促すものだといえます。これによって乳房や乳腺の発育や体毛の減少、頭髪の増加、体系の変化など、女性の身体的特徴が現れてきます。しかし性器の形状そのものは変化しないので、完全に女性の身体になるというわけではありません。当然ながら「女性として性交を行う」こともできません。
性器の形状を女性のものに変えるには「陰茎反転法膣形成術」を行う必要があります。この施術は睾丸摘出も同時に行うので、睾丸摘出術の効果も得られます。
次回はこの「陰茎反転法膣形成術」についてお話しします。
]]> ホルモン療法とは、身体的性別とは反対の性ホルモンを投与することで、
二次性徴の一部を性自認に一致させようとするものです。身体的性別が完全に変わってしまうわけではありませんが、その特徴は緩和されていきます。これによって身体的性別に対する違和感を改善し、葛藤を少なくする効果があります。
投与するホルモンは、MTFに対しては女性ホルモン(卵胞ホルモンや黄体ホルモンなど)、
FTMに対しては男性ホルモン(テストステロン)です。
これらのホルモンを投与する場合には、必ず定期的に血液を採取して、
性ホルモンの血中濃度をチェックする必要があります。これによってホルモン投与の効果を監視・評価するのです。ただしホルモン療法における血液検査は、治療目的の検査の場合でも健康保険が適用されないので注意が必要です。
投与方法は、注射剤、パッチ剤、経口剤の3種類があります。
日本では注射剤を使用するのが一般的なのですが、これは注射剤が最も副作用が少ないからです。
注射の方法としては筋肉注射を採用することが多いのですが、うまく注射しないと神経に触って激痛が走ったり、注射した箇所にしこりがのこったりします。しかしきちんとコツをつかんだドクターが注射をすれば、このようなことはありません。まったく痛みを感じないだけではなく、注射後の処置を適切に行うことで、しこりも防ぐことができます。
ホルモン療法の副作用として最も頻繁に見られるのは肝機能障害ですが、その危険性が最も高いのが経口剤です。ホルモン剤をインターネットで注文して服用している方もいらっしゃるようですが、この場合には知らず知らずのうちに肝機能障害に陥ることがあります。これも重要な注意点です。
それでは実際にホルモン療法を行うと、どのような効果が得られるのでしょうか。
効果を箇条書きにすると、以下のようになります。
A.MFT(女性ホルモン療法)の場合
1.乳房や乳腺が大きくなります。
2.髭や体毛が少なくなります。
3.頭髪が増え、禿の予防になります。
4.筋肉の減少により、丸みをおびた女性的な体型になります。
5.精巣の機能低下に伴い、勃起不全が起こることがあります。
B.FTM(男性ホルモン療法)の場合
1.変声し、声が低くなります。
2.多毛になります。
3.陰核の肥大が起こります。
4.性欲の亢進があります。
5.生理が止まります。
6.筋肉が発達し、男性的な体型になることがあります。
ホルモン療法の効果には個人差がありますが、通常は開始後数ヶ月で変化が現れます。
女性ホルモン療法の場合、まず皮下脂肪が増大し、次に体毛や頭髪など皮膚の変化が現れ、精巣の機能が低下していくのが一般的です。これらの効果が現れる前に抑鬱気味になり、イライラしたり鬱状態になることもありますが、治療開始から1ヶ月くらいで抑鬱状態が収まり、効果が現れ始めます。
さらに治療から1年程度が経過すると、乳房の発達が見られるようになります。これらの効果の一部は可逆性のものなので、治療を中断すると元に戻っていきますが、髭や乳房の変化を元に戻すのは困難が伴います。
また精巣の機能低下は、数ヶ月以上投与を続けるとほぼ不可逆となり、元に戻らなくなります。
男性ホルモン療法の場合は、変声と陰核肥大、性欲の亢進が同時に進み、その後2~3ヶ月経過してから体毛が増加、生理が止まるといった効果が現れます。治療開始から1~2ヶ月程度で中止すれば元に戻りますが、体毛や生理への影響が進むと元に戻すことが難しくなります。また変声が進んでいくと声帯の厚みが増していくため、元に戻せなくなくなります。
このようにホルモン療法は効果が現れるまでに時間がかかり、投与をやめるタイミングが早ければ元に戻るという特徴があります。そのため身体的性別を変えるという決意が十分でない場合や、身体的性別の変化に伴う社会生活への不安などがある場合に適しています。
これとは逆に、身体的性別を変えることを決意している方や、早く効果を得たい方には、必ずしも向いていません。そのような方は性別適合手術が適しています。
次回はこの性別適合手術についてお話しします。
]]>性同一性障害とは、「生物学的には完全に正常であり、しかも自分の肉体がどちらの性に所属しているかをはっきりと認識していながら、その反面で、人格的には自分が別の性に属していると確信している状態」を指します。これは日本精神神経学会による定義ですが、簡単にいってしまえば「心の性と身体の性が食い違った状態」ということです。
このような障害は、男性にも女性にも起こりえます。身体は男性で心が女性の人をMTF(Male to Female)、逆に身体は女性で心が男性の人をFTM(Female to Male)と呼びます。また両者を合わせてG.I.D(Gender Identity Disorder)と呼びます。これを日本語訳したのが「性同一性障害」です。
一般に「自分のことを男と思っているのか、女と思っているのか」という自己イメージのことを、性自認といいます。性自認が身体的な性と異なっていても、本人がそれで苦しんでいない場合には、性同一性障害とはいいません。あくまでも性自認と身体的な性が食い違うことで、本人が苦しんでいるケースを性同一性障害といいます。
例えばMTFの場合、女性の格好ができればいいという方や、乳房は欲しいがペニス切断まではしなくていいという方も少なくありませんが、このような方は性同一性障害とはいいません。ちなみにFTMの場合はMTFとは異なり、性同一性障害までには至らない中間的な状態は、あまり見られないようです。
性同一性障害の方は、性自認に反する身体的性別を持っていることに不快を感じ、MTFの場合にはペニス切断願望や乳房願望、FTMの場合にはペニス願望や乳房除去願望などが生じます。米国のデータによれば、性同一性障害と見なされる人の割合は、MTFは3万人に1人、FTMは5万に1人だと言われています。また日本国内では5000~1万人の方が性同一性障害だと言われています。
MTFの方は、幼少時から女の子の服装をしたいと思い、成長するにつれて陰茎などの存在が我慢できずに苦しむケースが多く、FTMの方は、幼少期からスカートや人形に興味を示さず、月経や胸の膨らみなどの身体の変化を嫌悪することが多いようです。このような自分の性に対する違和感・嫌悪感は、親の育て方では変わらないことがわかっています。脳には生まれついての性差があり、胎児期に脳が形成される際の男性ホルモンの量などによって「男の脳」「女の脳」に分かれるからです。いったん決まった「脳の性」は、思春期の性ホルモン分泌の変化にも影響を受けません。すでに胎児期に決まってしまった「心の性」を、身体の性に合わせるのは無理があるのです。
そこで重要になるのが、身体的な治療です。つまり「身体の性」を「心の性」に合致させるのです。性同一性障害の診断・治療に関しては、1997年に日本精神神経学会が『性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン』を定めており、2006年にその第3版が出ています。これによれば、治療は3段階で行うことになっています。
まず第1段階は精神療法です。精神科医が患者さまの生活歴や性認識を聞き、身体への違和感が続いていることを確認します。2人の精神科医の意見が一致すれば、診断は確定します。
第2段階はホルモン療法です。MTFの方には女性ホルモン、FTMの方には男性ホルモンを投与し、身体的な性を性自認に一致させていきます。
そして第3段階が性別適合手術です。これは以前は「性転換手術」と呼ばれていたものですが、学会の指針によって現在の名称に改められました。1998年には埼玉医大で初めて、大学倫理委員会の承認を得た性別適合手術が行われています。
日本に性同一性障害の患者さまにとって、最大の問題は国内で性別適合手術に対応できる病院が少ないということでしょう。Wikipediaによれば、 2006年7月の時点で手術実績がある大学病院は、埼玉医科大学、岡山大学、関西医科大学、大阪医科大学、札幌医科大学の5ヶ所しかなく、その後、埼玉医科大学と関西医科大学、大阪医科大学では手術が行われなくなっており、コンスタントに性別適合手術を行っているのは岡山大学病院だけになっています。もちろん大学以外のクリニックでも、学会の指針に従えば施術は可能なのですが、国内ではあまり行われていません。その最大の理由は「施術が極めて難しい」からです。
国内で施術を受けられない方のほとんどは、タイなどの海外で施術を受けています。私は2000年頃から、このような状況には問題があると感じてきました。今年から診察メニューに加えたのも、国内で施術を受けられる人を増やしたいと考えたからです。またタイのドクターに「タイで手術を受けた患者さんのアフターケアができる日本の病院を紹介して欲しい」と言われたことも、診療に踏み切るきっかけになりました。タイで行った施術のアフターケアを日本でするのであれば、最初から日本で施術を実施し、アフターケアまで一貫した対応を行った方がいいのです。
それでは実際の治療は、どのようなものなのでしょうか。次回はホルモン療法について説明したいと思います。
]]>「フェイシャルケア最前線」でも述べたように、e-lightとは光照射と高周波を組み合わせた施術です。これによって光エネルギーを最小限に抑えながら、より高い効果を得ることができます。
基本は光エネルギーを肌に照射して内部で熱を発生させ、これによって色素班を破壊して美白効果を得たり、真皮層でコラーゲン生成を促すのですが、東洋人のようにメラニンが肌に多く存在する場合には光エネルギーが表皮部分で吸収されてしまい、なかなか真皮層まで届きません。そのため以前は照射出力を上げる必要があったのですが、あまり高い光エネルギーを照射すると、肌にダメージを与える危険性があります。高周波を組み合わせることでこの問題を解決したのがe- lightです。高周波はメラニン層に関係なく真皮部分まで熱エネルギーを送り込めるため、光エネルギーの照射量を抑制しても、十分な効果が得られるのです。
e-lightを使用した施術としては、大きく2種類あります。主にリフトアップを目的とした「e-lightフォトRFリファーム」と、シミ取りや毛穴改善を目的とした「e-lightフォトRFオーロラ」です。前者は「スキン・タイトニング(肌に張りを与えること)」の頭文字をとって「e-light ST」、後者は「スキン・リジュビネーション(肌を若返らせること)」の頭文字を取って「e-light SR」と呼ぶことも多いようです。
例えば「e-light SR」を使用した場合、下の症例写真のように、お肌のシミやくすみ、そばかすなどを消し、美白効果を得ることができます。また毛穴も引き締まるため、脱毛効果も期待できます。




このようにe-lightは非常に画期的な施術だといえます。しかも専用の機械を使用し、ヘッドを肌に当てて照射を行えばいいので、クリニックにとっては導入しやすいという利点もあります。最近ではe-lightを導入しているクリニックも増えているようです。しかし実際には、施術を行うスタッフの経験やスキルによって、効果に大きな差が出るようです。
福岡コムロ美容形成クリニックでは、美容外科の看護師として約10年のキャリアを持つスタッフが、e-lightの施術を担当しています。e-lightだけではなく、タイタンやジェネシス、ゼオ、サーマクール、フォトフェイシャル、Qスイッチなど、数多くの医療レーザー機器を扱った経験を持っているのですが、看護師によれば「マシンの特性を的確に掴むことが非常に重要」なのだといいます。
それでは何故、マシンの特性を掴むことが重要なのでしょうか。その理由は患者さまの肌の状態に対し、「最大パワー」の照射が行えるからです。パワーコントロールを間違えると、STの場合には十分なリフトアップ効果が得られません。SRでは肌の状態をかえって悪くする危険性もあります。
もちろん「最大パワーがどれだけなのか」を適切に判断するには、患者さまの肌質やシミの種類も熟知している必要があります。患者さまの状態はすべて異なります。そのため照射パワーはもちろんのこと、ヘッドを当てる角度やエンドポイント(照射を止めるタイミング)の設定などにも配慮が必要なのだといいます。
また福岡コムロ美容形成クリニックでは、ヘッドを当てた場所や照射エネルギーの強さ、照射時間(カウント)など、施術に関する情報をすべて記録しています。これはクリニックとしては当然のことなのですが、このような記録と施術結果を照らし合わせることで、その施術が適切だったのか、より最適化するにはどうすべきかがはっきり見えてきます。このようなフィードバックを行うことも、スキルの蓄積に欠かせないのです。
e-lightは一見すると、ヘッドを肌に当ててスイッチを入れるだけの「手軽な施術」のように見えますが、お肌に対する実にきめ細かい観察と、マシン特性の熟知、そしてこれらの知識に基づいた的確な操作が必要です。これは経験豊富なナースでなければできることではありません。このようなナースが活躍してくれているからこそ、福岡コムロ美容形成クリニックのe-lightの評価も高いのだと自負しています。
また、様々なシミや血管性病変などを、ターゲット別に狙い打ち出来るようになったSRAというヘッドも導入しました。ぜひお問い合わせください。
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